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月の滴  作者: あれっきーの
遥かなる家路
73/136

073 旨い飯は正義

可能なら、メシテロになるほどの表現力がほしかった・・・

ダメージを受けたのは資料(写真)を見ながら書いてる私だけ




 食堂には俺達しか居なかった。アンナが持ってきた葡萄酒(ワイン)をグラスに注ぎ。料理が運ばれるまでしばしの(いとま)を楽しむ。


「あれから5年か。」


 瓶に貼られた紙(エチケットラベル)に記された葡萄酒(ワイン)の製造年。忘れもしない、法廷で下された膨大な慰謝料。それの支払いのために自ら望んで炭鉱奴隷を選んだ。今考えても、あの時与えられていた選択肢からは最善の選択ができていたと思う。しかしそれが、母上を悲しみ苦しめて、『もふもこ教』と領民から言われて居るのだとしたら他の選択をした方が良かったのではないか。いや、結局領民は娯楽に飢えている。貴族の醜聞(スキャンダル)は良い見世物だ。どんな選択をしていても重箱の底を突付くように粗を探して吊るし上げる事だろう。


 そんなことを考えていると、夕飯が運ばれてきた。



 セリャンカ(スープ)サラートオリヴィエ(前菜)シャシリク(メイン料理)チェブレキ(パン)・クリーチ《デザート》の5品。これで銅貨5枚はかなり安い。

 空腹に料理の匂いが届くと、お腹から「グ~ギュルギュルグ~」ととても情けない音を立てた。サヤーニャとアンナも大笑いだ。直後サヤーニャのお腹も鳴いたので食堂から笑い声がしばらく止まなかった。


 それぞれがお腹を押さえて笑いが治まったので、早速一口頂く。「美味しい」と自然に口から賛美が漏れる。味がすばらしい。


 セリャンカ(スープ)は魚で作られていてビーツとクワスの香りが鼻を通じて空っぽの胃袋を刺激する。程よい酸味が口内に広がり、これから夕飯を食べる準備はばっちりと涎がさっきから止まらない。


 次はサラートオリヴィエ(前菜)だ。サイコロ状に切られたジャガイモやにんじんに鶏肉が、セリャンカ(スープ)で刺激され暴れる胃袋を抑えてくれる。


 シャシリク(メイン料理)の前に添えつけのチェブレキ(パン)を齧る。チェブレキ(パン)の中に詰められたひき肉とチーズが融合している。揚げられたパンのカリカリした部分と抜けると、そこにはジューシーな肉汁とモツァレラチーズがとろけて待っていた。


 意を決してシャシリク(メイン料理)と対峙する。串焼きにされた肉の塊は見てるだけで食欲を注ぐ。一口肉をかじりとると、染み出るタレが肉汁と共にオリーブオイルやローリエの香りが口いっぱいに広がる。


 口の中が脂っこくなったので、注文した葡萄酒(アブさんのワイン)を飲んだ。口の中でゴワゴワしていた脂がさっぱりと無くなった。これは止まらない組み合わせだ。


 クリーチ《デザート》は口の中でシュワーっと溶ける、この食感は久しぶりだ。普段だと復活祭(パスハ)で食べるお菓子なのに、デザートで出てきたのは、女将さん一流のジョークなのかも知れない。


 それにしても、美味しかった。材料さえそろえば実家のコック(ジラーノフ)と良い勝負ができるのではないだろうか? しばらく食べてないから無理難題を言ってる気がしないでもないが実現しない対戦カードだ。帰ったら同じものを作ってもらって、こっそりと勝敗を見届けよう。


「しかし、こんなに旨くて安いのに、何で他にお客さんが居ないんだろう?」


 俺の言葉にアンナがビクリと肩を震わせ、俺のほうを見ると泣きながら胸に飛び込んできた。


-ぴくん


後輩:先輩どうしました?


ポーニャ:今、泥棒猫が未来のだんな様を汚した気がした。


後輩:そろそろ、現実みて弁えましょうよ。今年で2じゅ・・


ポーニャ:何を言うつもり!個人情報の流出は重大な事件なのよ


後輩:今年で2じゅ・・


ポーニャ:やめてー ごめんなさい。

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