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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
53/136

053 護衛の1コマ



「薪を探してくるよ。」


「ついでに何か食べれそうな物があったらよろしく。」


「わかってるって。」


 冷静に考えるとサヤーニャが狩りをして、俺が野営準備した方が安全面で言うと高くなる。しかし、老紳士(アブさん)からの『男たるもの、女性を危険な目に合わせてはいかん!』というお達しがある。その為、安全な野営準備をサヤーニャが担当し、薪拾いなどの力仕事と狩猟等の危険が付きまとう仕事は俺の役目となっていた。

 そのせいか、この2日は老夫婦(護衛対象)が用意した食料意外口にしていない。山奥の温泉村スパ・ディリエーヴニァで食べた焼き鳥の味を思わず口の中で反芻してしまう程だ。


「くぅーん。」


 俺の単独行動を許さないのか、採集や狩りの時は必ず相棒(バディ)が着いてくる。「いざというときは相棒(バディ)を頼りなさい。」とサヤーニャからの許可ももらっている。

 しかし、今日の野営地は草原のど真ん中。この前のように灰色熊(グリズリー)に襲われる事もないだろう。

 小枝を拾い集めていると、馬車は1kmほど先の道端に停まった。あそこが今日の野営地だろう。ココからあそこまでの薪を拾えば、今夜の燃料が足りる計算なのだろう。

 集めた薪をソリに載せ、また新しい薪を拾う。1時間ほどでソリは薪で一杯になり、丁度野営地に辿りついた。


「あらあら、お疲れ様。はい、お茶よ。」


 老淑女(ジーナさん)からカップを手渡され、湯気の立つお茶で一息つく。


「獲物は何もなし?」


「さすがに何も居無かったよ。相棒(バディ)の鼻にも引っかからなかったみたいだ。」


 相棒(バディ)の鼻は強力で、数キロ先の獲物を見つけてくれる。生憎と風も凪いでいて気配もなければ匂いも届かなかったようだ。こうなると俺に獲物を探す手立ては何もない。


「それなら仕方がないわね。逆言えば、夜中に襲われる事も少ないか。」


 無いとは言い切らないサヤーニャ。護衛として気を抜くとヤバイと言う事を実感しているのだろう。例え安全と確信を持っていても、仕事の最中は気を抜かないのが生き残る為の鉄則だと教えてくれた。


「となると、今日の夕飯は保存食からじゃな。おい、ジーナ。」


「はいはい、分かってますよ。貴方の好物の(トラウト)と乾燥キノコを使って何か拵えましょう。」


 馬車の中に設置されている保存箱には冷気と腐敗防止の刻印が刻まれている。その箱から生魚を取り出し、後は適当に野菜を持ってくる。


「冷え込んできたから、今夜は温かいスープにしましょうね。」


 (トラウト)の鱗を丁寧に処理し、3枚に下ろすと適当なサイズにぶつ切りした。その間にぐらぐらと沸いた鍋に、塩、胡椒、皮をむき一口サイズに切ったジャガイモ・人参を入ると蓋をすると、くつくつと音を立ててしっかりと茹でる。ある程度煮えたら、(トラウト)の切り身を入れる。この時に月桂樹の葉(ローリエ)を入れ忘れると台無しらしい。


「骨は乾燥させると美味しい保存食が出来上がるのよ。パリパリに焙るとお酒のつまみにもなるんだから。」


 何十年も作ってきたと予想される老紳士(アブさん)の好物と思わしき料理は、温かくやさしい家庭の味だった。


仕事急がしいです。

睡眠不足です。

猫奴隷です(ひゃっはー)

それでも日刊は続けるよ~♪

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