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廃墟  作者: 尚文産商堂
9/9

エピローグ

試写の実施日は2日後だ。

試写室は手野テレビの屋内にあり、プロデューサーの名前で予約していた。

弁護士とともに俺が入ると、すでに準備が整っていて、全員が楽しみにしているということが顔に出ていた。

「全員揃いましたので、試写を始めさせていただきます」

司会はプロデューサーが務める。

小さな映画館のような試写室では、最大15人は入るようになっている。

今は、その3分の2ほどで、撮影に同行した人ら以外には、手野芸能社の社長と、制作局長だ。

手野芸能社は誰を担当するかで参加していて、制作局長は今回の企画のようなバラエティ番組などを担当するためだ。


映像は俺らが歩いた順番通りに試写されていく。

第四のウワサ、ミラーハウスのとき、制作局長が止めさせた。

「おい、人影が見えないか」

「えっ」

あわててカメラ担当が10秒ほど巻き戻してからコマ送りする。

部屋の奥、割れたガラスのさらにその向こうに、何か白いぼんやりした塊のような物が見える。

150cmほどの高さまであるようだ。

「あの時、自分ら以外にはいませんでしたよ」

「それは間違いないよな」

プロデューサーとディレクターが、撮影当時のことを話し合っている。

「少し進めます」

30秒進める頃には、はっきりと人影ができていた。

それも同じところに漂っているようだ。

“カメラ、何か映ってるか”

プロデューサーの声が聞こえる。

その時、白い人影は明らかにこちらに向けて手を振っていた。

「……よし、別のところだ」

制作局長が続けるように指示した。


しばらくは何事もなく進んだ。

「ここだ」

しかし、第七のウワサで俺が声を聴いたところになり、再び制作局長が映像を止めさせた。

「第16番ゴンドラ、おかしいとおもわないか」

この指摘で、俺らはざわつく。

制作局長の動体視力の良さはさておき、プロデューサーが制作局長へと尋ねた。

「具体的に、どのあたりでしょうか」

「ゴンドラに誰か乗っているような気がするんだよな」

鍵はかかっていないはずだ。

この静止映像では、俺が聞こえたということもあってそのゴンドラの中を調べているところだったからだ。

扉をあけて、中を見てみると、あの時には誰もいなかった。

だが、今はいる。

誰かはわからないが、それはすりガラスを通して見ているような、ぼやけた画像だ。

それでも、人だということははっきり分かるぐらいには見える。

「子供、か」

「ええ、そのようです」

後で誰か調べてみたが、皆目分からない。

そもそも誰も消えていないことは、少なくとも警察に届け出がなされていない以上調べようがない。


映像を全部見終わって、制作局長が結論を出す。

「よし、今回は第三、第六あたりを中心に構成してくれ。プロデューサー」

「はい」

「来週、タレントを入れる。弁護士先生も、それでよろしいですね」

弁護士がうなづいたのを見てから、さらに制作局長が指示を出していった。


この映像は加工され、切り貼りをされた上で本放送ができた。

2時間番組、ちなみに弁護士は目撃者の一人という形で登場していた。

これらの映像は局の倉庫も奥深く、通称『禁断の部屋』に封じられることとなった。

俺らはこの試写会の後、砂賀さんの手野八幡神社へお参りをして、お祓いを受けた。

そのおかげかは知らないが、祟られるようなことはなく、今も無事に生活できている。

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