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シャングリ=ラ・ら・ら・・・  作者: 春海 玲
第五章 高二・高三
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1988夏

――カイは監物組の準構成員になったと他からも聞いた。



「この間、団地のカイのうちの前を通ってみたんだ。軽トラで荷物を運び出してて、カイはいなかったけど・・・美佐ちゃんがいた・・・帰ってきたんだ」

りょーへーが教えてくれたのはそれだけだった。


甲斐松生が連れ戻すとカイに約束していた母親が戻ってきた。

それを聞いた時、カイが紅蓮に帰って来ることはもう絶望的なのだと覚悟するしかなかった。



※ ※ ※



7月、高2の夏休み直前に紅蓮をハガの代に譲った。

周りに「まだ早い」と止められたが、俺にはもう紅蓮で走る意味を見失ってしまっていた。


ハガは俺よりいいリーダーだった。仲間の信頼も厚かったし、南軍騎兵隊もよくまとめて次のあさひの代に引き継がせた。

三代目紅蓮を任せても何の心配もなかった。

それでも夏の終わりまでは頼まれて一緒に走った。


先頭を走るハガの傍らにはこの代で一番ケンカの強いサンダが並んでいたが、トラもぴったりとハガの後を走っていた。

代替わりしたばかりの紅蓮を襲う馬鹿な奴らが出ないように、俺たちの代は護衛のようにそのケツについて走った。

外からは何の変りもなく見えただろうが――もう俺たちの紅蓮ではなかった。



最初に集会に来なくなったのは、ダブルだった。学校の被服製作の課題が忙しくて、と言い訳をしていたが、ダブルはとっくに自分の未来への道を見つけていたのだ。


俺が高校の仲間たちと四輪に入れ込み始めてから、バタも集会に顔を見せなくなった。もともと気まぐれだったケータも、いつのまにか姿を見る機会が減った。

そらだけが最後まで紅蓮に付きあっていた。


毎日学校で顔を合わせて、朝から晩までつるんでいた中学時代と違い、会わなくなればすぐに互いの消息が見えなくなる。

時々紅蓮の集会に顔を出した時に、人伝に噂を聞くだけになった。



※ ※ ※



バイクが中心の紅蓮に比べて、高校の仙堂学園の仲間は四輪が多かった。

それは女の子をひっかけるのに便利で、それだけが目的だったと言ってもいい。


時代もバブルで景気が良かったし、金を持っている親が多かったから、みんなガキとは思えないような車に乗っていた。

朝の登校時にBMWで校門まで乗りつける奴もいた。


先輩のシーマに乗せて貰ったついでに、女も回してもらった。

中央駅前のロータリーを一周する間に拾った二人連れの女で、後ろの席で先輩が女とやっている時に、俺は前の座席で女に乗っかられた。

アミという名前しか知らない年上の女で、キスしてきた口はシンナーの匂いがした。


それが俺の女との初体験で、後はもう数えるのも面倒なぐらいの手当たり次第の推して知るべしだった。



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