097 想定外の戦力
相棒の変化は見過ごせない事態だが、今は生きててくれた事が嬉しいのでこの際追求は置いておこう。
俺を抑えていた全身革鎧の男は、相棒の復活に邪魔だったのか、地面に蹴り転がされている。
腕を噛み千切られた男はショートソードを掲げ、忌々しそうに相棒を見ている。商人風の腹ぼて男と斧をもった男は状況把握に努めているのか、相棒の出方を伺っている。
辺りは魔素が満ち溢れている。相棒が体を動かす度に残る残滓が空気に溶けて、その濃度をさらに深める。
「ふむ、もう大丈夫だ。ダーシャ、返すよ。」
相棒の体から金色の光が一条の帯となって向かってきた。俺の周りを取り囲むと、体内に付着し、浸透した。
「このバケモノ共が!!」
マント姿の男は手元にある刻印をすべて俺に投げつけた。しかし、刻印が発動することが無かった。
「どうした? 何かお困り事か?」
何度も魔素を流しなおすマント姿の男の背後をとり、耳元で囁き続ける相棒。
「愚かだな。あの魔素の中に刻印を使っても、発動する訳が無いじゃないか。貴様の持ってる刻印はコレの劣化版だな。」
マント姿の男は俺を見つめている。俺の周りにはまだ金色の光が漂っている。
「貴様らには感謝しよう。襲撃が無ければ、ダーシャは我らを顕現させることは無かったやも知れん。魔素は集いて魔力となる。魔術は魔力を導く術である。刻印はその現象を真似る児戯だ。人間の言うところの適合者は魔術士の候補者だ、それを顕現できるかどうかは誰も知らん。」
マント姿の男はカタカタを歯を鳴らしながら震えている。現状を理解したのだろう。あれほど優勢だった囲みは既になく、リーダー格の男やタダムもいまだ交戦中だ。刻印無しで、俺と相棒の相手をしなくてはいけない。
「バディ、殺しちゃ駄目だ。」
あの事件の真犯人だ。ココは確実に捕縛して事件の真相を暴いてやる。
閃光が走ったかと思うと、―ドカン―と大地を震わせる音が鳴り響いた。。
目の前に居たマント姿の男は泡を吹いて気絶していた。
同じタイミングでサヤーニャがリーダー格の男を撃退していた。タダムは老紳士に説得され、頭を垂れていた。
「残るは後始末だけだな。」
全員で頷くと鍛冶の街に向かって進路を取った。
戦闘シーンが終わったけど、ちゃんと戦闘してない気がします・・・。
見直しは結合時にするとして、本編は進めます。




