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亜人討伐(3)ペリーたちのゴブリン退治

 リンゾー達が亜人討伐に出てから、およそ一時間後。受付で、麗しのサヤさんから、ゴブリン退治の依頼を受け、私、ペリー・ペリシモと、相棒のフィオラは、ロビーで男を待っていた。


 ゴブリン退治への出発が遅れたのは、教会から増援の連絡があったためだ。


「リンゾー君たちが先にいってるなら、獲物はあらかた狩られちゃってるんじゃないかしら?」


「フィオもそう思いますか? あの二人は、相当やりますからね」


「同期としては負けられないわね」


 増援にきた男は、ヘンリー・ヘンドリクス。20代後半のガッチリした筋肉質の男で茶髪。青い瞳、四角い顔をしている。男らしい二枚目といったところか。


 新歓キャンプで「かほりかほり」と連呼していた残念ハンサムだ。聞けばケモミミ好きが高じて獣人になったという。獣人になれば堂々と獣人と結婚できるからな。自分も猫好きなので、ほんの少しだけ気持ちがわかるのが辛い。


 ヘンリーは、狼男に変身することができ、モンクのクラスを習得しているというから生粋の戦闘職だな。


 身長は2m以上あるだろう。すでに狼男化していて、肌は茶色の剛毛で覆われている。


 グラナ街道から森に入る入口付近で、ゴブリンらしき骨と肉食獣の骨の燃えカスが目についた。


「燃え跡が新しい。おそらくこれは、リンゾー達の仕業でしょう」


「この獣、フォレストタイガーでしょうか?」

「牙が大きい。狼というよりは虎でしょうね」

「フォレストタイガーまで、狩ってるのか。イシュカのやつもおせっかいなことだな」


「フォレストタイガーって、やっぱり強いのですか?」

「強いさ。3体も出たら、新人じゃ全滅しかねない」


 森の入口から、森の浅いところへと踏み込んでいく。倒木を越え、草を踏みしめるとムワッとした湿気を感じる。


 使い古した草のつるを使ったトラップに、木の枝を削った痕跡。そろそろ、ゴブリンの生活圏か……。


「敵数4。距離500。まっすぐこっちに向かってくる。敵はゴブリン、武装は弓だな」


 狼男と化したヘンリーは非常に五感が鋭い。敵より早く敵を見つけることはザラだ。


 震える足を叩き活を入れる。


 さあ、正義を執行しようじゃないか。


「フィオ! 大木の陰に隠れつつ、アースランスで援護してください」

「まかせて、ペリー!」


 フィオラに依頼をすると、私はゴブリンへ向かって走り出す。相棒というのはいいものだ。私は攻撃のみに、悪を討ち滅ぼすことのみに、専念できる。


 一意専心、それが勝利への極意だ。


 ゴブリンが近づく私に気づき、矢を撃ってくるが、大して早い攻撃ではない。軽くかいくぐると、目の前3匹のゴブリンを、三段突きでうち貫いた。


 手に三度の重い手応え。


 悪を断ったという、手の感触の心地よさ。剣は一撃で心臓を貫き、ゴブリンは口と身体から血を吹き出し果てた。


 死を偽装していることを考慮し、確認をしておきますか。


 ゴブリンは後一匹残っているが、気にしない。私はフィオを信頼しているからだ。第一、ゴブリンの攻撃など大した脅威ではない。


 ゴスンッ!


 振り返るとゴブリンの矢が、せり上がった土の壁に阻まれている。


 フィオがアースガードで防いだのだろう。


 手にした枝を振りかぶったゴブリンの向こう側にアースランスを発射するフィオの姿が見える。


 やはり……。対応は、いりませんね。


 後ろから来たゴブリンを、フィオのアースランスがタイミングよく貫いた。こちらも心臓直撃。即死だ。


「ひゅー。おっかねぇ。現地人のフィオラはともかく、ペリー、おまえさん。全く殺しをためらわないんだな」


「私がいた国では、銃も狩猟も合法でした。子供の頃から動物を狩って捌いてましたよ。だいたい、魔物を殺すのに、ためらう理由がありますか?サーチアンドデストロイ。私は正義を執行するのみです」


「そこまで傲慢なら大丈夫だろう」


 ヘンリーさんが妙なことを言う。


「傲慢、ですかね?」

「傲慢だな」

「傲慢です」


 まさか、フィオまでそう言うとは。少し自省したほうが、良さそうですか?


「さて。血の匂いが充満しはじめたな。今回は森の中だ。このまま放置していってもいいが、死体は深く穴をほって埋めるか、燃やしちまったほうがいいぜ。お前たち、火を起こせるか?」


「ゴブリンの弓矢が火起こしに使えますね。乾いた枝があれば10分でできます。フィオは?」

「無理だわ」


「火起こしの魔道具ぐらい持っておけ。枝で火をおこすなんて悠長なことをやってたら獣に囲まれちまう」

「はい」


 ゴブリンを森の外に担ぎ出し、討伐証明の耳を切り取り、ヘンリーが着火の魔道具で火をおこす。


 そのままでは燃えないので木の皮をかぶせて火を大きくした。


 私達のゴブリン殺し体験は、洗礼とは言えないほどあっさりしたものだった。




ペリー・ペリシモLV11

教会騎士LV2

フェンサーLV7

時空魔法LV2


所有スキル

パリィ、ガード、十字斬り(教会騎士)

三段突き、連撃、乱切り(フェンサー)

空間転移、次元倉庫、時空魔法『停止』(時空魔法)

身体強化魔法(パッシブLV2、アクティブLV3)


支配領域10RU


フィオラLV10

鍛冶師LV6

土魔法LV4


所有スキル

シャープ、武器耐久向上、防具耐久向上(鍛冶)

アースランス、アースガード、トーチカ作成(土魔法)

身体強化魔法(パッシブLV3)


支配領域50RU


ヘンリー・ヘンドリクスLV23

ライカンスロープLV10

モンクLV10

ハイモンクLV3


所有スキル

狼男化、人狼拳(ライカンスロープ)

集気法、練気法(モンク)

闘気法(ハイモンク)

身体強化魔法(パッシブLV6)


支配領域500RU

・用語解説

ケモミミ――おもに獣人に生える獣の耳のこと。

      猫耳、犬耳、狐耳、うさ耳など。

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