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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
49/136

049 冒険者登録 その2


 



「到着っと。」


 口の周りに肉汁をつけたままのサヤーニャ。初めて見る冒険者ギルドに俺は少し気遅れしていた。なぜなら・・・。


「予想より大きな建物なんだ。」


「ここまで大きくする理由が無いのに、吃驚ね。」


 目の前には3階建ての建物がある。入口には『ようこそ冒険者ギルドへ』という胡散臭い看板と『冒険者御用達酒場はコチラ』と書かれた看板が、ど真ん中の入り口の左右に設置されている。仕事が無い冒険者=酒場に入り浸るって図式は聞いていたが、ギルドが他で飲ませないようにしているのは気のせいだろうか。建物側面には『BAR&INN』って書いてあるし宿屋も併設だろう。仕事が終わった冒険者が酒場で気持ちよく飲んで宿で寝る。小さい市場が完成している。


「見てても仕方がないから、中に入ろうか。」


 ぼけーっと見てても仕方がないと、相棒(バディ)が足に頭突きをして俺の意識を呼び覚ましてくれた。


「おっじゃましまーす。」


 この人はどこに言っても元気だな。相棒(バディ)を入口横で待たせると俺も後を追って入口をくぐる。


「はい、いらっしゃいませ。ご依頼の申し込みですか? それともご依頼を探されますか。」


「探すのと、この子の登録をお願いするわ。」


 そう言いつつ、自分のギルドカードを見せる。それを見た受付は顔を青くして、3度カードを見返した。


「あ・・・あの、ギルドマスターを呼んできますね。」


「私は気にしないけど、必要なら連れてきても良いわよ。」


「はい。では、あちらの席でお待ちください。」


 他に冒険者が居ないので気にしないけど、受付は1人しかいない。いきなり俺たちをほっぽり出していくのはよっぽどの事情があるのだろう。まさか、サヤーニャが指名手配されているとか・・・?


「特別待遇っぽいけど、サヤーニャの所為?」


「かなぁ。一応人数が少ないランクに属してるから・・・。」


 受付が示した席は酒場のテーブルだった。バーテンに片手をあげて挨拶をすると、オッサンはショットグラスを持ってくると、なみなみと液体を注いだ。この時間から酒を当たり前に出すとか、さすがは冒険者ギルド。俺の予想を超えていくぜ。


 酒には手をつけず、代わりに果汁ジュースを頼み、ちびりちびりと飲んで受付(オッサン)が戻ってくるのを待つ。


 しばらく待つと、奥の部屋から先程の受付(オッサン)と、|頭が禿げあがった爺さん《たぶんギルドマスター》がでてきた。


「お待たせしました。」


 受付(オッサン)は恐縮しながら遅くなった事を詫びる。


「いいえ、そんなに待ってないわ。それにこのジュース美味しいから。」


 ほとんど空になったグラスをバーテンに見せると、ニヤリと笑っていた。


「お前が、Sランク冒険者か。まだ小娘じゃないか。末恐ろしいのぉ。」


 Sランク冒険者は珍しいのか。それとも女性のSランク冒険者が珍しいのか。剣の腕は確かにすごかった。最近は日常生活がちょっとアレだけどな。


「あほ貴族を撃退した女冒険者とはお前さんの事だろ?」


「あら、そこまでばれてたの。」


「村人の気配で分かるさ。伊達に年は食っておらんさ。それに、ディアスがこんな上機嫌に給仕するなんて滅多にないしな。」


 顎で示された方を見ると、ディアスと呼ばれたバーテンがお代わりを持ってこっちに向かっていた。


「まぁ、その話はいいわ。それよりも、この子の登録お願いしてもらっても良い?」


「あぁ、任された。おい、書類持ってこい。」


「はい、分かりました。」


 受付机に走って書類を取りにもどっていた。あ、こけた。受付(オッサン)なんかごめんな。


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