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月の滴  作者: あれっきーの
遥かなる家路
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078 アンナとサヤーニャの出会い




「代官に抗議って、お姉さん大丈夫なの?」


「ああ見えても、Sランク冒険者(ランカー)だし大丈夫だろう。」


 高ランク冒険者は武力と知力と時の運が重ならないと成れるものではない。その中でも最高峰のSランク冒険者(ランカー)になれるものは一握りしかいない。冒険者ギルドが数を制限しているのではない。例えば、ドラゴン1匹倒すだけでもなることができる。問題はそのドラゴン1匹を倒すのにAランク冒険者(準ランカー)が10人集まって勝率1割をきる事だ。その難関を乗り越えた者がSランク冒険者(ランカー)に辿り着くことができる。


 ランカーというだけ有り、Sランク冒険者はその中で序列が決まっている。他の冒険者には無いシステムだ。ランキングは滅多に変動しないので一般人は気にしない。


 ドラゴンを相手にできるSランク冒険者が暇をしないように、他のSランクと武力抗争(じゃれあい)で純粋な武力だけで競技するのだ。観客に一般人がいたら、その余波で死ぬ可能性大だ。事前に領主なり代官なりに申請して、人里はなれた場所で戦うのが基本だ。


「あの年でSランク冒険者(ランカー)ってすごいのね。」


 二つ名(『刻印の剣舞士』)は知っていたが、どうやらランクまで知らなかったらしい。


「普段は刻印士もしてるらしいよ。」


 予想通りアンナは喜び、女将さんは目を点にした。その理由は分かる。刻印士をしながらSランク冒険者(ランカー)というと、街の商店経営者が実は最強でしたと言ってるのと大差が無いのだ。


「世の中凄い事もあるんだね。」


 しみじみ言葉を漏らす女将さん。


「私はそんなすごい人に2度も助けられるんだ。」


 そういえば、以前助けてもらってみたいな事を言っていたな。何があったんだろう。


「門の外でパンを買ったときもそんな事をいってたよね。何があったか聞いてもいい?」


 そう聞くと、少しはにかみながら考え「いいよ」と答えてくれた。


「あれは、父さんが居なくなって1年位たった頃かな。6歳の私は宿(お家)の手伝いしようって決めて、近所のお兄ちゃんと一緒に野草をとりに森に入ったの。そしたら、案の定迷子になって2人で夜の間中彷徨ってたの。幸いお兄ちゃんが松明も準備していたから暗闇に怯えながらも足元が見えないって事は無かったの。でも、それが問題。明かりを目標にした魔物に襲われて、お兄ちゃんは背中に一生消えない傷を負ったの。私に『逃げろ』ってずっと叫んでたけど足が震えて言うことを聞いてくれなかったわ。そこに颯爽と現れて助けてくれたの。そのまま街まで案内してくれたわ。門番の人に『刻印の剣舞士に助けてもらったんだから、その命大事にしろよ』って言われて、助けてくれた人の名前を『刻印の剣舞士』って覚えてたの。」


 昔の自分の失敗を少し照れながら、サヤーニャとの出会いを興奮しながら教えてくれた。


「今回も颯爽と助けてくれるさ。」


俺の言葉に「うん」と元気一杯応えてくれた。

昔助けてくれた人が正義の味方だった!!


アンナ:私も冒険者になる!!

女将:がんばるのよ。

アンナ:すいませーん。冒険者登録したいです。

ポーニャ:本日の受付は終了しました

アンナ:なんで!?まだお昼だよ。

ポーニャ:うるさい!マイ・ハニーを連れて行って、同じ屋根の下に寝たようなツルペタ小娘は、家にかえって砂場に山を作ってなさい。

後輩受付:すいません、この人病んでるんで気にしないでくださいね

ポーニャ:ダーシャくぅぅぅぅぅん!!



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