030 刻印屋のオリジナル法具
連載30話!!
ようやく構想の3/10の進捗・・・。
「ところでダーシャ君。」
長い黒髪を掻き上げながら話を切り出してきた。
「これからの計画は、何か当てがあるの?」
第一目的は家に帰り、父に報告する事だ。問題は動こうとすると体に激痛が走る事だな。さっきのオッサンに殴られた時も、正直殴られた場所より、ベッドに登る方がよっぽど痛かった。
オッサンのパンチが石を投げた時とした場合に、今襲ってる痛みは、人間くらいの岩が崖の上からダイレクトに俺をめがけて落ちてきた感じだろ。もちろんそんな落石には巻き込まれた事が無いのでどのくらいの痛みかは想像だ。
「正直、体の痛みが酷すぎてまだ満足に動けないからな。もうちょっと療養が必要みたいだ。」
体の痛みを訴えると、怪訝な顔をされた。
「それはおかしいわね。通常の魔素中毒なら、適合するまでどれだけ期間を見ても1週間。それ以上かかる人は時々いるにしても、1週間たって満足に動けない人ってのは聞いたことがないわ。」
貧弱な子を見るように言われ、さすがに俺も不安になった。
「俺も、かれこれ約5年炭鉱に籠っていたから、体力不足ということは無いと信じてるんだけどな。」
約5年間。ほぼ休みなしで働いているのだ。一般的街人よりは体力があると自負している。発掘、運搬、粉砕。どれをとっても体を酷使する。
「ちょっと、調べてみてもいい?」
そう言うと、薄い板俺の上に置いてピッとかペポッとか聞きなれない音を出してる。
ピーピーガー ガ・・・ガガガ・・・ピーザー
聞きなれないというか、原始から続く人の恐怖心を揺さぶり起こす音だ。
「その魔具、大丈夫なのか」
「結構前に作ってから、何度も使ってるから大丈夫よ。」
運用テストもばっちりということだろう。
「そんな魔具を、見たことも聞いたことも無いけど、オリジナル作品なのか?」
「そうよ~。思いついたらすぐ作れる様に素材を大量にストックしてるのよ。」
ピッピコピッピコ音を立ててけたたましい大音量で「ピーーーー!」と鳴った。
「さて、結果が出たわね。どれどれ・・・え・・・?」
サヤーニャの時間が止まった。そのまま30秒はしっかり固まっていた。
「すっごく嫌な反応な気がするのは気のせいかな・・?」
どう考えても、経過良好って反応では無さそうだ。
「うん。キノセイ、キノセイ」
そういいつつ、俺と目を合わせようとしない。
「とりあえず後1週間は安静にしなきゃ駄目ね。」
探りを入れるようにじっと見つめてみる。
「仕方がないさ。」
言葉では理解してるかのうように伝えると。
「じゃぁ、ちょくちょく顔出しに来るね。」
結局最後まで目を会わせずに部屋を出ていった。
自分でもびっくりです。
まさか根性無しの私が毎日毎日30話まで休まずにこぎ着けるとは。
これもひとえに皆様の応援のおかげです。




