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180話 上陸

 初めての海外、とは言うものの、国規模ではなく異世界という世界規模で違う物を体験しているのと、僕たちが飛行機だと言わんばかりに空を高速で飛んでここまで来たため、そこらへんの海外が初めての観光客よりは若干実感が薄めかもしれない。しかし、何はともあれ僕たちは地球上での初めての異国を一頻り感動した。


 そして、その後僕たちは文字通り地に足を付けた。


「ついに来ちゃいましたねー」


 キラキラとまるで磨きたての宝石のように目をこれでもかと輝かせながら、さくらはホクホクと呟いた。その隣でウィルもニコニコとしながら同意する。


「上から見た時と違ってまた良いね」


「うんうん……そうだ!折角だし、観光もしていこうよ!」


 ウィルの言う通り、上空から俯瞰して見たのとはまた違う、それこそ現実味の欠けた風景に見えていた物が、実際に地に足を付けたことによって本当にイタリアに来たのだと、しみじみと感じた。それに同意したさくらは観光を提案するも、


「まだこっちは朝早いから、剣を取りに行っちゃおうよ」


 日本との時差の関係によりまだ時刻が時刻ということで辺りはまだ薄暗く、ポツリポツリと歩いている人はいるが、観光目的で回るには些か早すぎる。


 それならば、とこの早い時間帯に一応観光地らしいその剣の場所に行ってしまえば、姿が見えないとは言え何かの手違いで、ということもあり得るので、念のための保険ということで丁度良いだろう。


「賛成!」


 さくらは少し後回しになるが観光は出来ると知って飛び跳ねて同意し、ウィル辺りを見渡しながらそれに同意を重ねた。


「そうだね、それじゃあ行こうか」


 ウィルは再度僕たちに飛行魔法を掛けたが、僕は気になったことを突っ込む。


「って、ウィル場所分かるの!?」


「なんとなく……?」


 ウィルのぼやぼやとした不明瞭な言い方に、疑問が深まるばかりだった。


「なんとなくってどういうこと?」


「んー……上手く言えないんだけどこっちって分かる感じ?」


 首を少しだけ傾けるのは、本当に言語化しづらい感覚からだろう。恐らくはアーティファクトのその身に宿した強大な力が、大精霊であるウィルに居場所を教えているのかもしれない。どちらにせよ、僕はその剣の在処について知らないため、ウィルもしくはさくらに従うしか他あるまい。


「なるほどね、それじゃあ道案内は任せたよ」


 ウィルは意気揚々と頷いた。


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