21話 見せ合いっこ
ステータスを全話、調整しました。
深刻そうな顔をしてフランさんが聞いてきた。
「カイトとさくらちゃんから多少のことは聞いてるんだけど、真冬くんの口から何があったか聞かせてくれないかな」
低階層である10層はまだ駆け出しの冒険者も通るので、金のギルドカードを持つ僕がこんなボロボロで帰ってきたともあれば、抜け目ない対処法をいち早く立てなければならないんだろう。
ギルドとしては一刻も早く原因究明に取り掛かりたいはずなので、まだ少し痛む体に鞭を入れ、ダンジョンのボス部屋であったこと――オークを倒したら急に上から黒い光が落ちてきて、オークが強化された――をフランさんに話した。
夢の内容については、はっきりと覚えてないので、話さないことにした。
「うーん……前のモンスターハウスと言い、今回のオークと言い、ダンジョンで何かただならぬことが起きているのは、間違いないね。その中心にいるのは、真冬くん。もしかしたら君なのかもしれない……」
「モンスターハウスのことも、オークのことも他の冒険者にはそういうことが起きないと思います。勘ですけど……」
「目が覚めたばかりなのに、ごめんね。今回のことは私からギルドマスターに報告しとくね。もちろん真冬くんの勘のことも。じゃあゆっくり休んでて」
ベッドの上から、慈愛さえ感じる表情をするフランさんに向かって頭を下げる
「ありがとうございます」
「それでさくらさん……?そのー、いつまで抱きついてるの?」
「あ、ごめん……」
さくらは顔を真っ赤にしながら離れた。
「ねぇ、今二人きりだしステータス見せてよ。」
少しして沈黙に耐えかねたさくらが、恐る恐るという感じに聞いてきた。
客観的に見て、ボス戦であんな超人的な動きをしたならば誰だって気になるだろう。
「良いけど、見たことは全て内緒にしてね?あ、それと、僕のも見せるんだから、さくらのも見せてね」
さくらのステータスが純粋に気になったので、反論を口にされる前にステータスを開く。
【ステータスオープン】
名前 神宮寺 真冬
種族 人族
グレード1
レベル51→97
HP 1250/1250→1840/1840
MP 980/980→1420/1420
STR 697→782
DEF 340→512
INT 502→601
AGI 760→1005
CHA 221→314
LUK 880→880
SP 0→204
スキル 能力向上 導く者 言語理解 魔力操作56/100 剣術72/100 能力低下6/100
横から覗くように見ていたさくらは、隣で目をまん丸にしてフリーズしていた。
「さくらさーん?もしもーし」
声を掛け、目の前で手を振ってあげるとようやく意識が戻ってきたようだ。
僕もさくら程ではないにしろ、すごくびっくりした。それは、あのオークを倒したぐらいでこんなに上がってるとは思わなかったからだ。確かに強かったけど、この上がり方は異常だと思う。
「真冬……本当にすごいね!!私、見せるの恥ずかしくなっちゃったよ……。でも、約束だもんね」
【ステータスオープン】
名前 姫野 さくら
種族 人族
グレード1
レベル1→61
HP 200/200→940/940
MP 500/500→60/1560
STR 105→240
DEF 94→305
INT 450→643
AGI 120→406
CHA 600→798
LUK 120→120
スキル 賢者 魔力操作40/100 火魔法3/100 水魔法1/100 風魔法1/100 土魔法1/100 雷魔法3/100 闇魔法1/100 光魔法1/100 回復魔法15/100
「…………」
レベル差が30以上もあるのにINTとMPで抜かされてる……。CHAに至ってはもう何にも言えない。まあ、わかりきってましたよ。そんなこと。
「ど、どうかな?」
恥ずかしげに俯いて尋ねてくるさくらに、真冬はうらやましさを隠しながら答える。
「う、うん。さくらもなかなかすごいと思うよ。レベルが僕より30ぐらい低いのに、MPとINTで抜かしてるじゃん。凄いと思うよ。……うん……うらやましくなんかないよ」
「羨ましいと思ってるんだね」
さくらにからかうようにそう言われたので居たたまれなくなり、急いで話題を変えることにする。
「こ、これで、役割が決まったね」
正味な話、貰ったスキルが通算で2個目なので、ここまでの代物だとは思わなかった。
もしこれを僕が貰っていたら、世界征服など容易にできるかもしれないぐらいこの2つは強力なものすぎる。
「そうだね、私が後衛で魔法を唱えて魔物を殲滅するから任せて!」
さくらさんの脳筋思考に僕の歯止めでは効かなくて困っているから、誰か早々にどうにかして欲しい……
さくらのスキルの水魔法や風魔法に熟練度が1入ってるのは賢者のスキルのおかげです。ナビーがいった通り使おうと思えば使えます。
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