第六のウワサ
再び地上へと戻り、今度は東エリアの正門そばへと向かう。
メリーゴーラウンドがあるところだ。
「噂では、誰もいないのにメリーゴーラウンドが回るとか」
「らしいです」
弁護士が案内しながらも話をする。
「これは見たことがないので、何とも言いませんが……」
その時、音楽が聞こえてきた。
「えっ」
思わず弁護士も、プロデューサーも声を上げる。
誰もいない園内で、誰もいないところで音楽が聞こえてきた。
とすれば、何かあるに違いない。
この発想に至るのに、時間はかからなかった。
駆けって行くと、そこは、寂し気に回っているメリーゴーラウンドがあった。
「美しいが、寂しいな」
プロデューサーが思わずこぼす。
誰も乗らないのに、昔を懐かしむかのように回り続けていた。
「停めます」
弁護士は操作盤を動かして、メリーゴーラウンドを停めた。
「カメラ、何か映ったか」
「いえ、こちらでは何もありませんでした」
映像では写っていないという。
ただ、まわし続けている必要があるから、試写の時に何か映っているかもしれない。
それを信じているようだとプロデューサーは見えた。
「さて、どうしましょうかね」
ただ、目の前で触っていないのにかかわらず動いたのは事実だ。
砂賀さんにも尋ねるが、お祓いをしておくということで話がまとまった。