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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
50/136

050 冒険者登録 その3

祝!! 連載50話!!


皆さまのおかげで50話まで書き続ける事が出来ました。


「お待たせしました。」


 こけた時に椅子にぶつけたのか、右すねを抑えながらぴょっこぴょっこ戻ってきた。

 多少呼吸が荒くなった受付(オッサン)が木製バインダーを手渡した。


「じゃぁ、兄さん。これに名前を書いてもらっていいかな。」


「名前だけで良いんですか?」


 確か冒険者タグは身分証明の代わりにもなったはずだ。住所や家族の情報とかかかなくていいのだろうか。


「あぁ、書けなければ代筆もするでな。名前以外にも書いておきたい項目があれば書いてくれたら良いし、後から更新することもできる。それが終わったら、何か適当なナイフで指を切ってココに血をつけてくれ。」


「ここですか・・?」


「そうだ。垂らした血で本人の魔力情報を参照するだ。過去に罪を犯した者が分かる仕組みだ。」


 そう言えば、あの時も血を取られた記憶があるな。昔受けた裁判の前にも血を取られた事を思い出した。


 名前を書き、指定された場所に血を垂らした。すると、書類が光り切符サイズの板がバインダーからポロリと外れた。それと同時に、バインダーが赤く光りだした。


「おいおい、兄ちゃん。いったいどんな悪い事したんだよ。」


 呆れ顔のギルドマスターだ。


「その光は、何か罪を犯したがおとなしく贖罪した者に対する光りだ。既に罪を償ってるとは言え、場合によってはギルド登録はさせれないな。」


 言葉とは裏腹に顔の厳めしさが増している。


「あら、その点なら私が説明するわ。」


 こうして、俺の経歴が赤裸々に語られた。むしろ何で、こんな事まで知ってるのかと声を大きくして抗議した。しかも、幼馴染の姉(ナーシャ)を慕っているとかねつ造までされている。ナーシャの策略に違いない。


「悲劇の時期領主事件の被害者か。あの話なら俺も聞いたよ。」


 どうやら巷ではかなり有名な事件らしい。将来有望な領主の息子が領地発展の為に開発した魔具を、自己中心的な冒険者達が悪用・破壊・逃走したにより、時期領主を炭鉱奴隷にしてしまったと。そのせいで一時期は領地内の冒険者ギルドの風当たりが冷たかったとか。


「そう言う事なら問題ないな。登録を続けてくれ。」


 受付(オッサン)は一緒に持ってきた革紐をくれた。


「それに、この革紐を通したら完成じゃな。」


「意外とあっさり終わるんですね。」


 素直な感想を口に出した。どんな刻印がバインダーに刻まれているんだろうか。個人的にはそっちのが気になる。


「冒険者になるのは荒くれ者が多いからな。一々説明しても理解できんし、するだけ無駄な事が多いんじゃ。悪い事をしたらギルドを敵にまわす。それだけ覚えておいて貰えたらいい。後は他人様に迷惑をかけず、ギルドの発展に貢献してくれ。そうそう、あんたを陥れた冒険者や商人達はあの件でお尋ね者になった。いまだに捕まっておらんのが嘆かわしいがな。それじゃワシは部屋に戻るんで、後はそこの受付に言いつけてくれ。」


「はい。ありがとうございました。」


 ギルドマスターはそう言い残すと自分の部屋に帰って行った。わざわざ足を運ばせるとは、Sランク冒険者(サヤーニャ)のすごさを改めて考えさせられた。


「それじゃぁ、さっそくだけど、鍛冶の街(キゼル)までの護衛を募集している馬車が無いかしら?」


「直近ですと2組ありますね。」


「内容は?」


「近い方からだと、明日の早朝が1件と、明明後日(しあさって)の昼が1件ですね。」


「明日の奴の詳細を教えて。」


「はい。鍛冶の街(キゼル)に拠点を構える商人の護衛ですね。護衛対象は2人。夫婦です。年に2~3度湯治に通われてます。料金は・・・」


「それにするわ。」


 最後まで聞かずに決めてしまった。もうちょっと最後まで聞いても良かったと思うんだけどな。


「わかりました。特に面談は無いので、明日の朝8時には西門前に着てください。」


「わかったわ。ありがとうね。」


「いえ、無事な依頼達成を祈ってます。」


 ひと悶着あったが、こうして俺の冒険者デビューの依頼が決まった。



明日はアンケートだけになるかも!

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