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シャングリ=ラ・ら・ら・・・  作者: 春海 玲
第二章 中三-夏
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1986盛夏-6

「良いバイクが見つかったから見に来い」と、マリンさんから連絡を貰ったのは祭りから一週間後だった。

そらの親父さんがやっている自動車修理工場に飛んでいくと、工場の裏で陸海空の兄弟三人が一台のバイクを取り囲んでいた。


「俺の知り合いが400に替えるから安く手放すって言ってるが、どうする、ヒロ?」

長男の陸さんは親父さんを手伝って工場で働いているが、俺たち千種中の先輩だ。まあ、昔はそれなりにやんちゃだったらしい。

「そらはいいのか」

もう一目見た時から俺のバイクだと思ってしまったが、一応そらに気を使う。

「俺は北野家代々のお下がりがあるからいいんだ」 そらは笑って俺をバイクの前に押し出した。


1980年スズキ初の4st250 初代GSX250Eだ。

それまでデザインが野暮ったいと言われ続けていたスズキが、斬新な戦闘機スタイルをだしたと世間をびっくりさせたが、上から見ると丸みを帯びた大きなタンクがザリガニを連想させるので【ザリ】と呼ばれている。

軽い車体、走りの性能は抜群に良い。


「5万でいいってよ。あと1万出せば、俺がカウル(風防)つけてやる。そうすりゃkatanaより格好良くなるぜ」

陸さんが言うのは、しゃれた外装をつけたkatanaシリーズがこれの後に出て人気が高いからだ。

「【紅蓮】の赤に塗装もしてくれる?」

俺がもうハンドルに手をかけて握りしめているのがまるわかりで、三人に笑われた。


6万なら、バイト代と小遣いで何とかなる。俺の即決を受けて、陸さんが引き受けてくれた。

「俺のバイクも見てく?」

そらは浮き浮きとガレージの奥へ俺を引っ張っていった。


北野家代々のお下がりというのは、ヤマハのRD250だった。いいバイクだが、これなら後継機のRZ250の方が断然名が売れてる。

どこが代々受け継がれるだけの価値があるのか俺にはわからない。

そらの兄貴二人も傍に来て、にやにやと笑っている。


「こいつのエンジンは350がボアアップされてるんだ」

そらが自慢そうに鼻をうごめかす。250ccと350ccの差は、何と言っても車検の有無だ。250ccのバイクは車検が必要ない。

だから250の車体に350のエンジンを入れ替えてパワーアップを計る改造は、カイのパッジョグ(パッソルとジョグ)と同じ理屈だ。


「速いのか?」

俺の質問に三人が当たり前だと言うように同時に笑って頷く。

陸さんが乗っていたRX350はナナハンキラーとして名を馳せていて、マリンさんが乗ったRD250にそのエンジンを移した。

マリンさんはもうこの夏に400に乗り換えたのでRD250はそらに回ってきた。


【紅蓮】の艶やかな赤に塗装されたRD250は、確かに北野家の血脈を受け継いでいた。




※ ※ ※



俺とそらが250ccのバイクを手に入れたと言う噂はあっという間に広がり、千種の仲間だけでなく騎兵隊の他の連中のバイク熱も加速させていった。



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