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プロローグ(1)麟三と双葉

初めて書いてみた小説です。完結目指して頑張るぞ!


本来書きたかったプロローグ。頻繁に場面転換を挟むため、書き始めた当初の文章力では表現できませんでした。ふうちゃんの一途さが、うまいこと伝わってるといいな。

 6月の頭、俺――楠木麟三(くすのきりんぞう)は、25歳の誕生日を迎え、憂鬱な気分で道を歩いていた。


 そりゃあ、憂鬱にもなるだろう? 25といえば、アラサー。今まで『お兄さん』と呼ばれてたのに、『おっさん』になるんだぜ?


 そんな、しょうもないことを考えていると、道の向こうに自転車に乗っている母子の姿が見えた。年の頃4~5歳ぐらいの子供を乗せ、自転車はゆっくり進んでいく。


 びゅうと風が吹いた。子供の帽子が風に飛ばされ、子供が身を乗り出した!


 まずい、落ちる!


 向こうからは、スクールバスがくる。ブレーキは多分間に合わない。


 危険な状況だが、俺が飛び込めば間に合う、と思った。

 俺は元陸上部だし、今だって鍛えている。俺の足なら十分間に合うはずだ。


 間に合ってくれ! 子供めがけてダッシュで突っ込んだ俺は、祈るような気持ちで手を伸ばす。


 ファァァァァァン、とクラクションの音が耳にへばりついた。


 届いたッ! 子供を胸に抱きかかえ、俺は歩道へとダイブする。バスを回避することはできた。


 だけど、勢いついた身体は急には止まれない! 子供が怪我をしないように再度神に祈りながら、受け身もとれないままに、俺はガードレールに頭から突っ込んだのだった。


 薄れゆく意識の中で救急車の音だけが、どこか他人事のように遠くに聞こえていた。




▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 消毒液の匂いで目を覚ます。右手を見ると小さな手が俺の手に添えられていた。


「おにぃさま。へーき?」


 心配そうにのぞき込んでくる女の子。うんかわいい。えーと? 俺に妹はいない。っていうか誰?


「ふうちゃんね? おにぃさまがたすけてくれたの」


 ああ、わかった。助けた子、女の子だったんだ。

 そして、おっさん呼ばわりじゃないぞ! この子はいい子だ!


「君、ふうちゃんっていうの? けがはない? いたいところは?」


 ふるふると頭を振る女の子。俺は心底安堵し、願いを聞いてくれた神様に感謝した。


「おにぃさまのおなまえは?」


「俺? 俺は麟三(りんぞう)。楠木麟三だよ」


「りんぞーさま?」


「うん、麟三」


 ふうちゃんとひとしきり話していると、看護婦さんが、医者と、ふうちゃんのお母さんと思われる美しい女性と、母さんを連れてきた。


「麟三? ……、全く。心配かけて」


「ごめん。母さん」


 医者が何やら説明を始めた。検査入院というやつで、3~4日入院することになるらしい。別に痛いところはないのにな。


 医者の先生が、入院費の説明を母さんにしていた。


「りんぞーさま。またね?」


「双葉? ちゃんとお礼はしたの?」


「りんぞーさま。ありがと」


「どういたしまして」


「どうもありがとうございました」


 美しい女性とふうちゃんが、何度も振り返ってお辞儀をしながら去っていった。



▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 翌日、いくつか検査を受けて、まどろんでいると、手を握られる感じがして目を覚ます。


「りんぞーさま?」


「ああ、ふうちゃん。遊びに来たの?」


 ふうちゃんが、カバンからゴソゴソと何かを取り出している。


「これ。りんぞーさま!」


「人」であることはわかるものの、「誰を描いたか」までは、わからない絵。

 その人の隣の、手を繋いでいる小さなスカートをはいた女の子はふうちゃんだろう。


「こっちはふうちゃん?」


「うん! りんぞーさまにあげる。おともだちのあかしだよ」


 ふうちゃんがビリビリっとスケッチブックを豪快に破いて似顔絵をくれた。正直、めちゃくちゃうれしい。


「ありがとう。お礼に写楽(しゃらく)を描いてあげるよ。おともだちのあかしだ」


 俺は得意の浮世絵スキルを発揮して写楽の絵を描いた。ふうちゃんは大喜びだ。笑顔がかわいいな、この子。将来きっと美人さんになるぞ。


 ふうちゃんの相手をしていると、いつの間にか時間がたって、……。


 やばい、思い出せない。誰だっけ? えーと? 女の子とそのお母さんが帰る時間になった。


「ほら〇〇。〇〇さんにご挨拶をして」


「〇〇さま。またね?」


「またね」


 笑顔の少女に手を振り返す。


 まずいな。人の名前が聞き取れなくなった。意識もところどころ飛んでる気がする。寝たら治るか?



▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 頭が締め付けられるように痛くて、目を覚ます。


 眼の前が真っ赤だ。何が起こった? なんで俺は病院にいる? 痛む頭を無理やり働かせる。強烈な吐き気が湧き上がって涙がでてきた。なにこれ? 頭が爆発しそうだ。ナースコールの説明を受けていたことを思い出し、這いつくばってボタンを押す。


 かけつけた看護婦に、俺は懇願した。


「部屋を……、移してください」


 死の予感が確かにあった。あの子の前で死ぬのは絶対に避けたい。あの笑顔を曇らせたくない。

 俺は、神に祈った。一人で孤独に死なせてくださいと。


 それが、俺の最後の願いになった……。


 ……。


 …………。


 ………………。


 ――ただ、落ちていく感覚だけがあった。


 何も見えない。


 否。なにもない、真っ白な空間だ。


 なんで俺、こんなところにいるんだっけ?


 見上げると、身長10mはあろうかという、光のローブを纏った美しい女性が目の前にいる。


 天から注ぐ光が、まるで妖精のように女性の周りを回っている。なんて神々しいんだろう。


 ああ、これは死んだな。


 眼の前にいるのは女神様か?


 自分が死んだという事実。それが妙にストンと腑に落ちた。


 ――彷徨さまよう魂よ。名乗るべき、その名を名乗りなさい。


 頭の中に女性の声が鳴り響く。


 目の前の女神様と目があったような気がした。


 ……、彷徨さまよう魂。 俺のことか?


 キョロキョロと周りを見回すが、他には誰もいないようだ。


 っていうか、俺の身体がぇ。まじかよ。


 俺は宙に浮く光の玉のような姿をしていた。


 完ッ全にたましいだよ! 彷徨さまよってるのは俺だ!


 ――彷徨さまよう魂よ。名乗るべき、その名を名乗りなさい。


 女神様が語りかけているのは俺に対してだろう。


 応えるべきだよな? 声、出せるのかな? 強く想えばいいのか?


 ……、やってみるか!


 リンゾー! 俺の名前は楠木くすのき麟三りんぞうです!


 心のなかで強く思ってみた。


 ――リンゾー。なるほど。()()()()()()()()()()()()()


 よかった。通じた。


 魂が重みを増していく。俺の周りの光が少し強くなるのを感じた。


 ――では、リンゾー。あなたに一つ問います。このまま消滅し永遠の眠りにつくか、それとも別の世界で人生を謳歌するか、好きな方を選びなさい。


 選ばせてもらえるんですか?


 ――人を救い命を落とした崇高なる魂。お前には未来を決める権利があるのです。そして、もしお前が『輪廻』を望むのならば、ここであったのもなにかの縁。女神ファーメリアの名において、多少の便宜を図ることを約束しましょう。


 一つ聞きたいんだけどいいですか? 俺が死んだとき、病室は移されたんだろうか? あの子は俺の死に立ち会わずに済んだのだろうか?


 ――病室は移されました。あなたが懸念する事態は避けられました。


 よかったー。

 ありがとうございます!


 ――この局面で他人のことを気にかけますか? おもしろい。……リンゾー。先はどの問いかけは無しです。あなたには、私の意志で『転生』をしてもらいます。


 転生か。それもいいかもな。でも、転生って、『魔物とかがいるような世界に』じゃないですよね?


 ――そちらは、あなたの懸念する通りの世界ですが、それに見合う力を与えましょう。あなたには破格に強力な龍神の力を与えます。


 チート付きか! でも、いくらチートが付いてるからって、いきなり魔王の城とかに放り出されても困るんですけど!


 ――ふふふ。あなたが転生するのは私の力が及ぶ国。不案内なあなたのために、世界を案内する付き人をつけましょう。


 ありがとうございます。よーし今度こそ活躍するぜ。活躍してモテモテになるぜ。でも、こんな姿じゃ転生しても誰にも気づいてもらえなそうだけどな。


 ――もちろん身体は与えますよ。リンゾー。さあ、あるべき自分の姿を強く思い浮かべるのです。


 あるべき自分の姿か。鏡に映る自分の姿でも思い浮かべたらいいのかな?


 次の瞬間、俺の魂が更に重みを増し、手足が、身体が現れた。


 ――()()()()()()()姿()()()()。では、力の使い方を教えましょう。向こうで案内人が、リンゾーのことを待っています。


 女神様から一通り力の使い方を学ぶと、俺の身体は強烈な光に包まれた。

読んでるぞー。おもしろかった。誤字脱字を見つけた。ここが変だよ。

とっとと続き書け等、思われた方は、評価、ブクマ、コメント、

レビュー等いただけるとうれしいです。


活動報告に各話制作時に考えていたことなどがありますので、

興味のある方はどうぞ。

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