78話 別れ
ダンジョンを後にした僕たちは、アイテムの売却とフランさんを送るために先に冒険者ギルドにやって来た。カイトの家に戻るのは、その後でも大丈夫だろうと思ったからだ。
「付いて来ていただきありがとうございました。フランさんのおかげで目的の物が手に入りました。」
ドロップアイテムと魔石の鑑定をギルドに任せ、僕とみゃーこはフランさんとお別れをすることにした。鑑定金額が出たらあとでギルドカードに振り込んで貰えるらしく、物を預ければ自由にして貰って構わないとのことだったので、ここでお別れになったのだ。
「こちらこそ着いて行くのを提案してくれてありがとね」
フランさんは胸の前で手を振りながらそう言った。
直属の上司であるアルフさんがいたあの場では、フランさんはおそらく自分から付いて行きたいとは立場上言えない。それは、担当受付嬢と言えど一冒険者を優遇することは決して良いこととは言えない。
加えて、ギルドマスターのアルフさんがいくら優しくフランさんを目に掛けているとは言え、受付嬢の一端に特別扱いなんてのも以ての外だ。
それを僕は察したため、完璧な理由など思い浮かばなくても咄嗟の思いつきで誘ってみたのだが、僕の言葉を渡りに船と、それに便乗するようにアルフさんは一受付嬢としても、一冒険者としても、両者を特別扱いしない範囲で理由を付けてくれたので、端的に言えば僕だけのおかげではないのだ。
しかし、フランさんからしたら付いていける決定的なきっかけを作ったのは、他の誰でもない僕ということなのだろう。
そこに気付かれてしまいお礼を言われると、なんだか気恥ずかしさを感じる。
気遣いとは相手に気付かれないようにするのが究極的な気遣い、と何処かで聞いたことがあるが、まさにその通りだ。そして、その点では僕はまだ未熟だったと言えよう。
「いえいえ、フランさんのおかげで……ってこれじゃ永遠に続きますね」
と、僕が笑いながら言うとフランさんも笑いながら
「そうだね、それじゃあ今回はお互いさまっていうことで」
「ありがとうございました」
「ありがとうね」
僕たち二人はお礼を言いながら同時に頭を下げたのだ。




