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1987夏-1

高一になった俺たちの目標は自動二輪の免許を取ることに尽きた。

それまで無免許で走っていたことは関係なく、【紅蓮】は16になったら免許を取ることが暗黙の規則になっていた。


当時の自動二輪免許は1975年に改正されてから排気量400cc以下の中型限定だった。


それ以上の大型に乗るための限定解除には免許試験場での一発試験しかなく、その合格率は1%の狭い門だった。

400㏄で良いバイクが出そろっていたから、無理して限定解除に挑むものは少なかったが、一発で受かった奴は英雄だった。

紅蓮の中ではタクロウさんだけがカワサキ・750RS(ゼッツー)に乗っていたが、何回目の試験で限定解除できたのか、未だに紅蓮の最高機密のままだった。



16歳になった奴から免許を取ると、次々に400㏄に乗り換えて行く。

7月末生まれの俺は、ショーヤとの約束もあったからフェックスにも乗れずに250のザリのまま指を咥えて見ているしかなかった。



※ ※ ※



6月の初めに、カイがスズキ・GSX400E(ザリ)に乗って登場すると、みんなわらわらと駆け寄ってバイクに取りついた。

カイには珍しく満面の笑みを見せていた。

「松爺のところに持ち込まれた事故車だけど、マリンさんと陸さんが手を入れてくれたんだ」

そらの兄貴のマリンさんはまだ高三で紅蓮に残って一緒に走っている。相変わらず面倒みよく俺らのメカニックの相談に乗ってくれていた。


カイのGSX400Eは今俺の乗っている250Eの兄貴分で、そのタンクの形から同じようにザリと呼ばれている。

俺のカワサキ・Z400FXフェックスより1馬力多い最高出力44馬力。速さだけで言えば、当時のNo.1だった。

明らかに俺のフェックスに喧嘩を売ってるようなもんだ。


「こいつは格好悪いから、フェックスほど売れなかったんじゃねえか」悔し紛れに喚いた俺は、結局自分の250Eも貶める羽目になり、

「男は見かけじゃなくて中身だろ」カイに笑われて一層頭に来た。


バタは250と同じ系列のカワサキ・KH400(ケッチ)を先輩から安く手に入れた。ケッチの癖のあるじゃじゃ馬ぶりがバタのお気に入りだったのだろう。

【ベンクー】でバイトしまくりのダブルは金を溜めたのか、ホンダ・CBX400Fを見せびらかした。

そらはいずれマリンさんが引退したら、北野家代々のヤマハ・XJ400(ペケジェイ)を引き継ぐつもりだ。


バイクにあまり興味のないケータもさすがに自前のバイクを手に入れ、ホンダ・CB250T HAWK(バブ)だったが、運転よりコールを切る練習に熱を入れ格段に上手くなった。

コールはアクセルをふかし右手首で捻りを加減しながらリズムを刻み、さらに左手でクラッチ操作して効果音をかける。

端にはただウァンウァンウァンとうるさく響く空ぶかしにしか聞こえないかもしれないが、なかなかテクニックが必要だった。

ケータはこれを女の子の前でやって、賞賛を浴びるのが嬉しいらしい。


毎週土曜の夜の紅蓮の集会には、千種と香西の正式メンバーの他に客分のかずまやのんちゃんたちのグループも加わって賑やかだった。

ようこの入ったレディースの【レッドリップス】も参加することがあった。



7月の末に俺も晴れて免許持ちになり、憧れのフェックスがやっと俺のものになった。

これで二代目紅蓮もいよいよ本格的に始動することになる。

となると、ダブルがしゃしゃり出て、紅蓮の特攻服を一新することを提案してきた。


「ヒロさんは顔が広いから、色んな奴が出入りするだろ。だから、紅蓮の本隊が一目でわかるようにしなくちゃ。今の赤いのはダサい。時代は黒だよ。黒地に金色の刺繍」

「紅蓮のシンボルは赤だ。赤入れないと先輩がキレるぞ」


さんざん悩んだダブルが決定したのは、黒の上下の特攻服に背中に金で縁取りした赤の刺繍で【二代目紅蓮】左胸と左腕にも赤で地名と紅蓮の文字を入れた。

ベルトも赤だ。

大和魂なんかの美辞麗句や日章旗とか流行っていたが、ダブルが全部却下して、シンプル イズ ベスト と押し通された。



二代目紅蓮の規則では、シンナーと女を輪姦(まわす)ことは厳禁と決めた。先輩で不満を口にした奴もいたが、この二つは絶対に譲らなかった。

千種の卒業生で新たに加入する奴も増えてきたし、騎兵隊がらみで外部の参加も多かったから、規律は厳しく守らせた。


カイの強さは知れ渡っていたので、それが一番の重石になったはずだ。



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