047 悲しい男心
休日でぼけーっとしてたら、あっという間に投稿予定時間を過ぎていました。
一度頭をすっきりさせてから、明日の分ストックしておきます orz
サヤーニャの笑顔に応えるべく、万屋はかなり頑張ったと思う。
灰色熊の燻製が100gで銅貨1枚と鉄貨50枚。キツネの燻製が100gで銅貨1枚と鉄貨30枚。灰色熊の毛皮が銀貨2枚と、合計で銀貨36枚も払ってくれた。
本当は銀貨35枚と銅貨90枚だったが、「邪魔だから切りよくして」とサヤーニャの笑顔攻撃に陥落していた。「それ以上の価格で売れるから大丈夫なはず」と、どこか遠くを見ながらブツブツ言ってた。きっと損益分岐点がヤバイ事になってると思う。
俺はそんな修羅場を見ないふりして、相棒の毛皮に櫛をとおしていた。
「で、本題なんだけどさ。」
それまで、和気藹々と話していたサヤーニャの目が変わった。
「村長の家で終わる話が、俺の呼び出しだろ。何となく覚悟はしてたさ。」
さすがは元PTメンバー。
「俺の力が必要なんだろ。任せておけ。どこまでもついて行くぜ。」
「あ、それはいらない。」
盛り上がってるところをざっくりと切り捨てた。サヤーニャさん、男心を完全に無視しましたね。どう見ても、この人はサヤーニャさんの手伝いしたくてしょうがないって目をしているのに。
「頼みたいのはねぇ~。」
また、無理難題を言うのではないかと「ゴクリ」と喉を鳴らす。
「鍛冶の街までの護衛を募集している馬車があったら、便乗したいのよ。」
目的は、移動日数の短縮だ。
「それなら、馬を借りてさっさと進んだ方が早いんじゃないのか?」
「それもそうなんだけどねぇ。」
俺の方をちらりと見ると。
「ダーシャ君、乗馬できる?」
「毎回同じ応えて申し訳ないですが、生まれてこの方馬の背中に乗った事はありません。」
うん。このやり取りはココに来るまでの間に何度もしたんだ。サヤーニャも知ってる答えを再確認する
「そういうわけなの。」
「なるほど、坊主が馬に乗れないから馬車に相乗りしたいんだな。」
「そう言う事。」
少し考え、万屋は提案した。
「それなら、うちの仕入れ馬車に乗って行くか、どこかの護衛で乗っけるかどちらかだが。生憎と仕入れ馬車はおととい出ちまったからな。しばらくこの村に居るなら良いけど急ぎの旅なんだろ?」
「そうね。できれば早く移動したいわ。」
「わかった。ギルドに言って護衛を探してみよう。」
「話が早いわね。って、この村にギルドできたの?」
ギルドというのは、冒険者ギルドの事である。そこに登録していると、色々な仕事を斡旋してもらえるし、張り出されている依頼を受けることもできる。
「なんだ、知らなかったのか。サヤーニャがあの馬鹿領主を撃退してしばらくしてから、ギルドを誘致したんだよ。」
「そうだったんだ。知らなかったわ。」
「それなら話は早いな。坊主のギルド登録は終わってるのか?」
「ううん。元々はダーシャ君の護衛で移動だし、この前自由になった子だからまだ登録すら終わってないわ。」
「じゃぁ、まずは登録からだな。坊主がんばれよ。」
好きな女性の為に張り切るのは男のサガだと思うのですが
相手にばっさり切られた時のダメージはきついと思います。




