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バーチャル・ラブゲーム  作者: 紫 魔夜


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10/10

終幕 エピローグ

完結します。突然に。

「お前が魔王軍のスパイなんだろう?」

 俺は確信をもってそう言ったわけではない。

「へえ。なんでそう思うんだ?」

 殿町(とのまち)の表情が見たことのないものに変わる。

「なんとなく」

 その反応を見て、俺はこいつが魔王軍のスパイだと確信した。

「へぇ。面白れぇな」

 殿町の姿が少しずつ変わっていく。背中には黒い翼、全身に黒いオーラをまとった悪魔のような姿へと。

「お前が魔王軍のスパイ滝川(たきかわ) 雅食(まさはみ)なんだろ?」

「ご明察!」

 一つ手を打って殿町、もとい滝川は飛翔する。

 しかし、俺に抵抗する手段はない。なすすべもなく俺は切り伏せられた。

「だが、残念。お前がスパイとして死ぬことになるんだよ」


【魔王軍のスパイに殺される。DEAD END】


 久しぶりこの表示見たな。

 それにしても。スパイはわかったが、この時点で暴いてはいけなかったらしい。

 ログアウト。

 次はもっとタイミングを考えて、って……あれ? ログアウト出来てない?

「さて、運ぶとするか」

 滝川が指を鳴らすと、どこからか棺桶のようなものが出現する。そして、俺の視界が真っ黒に染まった。どうやら俺は棺桶の中に入れられたらしい。

 何も見えない世界で滝川の声だけが響く。

「友達だ、をもじった名前だったんだが何がダメだったんだか」

「来たばかりの転校生に見破られるのは予想外だったな。もしくは知ってて転校してきたのか」

「魔王軍に増援を頼まないといけないかな。あいつに頭下げるのヤダな」

 時々揺れる棺桶の中。聞こえてくるのは滝川の愚痴ばかり。

 しばらく経って揺れが収まった。指を鳴らす音を合図に棺桶が崩れ去り、目の前に光が満ちていく。

 ここは屋上か。

「さあ、死んどいてくれよ。転校生」

 それだけ言うと、滝川は去っていった。


 ログアウト。

 何度となく繰り返してみるが、声は出ない。声に出なければ認識はされない。

 そんなことを繰り返しているうちにチャイムがなった。それでも、屋上には誰も来ない。

 このまま誰も来なかったらどうなるのだろうか。そう考えては来ても関係ないだろうと思考を止める。

 現実世界はどうなっているのだろうか。こんなことになっているのはわかっているのだろうか。そもそも、なぜこんなことになってしまったのだろうか。師匠の名前を勝手に使ったから天罰が下ったのか。ないか。いや、師匠の場合ありそうで怖いな。名づけの魔力、だしな。

 そんなことを取り留めもなく考えていると、突然ドアが開いた。

「あら? いい死体発見♪」

 動けなくなった俺の元に一人の少女が駆け寄ってくる。

 そのまま俺を抱き起すと、恍惚とした表情で見つめてくる。

【ヒロイン・鳴瀬(なきせ) 望兎(もと)の好感度が一定値へ達しました。任意のタイミングで告白イベントを発生させることが出来ます】

 軽快な音楽とともに、ヒロイン攻略の字幕が表示される。

 こんなことでヒロインは落とせたのか。あまりのあっけなさにため息がこぼれる。心の中で。

 そういえば、魔王の娘は誰だったのだろうか。動物の名前が入ってないのが魔王軍だと考えたのだが、そんな生徒にはあっていない。

 と、名前について考えていると一つのことに気が付いた。

 なきせ→nakise。逆さにするとesikan。屍姦(しかん)

 それで死体になってから攻略できたのか。名前に隠されていた真実にため息がこぼれる。心の中で。

「ずっと可愛がってあげる♡」

 鳴瀬は俺を抱きしめると、そっとほほに口づけをした。

 ゆっくりと全身を撫でまわし、俺の目を見つめる。彼女の手が目にかぶせられる。自力では閉ざせなくなった瞼が閉ざされ、俺の視界は完全な闇に染まった。

 全身を撫でまわされる。耳に息を吹きかけられる。女の子独特の香りが漂う。

 視界以外の五感が研ぎ澄まされていくような中で、俺はいつになく異性の存在を強く感じていた。

 唇と唇が重ねられる。

 ファーストキスの感想は色々な例えで表現されてきたが、俺の場合はなんだろう。とてもVR(バーチャル)だとは思えなかったとだけ言っておこう。

 ドアが開く音がして、抱きついていた鳴瀬の感覚がなくなる。

『いつでもみてるよ』

 彼女は最後にそう言った気がした。

ヒロインの女の子はネクロフィリアでした。というのを書きたくて書きました。彼女の家にはきっと死体がたくさんあります。そういう女の子です。

ここまでお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。

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