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131話 よだか

 ――よだか


 それは自分の願いを叶えたい一心で、凍てつくような夜空を登っていった、後に願いを叶え夜空を彩る星の1つとなる1匹の醜く、そして美しい鳥の話。


 僕は光の軌跡を残しながら一直線にベルーゼに向かっていく、剣としての姿形を辛うじて保っている物体を見ながら、その話を思いだした。


「――――」


 あとどのくらい時が経てば、投げた物がベルーゼに届くか分からない。届く前に僕たちは暴食に当たり、やられるかもしれない。そもそも届くかも今一判然としないし、もし届いたとしてもベルーゼに当たるかはまた別問題であり、それ以上に知る由もない。


 でも、何となく届くような気がしていた。それはフッとどこからともなく唐突に現れたようなもので、誰かに説明しようには説得力など微塵もないだろう。

 けど、届く。そう信じていた。


「――――」


 人一人分ぐらいある大きさから小石程度の小ささまで、どれを取っても大きさが被ることはないだろうと思えるほど、大小様々な暴食が僕らへと向かってくる。


 数えられないほどの多量さはさることながら、そのサイズのランダム性はそれだけで脅威となれよう。先ほどの時と同じ大きさが一定の場合、ある程度慣れてしまえば後は感覚で避けることも可能と言えば可能だ。


 しかし、大きさに少しでもばらつきがある場合、もちろん大体の大きさを測った感覚など頼りに出来るはずもなく、一つ一つ対応した動きを持ってして避けなければ、思ったよりも大きかった、あるいは小さかったなど、意識と実際とで差違が生じてしまう。

 そこで何とか修正して当たらなければ良いと言うものでも無く、そうしたちょっとした差違がやがては大きな差となり、最終的には思い描いていた未来とは全く違う場所へと着地をしてしまう事になる。


 なので、大きさの不規則性はそれだけで武器となり得るのだ。


 だが、その距離はすでに手を伸ばせば届くほどまで近付いて来ており、あとはもう瞬きをしている間に当たってしまうと思われるので、ランダム性は脅威となり得なかった。もしこのような形が最初から来ていたのだったら、もっと違う未来へ行っていたのだろう。


「――――」


 目の前ほんの数センチ、いや数ミリ、まつげが掠るか掠らないかの寸前のところで、目の前に見える光景が明かりを灯したように真っ黒から真っ白へと変わった。


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