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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
59/136

059 あつあつ蜂蜜パン

休日なので、更新時間が遅めです。

明日もこのくらいの時間になるかもです。


そして、『なろうコン大賞』応募してみました。



 空と大地の切れ目から眩しい光が差し込んできた。昨夜はあれから何もなく、むしろあの喧騒が嘘のように静かに焚き火の番をしていた。白み始めた空で鳥が目を覚まし、辺り一面から、チチチチチとかピュロロロロロロと聞こえてくる。


 陽の光なのか、鳥のさえずりで目を覚ましたのか、サヤーニャと老夫婦(アブさん夫妻)が起きてきた。


「おはようございます。」


「はい、おはようございます。昨日は大変だったけどあれから大事なかったのかい?」


「あの騒ぎが嘘のように、静かな夜でしたよ。」


「それは良かった。それじゃぁ、今朝は少し豪華な朝ごはんを作りましょう。ダーシャ君はあの蜂蜜が気に入ったみたいだから、パンに付けて食べてもいいのよ。」


 あの瞬間で好物と見透かされたらしい。サヤーニャにも突っ込まれたし、そんなに顔に出ていたのか。恥ずかしい。もう少し自分の感情をコントロール出来なくては、館に戻ってからの貴族教育が少し怖い。


「いや、でもあの蜂蜜は高価な物でしょ。」


「いいのよ。旅行用で瓶に小分けしてもってきたの。今日中に鍛冶の街(キゼル)に到着するから好きな人に食べてもらうのが蜂蜜も喜ぶわよ。」


 パンに切込みを入れ、蜂蜜をたっぷり入れる。俺の分だけじゃなく、他のパンにも同じように蜂蜜を入れている。


「私もこの食べ方が好きなんだけど、お爺さんがもったいないって怒るのよ。だから、旅の最終日だけはいつもこうして、みんなで美味しく食べるのが私の旅の締め括りなのよ。」


 焚き火でパンを焼き始めた。ついでに、簡易製のかまどで目玉焼きを4人分作り始め、朝食の準備が完了した。

 1か所だけではなく、全体に焼き色が着くようにパンを回しながら焼きあげた。全てに均等な焼き目が着いた。


「さぁさぁ、みなさん。朝ごはんの準備ができましたよ。」


 今回の旅程で、ずっと老淑女(ジーナさん)がご飯を作ってくれている。胃袋を満たしてくれる人が発言権を持つのは、炭鉱でも冒険者でも変わらない様だ。


 アツアツのパンを頬張ると、中から蜂蜜がトロリとあふれてきた。蜂蜜の染み着いた生地はしっとり甘く、一晩見張りで着かれた胃袋に辿りついた。


「んー。この蜂蜜美味しい。ねぇ、ジーナさん。昨日もこの蜂蜜でお茶をごちそうになりましたけど、この蜂蜜本当に美味しいですよね。鉱山の街(キゼル)のお店で売ってるんですか?」


 昨夜の話が引っ掛かってるのか、蜂蜜に興味を持っていかれているらしい。しかし、この蜂蜜が次の街で手に入るのなら、できるなら手元に置いておきたい。


「在庫があるかは分からないけど、『猫の歩廊亭』って宿屋の雑貨コーナーに置いてるのよ。」


 サヤーニャの顔を見合わせ。今夜の宿は『猫の歩廊亭』に決まった。


 4人でにぎやかに朝食を食べ終わると、最後の旅程に向けて出発した。




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