040 Re:初めての獲物
昨日までのあらすじ
キツネを罠で狩ったの
以上!!
「もう、そんなに乱暴にしちゃダメだってば」
サヤーニャから容赦の無い叱咤が飛んでくる。
「もっと優しく、丁寧に。女性のやわ肌を触るようにって、ごめん。童貞には無理な相談だよね。」
「そのネタはもういいんで、ちゃんと教えてください。」
指導ならともかく、童貞ネタには敏感な年頃だ。
5年も炭鉱に引きこもっていたので、オッサン達から肌を触れ合わせる良さというものは耳にタコができる位聞かされている。勿論15才ということもあり、正直興味がある。しかし、男所帯の炭鉱で女性と話す機会もほとんど無かったのだ。最後の1週間で看護婦との距離が縮まったのが僥倖だった。
「せっかく弄るネタ見つけたと思ったのに。」
冷たい目で似た見つつ、きちんと反撃にでる。
「悪趣味ですよ。それとも未成年に卑猥な話をして悦るのも護衛の仕事ですか。」
「それを言われると辛いなぁ。」
その言葉を最後に、この話は終わりですとばかりに、肉の処理が終わった獲物に目をやり、毛皮の処理に入る。
「尻尾は切り落とした方がいいんですか?」
毛皮のコートとか作るなら、一度切り取って、後で襟巻にすると丁度好さそうなサイズの尻尾だ。
「それは狩人さんの好みになるんだけど、大体は尻尾と毛皮を別にしてるわね。理由としては、別の用途で使うからあらかじめ分けておいた方が便利なのよ。」
それぞれ別の用途があるのなら、確かに分けておいた方が買い手には便利かもしれないし、別々の人に売れる可能性もあるな。
「じゃぁ、俺もそうしようかな。」
鉈で尻尾を切ろうとして止められた。
「でも、ダーシャ君の初めての獲物なのよね。」
「うん。」
言わずもがな、初めての狩りは最初の灰色熊。自分の罠で捕まえたキツネが本当の意味で『初めての獲物』になる。
「売らなきゃいけない理由が無いなら、持って帰って部屋に飾るなり、お土産にするなり、記念にすると良いかも。」
その考えは無かった。この毛皮は、俺が炭鉱から解放された記念であり、初めての狩りの成果でもある。このままもちかえれば母は大喜びするだろう。俺の無事を祈ってなのか、毛皮のもふもふなのかは判断がつかないが、実の息子の生還を祝ってくれると信じたいものである。
「それもそうだな。よし、このまま持って帰るよ。」
「判ったわ。次の村に入るまでは、風に当てて防腐処理した方がいいわよ。」
確か最初の村まで炭鉱で1週間と言っていた。実質残り4日半位。陰干しとか必要とか言われるなら、もうちょっとした方が良いかもしれない。
「その位で大丈夫なのか?」
首を縦に振って、再度大丈夫と意思表示してくれた。
「そのくらいしたら、余計な水分が抜けるからね。後は刻印刻んで出来上がり。」
「サヤーニャは物知りだな。」
さすがはランクS冒険者にして刻印屋。これで下ネタ言わなければ完璧なのにな。
「こんなの、田舎の子供なら誰でも知ってるわよ。刻印は、刻み方教えるから自分でやってみてね。さぁさぁ、早く残りの処理するする。」
褒められ慣れてないのか、顔を赤くして仕事を急がされた。
最近睡眠不足気味です。
毎朝「締め切り」の一言で目を無理やり覚ましてます。
今夜は早く寝ようと思います。




