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廃墟  作者: 尚文産商堂
3/9

第二のウワサ

中エリアから北東通りへと歩いていく。

こちらには、ジェットコースターの受付がある。

「ジェットコースターは最高速度約120km毎時、3回転ループや、最高高さ40メートルなどのさまざまな仕掛けがありました。すでに動かすことはできませんが」

弁護士に言われなくたって、動かせれないことぐらいはわかる。

すっかりと柱からレールから錆びているのが、下からも見て取れたからだ。

「第二のウワサ、ジェットコースターの事故。ですね」

プロデューサーがメモを取り出した。

「多数の声が上がっています。首の切断、発狂者、侵入者といった人によるもの。コースターが宙を飛んだ、脱輪など。様々な話がありました。これはどういうことなのでしょうか」

コースターを見上げながら、弁護士が話し出す。

「群盲象を評すと言いますか、あるいは羅生門効果と申しますか。いうならば、それは観測者の違い、ということになります」

「どういうことですか」

弁護士にプロデューサーが聞く。

すると、頂上部から少し離れたところを指した。

「あそこで事故が起こったと聞いています。原因は保守点検の不備。竜乃牙が遺族や被害者の方々に賠償金や慰謝料などを支払い、全て示談で片が付いたと聞いています」

弁護士がいう事故のあらましはこうだ。

コースターが上昇をやめ、頂上に達したとき、まず前方左側のネジが折れた。

自由落下によって速度が上がっている最中に反対側のネジが切断。

これによってコースターはレールから飛び出した。

半回転して地面に衝突すると、頭がすり下ろされた。

惨状が広がっていたことだろう。

そして、それの光景を見た者の中でその場で倒れる者、ありえないと発狂する者、とりあえず係員を呼びに行くものなど現れた。

中には、事故現場に侵入して、写真を撮る者もいた。

「……そして、これがその衝突現場です」

当時は、今ほどインターネットが発達していなかった。

だから全ての者に口止め料として金を配り、情報を流させないことは簡単だったのだろう。

とすると、ネットにも情報が上がっていなかったことはうなづける。

「つまり、一つの事故を、たくさんの人がみたから、様々な話になったということですか」

「そういうことになりましょう」

弁護士がプロデューサーにそう答えた。

「ここは撮影しない方がいいかもしれませんね。事故があったことを報じると、竜乃牙から何か言われるかもしれません」

俺がプロデューサーに言うと、腕組みしながらうなづいていた。

その傍らでは、亡くなられた方への弔意を示すため、砂賀さんが手を合わせていた。

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