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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
55/136

055 美しい横顔

徐々にブックマーク増えてます(挨拶


今朝は起きると7時前。出社まで1時間ちょっとです。

朝の更新に間に合わなければ夜にUPしなければと考えていましたが

安産でした。

どうぞご賞味ください。





 暗闇の中、何かが蠢く姿が見える。大きさや形から判断すると人型、たぶん人間だな。「人払いの刻印があるのになぜ?」と吊るしてある刻印を見ると、人払いの刻印と獣払の刻印が両方とも真っ黒に煤けていた。


 いつもとは違う現象、いつもとは違う空気。


 俺は、サヤーニャから渡されていた発光の刻印を握りしめると、気付かない振りをしながら相棒(バディ)の首にしがみ付いた。


 蠢く者を観察すると、人数は7人。そのうち4人は片手に何かを握りしめている。何かを動かすと、磨かれた金属特有の輝きが月の光を反射した。武器だ。


 頭の中に警笛が響き渡る。山賊・・・いや盗賊だ。


 じわりじわりと、徐々に此方へ近づいてくる。


 まさか最初の見習い依頼でこんな戦闘があるとは予想もしていなかった。だからと言って逃げ出す事もできない。7人は散会し始めた、遠巻きに野営地を包囲しようとしている。


「喰らえ!」


 刻印に魔素を流し込み3秒後にまだ散会しきっていいない盗賊に向かって、スリングショットで撃ち込んだ。


 直後刻印が発動し、光の塊が彼らを襲った。


「襲撃だ!!」


「なかなか良い判断ね。」


 大声で叫ぶと、すぐ後ろにサヤーニャが居た。


「私に気が付けなかったのは仕方ないとして、判断は間違ってないわ。あいつらが散らばる前にこっちが行動することで、相手の機先を奪う。お蔭でほら、てんてこ舞いよ。」


 明りの下に出された盗賊達は、俺が気づいた事を知った。更に迎撃態勢である事も気がついた。しかし、人数差がある。相手は分かってるだけで7人。こっちは3人|(2人+1匹)但し、戦力がSランク冒険者(サヤーニャ)(バディ)(冒険者見習い)だ。


 下手に動くとまずいと言う事でおとなしく観察していると、矢が飛んできた。逃げずに襲ってくる様だ。


 はたから見ると、女子供と犬。日中に観察されていたのなら、それに老夫婦がいたから、湯治に着た家族だろう。刻印で夜を凌ぐ戦力が無い美味しい獲物。それが彼らが俺達に下した評価だろう。

 先手は奪われた物の、被害は無い。伸るか反るかの選択で、彼らは伸びる(襲う)を選択したのだ。


「引いてはくれなかったか。」


 矢は俺達より手前の地面に刺さった。ぼやきながらも次の手を考える。遠距離攻撃は俺達には効かない。サヤーニャが発動させた矢除けの刻印が乱気流を生み出し、外部から飛来する攻撃を全て無効化するからだ。


 これほど刻印を多様する観光客はいないだろ。逆を言えば狩ってしまえば美味しい獲物だ。徐々に散会しながら此方に向かっている。その顔には下衆な笑みが浮かんでいる事だろう。

 そんな彼らの行動を見ながらサヤーニャは笑顔で呟く。


「一般人を舐めるとどんな目に遭うか身に染みさせなきゃね。」


 その笑みにはいつもの優しさが無く、伝承で見た戦乙女の美しい横顔その物だった。


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