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月の滴  作者: あれっきーの
遥かなる家路
96/136

096 開放

昨日と一昨日のマトメ!

・襲撃にあったダーシャ一行は迎撃すべく立ち向かう

・サヤーニャはリーダー格と、アブさんはタダムと対峙し、残りはダーシャとバディで担当した

・戦闘でバディが瀕死の重傷を負う

・月の滴輸送箱を見つけた襲撃者が、封印を解けとダーシャに迫る

・ダーシャが呪文と唱えて封印を解くと見せかけたが、輸送中の月の滴が突如光り輝いた


ココからは俺のターン!?


 封印を解く為の呪文と思っていたなら大間違いだ。俺が唱えた呪文は、『月の滴』を自由な魔素に変換する為の呪文だ。


 ―『月の滴』は『適合者()』の意思を汲取り自由に形状を変化させる―


 ならば、俺は『月の滴』を魔素に変換させ、相棒(バディ)の体を治す。


「お望みの通り、魔素を開放したぞ。」


 俺の胸元から発する光は、まさしく魔素そのものだ。夜襲に合う前の打ち合わせで、俺捕らえられる可能性も考えられていた。


 襲撃の際に、箱が取られることはあらかじめ想定していた。あの箱を持って移動するのは困難だし、戦闘するなどもっての外だ。ならば『月の滴』の特性を利用して、俺の体に纏わせる事で守りやすくする。さらに、心臓や内臓を守る防具としていた。


 実際、奴ら(襲撃者)にしてみたら『月の滴』はお宝で、それは大事に保存して輸送する物だ。俺の身体検査などするわけも無く、あっさり輸送箱()に引っかかった。


 そして、どうしようもない時にと決めていたのが、『祝詞(呪文)』を唱えて『月の滴』を開放して戦闘に利用することである。


 適合者()の意思を汲取った『月の滴』は、俺の望み通り、光の塊に姿を変えた。


「この餓鬼が! 自分が何をしたかわかっているのか?」


 魔素に分解された光は、相棒(バディ)の元に集い、怪我を一瞬で塞いだ。残りの魔素はその体に染み込んだ。体内で変換が行われ失われた血液の代わりになることだろう。


 瀕死の重傷で動けなくなっていた相棒(バディ)の体が元通りになると全身から魔素が漏れ出し、光り輝いている。


「何とか言えよ! この、くそ餓鬼が!!」


 俺は顔を蹴り上げられ、髪を掴まれる。


 しかし、今はこの痛みすら気にならない。


「お前等に取られる位なら、相棒(バディ)の回復に使うのが有意義ってもんだろ。」


 してやったりと笑うが、俺を抑えている全身革鎧の男(ドスペーヒ)に右腕をねじ上げられ、―ベキッ―と音を立てて腕を折られた。


 直後、俺の体は金色の光に包まれた。そう認識すると、先ほどまで俺を抑えていた冒険者が遠くに飛ばされていた。


「久しぶりにこの姿になれたな。」


 金色のソレが口を開いた。


「ダーシャ。礼を言うぞ。」


 金色のソレは、己から発する光を抑え、一糸纏わぬ女性の姿で俺に抱きついた。その声は、どこか懐かしい、聞き覚えのある声だった。


「あの時は一生相棒で居ると約定を交わしたな。そして、今回は相棒()の為に『月の滴(2度目の幸福)』を失った。相変わらず欲の少ない事よ。ならば、相棒()の為に貴方が失った『月の滴(宝石)』の対価をココで払うとしよう。」


 抱きつかれた時に、折られた腕は痛みを残さず一瞬で回復している。この空間の魔素濃度は異常だ。老紳士(アブさん)に影響が出ないように、空気中の魔素で薄い膜を作り、それ以上老紳士(アブさん)に近づかないように操作を行う。


「何だこいつは!?」


「魔物だ! 魔物の類に違いない!!」


 ありえない光景に慌てふためく冒険者達。俺も思考がついてこない。今の話で理解できたのは、この光る裸の女性が相棒(バディ)と名乗ってることと、冒険者達がこれから蹂躙されるのだろうという事だけだ。


「まずは、私に攻撃を加えてくれた虫けらから処分をしよう。楽に死ねるとは思うなよ。」


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