039 初めての狩り
いつもより少し更新が遅れたのは、寝坊したからです(ごめんなさい)
昨日のあらすじ
「襲いかかってきた熊をさっくり倒したサヤーニャさん」
そして今日も少し生臭いかも?
「いやー。なかなか良い毛皮が手に入ったわね。」
彼女が手にしているのは先程自分で狩った灰色熊の毛皮。狩られる前の個体情報は、身長が3m体重が800kg程。性格は思量深いが好戦的。死因は、自分より好戦的な者に狩られたってところかな。
「それにしても、初めての狩りで肉食獣になっちゃってごめんね。」
意外にも彼女が頭を下げた。
「最初は、雪うさぎかキツネを狩ってから、その匂いにつられた灰色熊って二段階で考えてたの。いきなり主役だとさすがに無理だったよね。」
俺の言った「無理!」って言葉を曲解してらっしゃる様だ。「ダーシャ君には、まだ少し早かったかしら」は、狩りの順番的に灰色熊は早かったかしらであって、雪うさぎとキツネを狩っていたら戦わないといけない流れだったようだ。
「ちょっといいですか?」
思わず敬語になった。
「ん。どうしたの?」
大事なことなのできちんと伝えておこう。
「灰色熊を狩る以前に、普通の狩りすらした事無いので、まずは罠作って雪うさぎとかが丁度良いと思います。」
基本に帰ろう。一般人が生きた灰色熊をすぐ側で見るってことは、捕食される寸前って考えて良いからね。
「そうなんだ。ダーシャ君はまだ童貞なのね。」
え・・・!? は・・・!? いや・・・!? いきなり言われた言葉で顔を真っ赤にする。
「ごめん。そっちも童貞だったのね。大丈夫だよ。最初は怖いけどすぐになれるから。」
顔を赤くして言葉が出ない俺を抱きしめた。
「じゃぁ、さっそく童貞卒業しようか。バディちゃんはそこで待っていてね。」
そう言い残し、荷物から毛布を1枚取り出すと、相棒から離れた茂みに連れ込まれた。
キョトンとした相棒は、しゃぶっていた骨と僕らを数度か見直し、また骨をしゃぶり始めた。
「駄目よ、そんな乱暴にしたら。ここは反応が良いから、優しく・ゆっくりしてね。」
「ごめん。」
「いい、そこは丁寧に触ってね。」
「こ・・・こんな感じか?」
「うん。良い感じ。次はこっちを。」
「優しく、ゆっくりだったな。」
「あ・・・うん。なかなか筋が良いわ。」
「これで大丈夫ね。」
2人仲良く毛布を頭からかぶり、転がっている。
血の匂いを嗅ぎつけたのか、キツネが相棒の方を警戒しながら茂みに入ってきた。その中には、さっき俺が仕掛けた熊の内臓がある。
そこに突っ込んだキツネはピィ!と鳴きながら罠に掛った。
「よし!」
毛布を脱ぎ去ると、急いでキツネの元に行きトドメを刺した。
「これで童貞卒業だね。」
地べたに寝転んだままのサヤーニャは嬉しそうにこっちを眺めていた。
そんな僕らのやり取りを横目に、相棒は終始灰色熊の骨をしゃぶっていた。
最近ブックマーク増えてきました。
完結まで走り続けようと思うので、これからもよろしくおねがいします。




