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月の滴  作者: あれっきーの
炭鉱奴隷への転落
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003 脱出成功!?

 相棒と一緒に素手で土砂を掘り広げていく。


 昔監督のおっさんに「補強がない場所の採掘には十分気をつけるように」と言われたことがあるが、今の状況では補強のしようがないので今回は見逃してもらおう。


 10分も掘ると指先の感覚がなくなっていた。きっと爪もボロボロになっているだろう。


 相棒の採掘速度は全然変わっていない。普段の採掘もこのくらい手伝ってくれたらどれだけ楽に仕事ができるだろうか?。


 暗闇はそれほど苦にはならないのは、ご先祖様から続くありがたい加護(魔女の血)のおかげだろう。

 視る行為に少し魔力を流せば、太陽の下の明るさ・・・とまではいかないが、困らない程度に閉ざされた空間を視認できる。


 小さい頃はこれの使い過ぎで父上に怒られたが、あの頃のおかげでこんな暗闇におびえず作業ができる。人生どう転ぶか本当に分からない。


 あれから数時間掘り続けてた。時間を計る道具などないが、俺の腹時計は優秀だ。現在時刻を昼とはっきり告げてきた。

 崩落時間が最初の休憩時間の直後だったから、かれこれ2時間は掘り続けている計算だ。


「ちょっと休憩しようか。」


 相棒に声をかけ休憩を促す。「わふ」と鳴いて足元にやってくると、水を求めて甘えてくる。


「ほら、待てってば。」


 お気に入りの水皿に1/3程水を注ぎ、自分も水筒から一口、二口と喉を湿らせた。先程から掘り進めている穴から、温かい光が見えてきている。

 この閉じ込められた状況でも希望を持つことができるのはありがたい。生き残る道が見えるから前に進むことができる。


 干し肉とチーズを半分食べ、残りを相棒に与えた。もってきた食料は1日分―と言っても5食分ある―

 脱出するまでの貴重な食料なので大事に食べなければいけないところだが、肉体労働は体が資本。体力にも限界があれば、素手でどこまで掘れるかも不明である。

 元気がない状態での採掘など自殺行為もいいところだ。夕方まで穴を広げても脱出できなければ、夕飯を食べて睡眠を取ろう。続きは明日の朝からすればいいだろう。

 明日の夕方までに脱出できなければ、後はいよいよもって救援を待つしかない。今日、明日で3食使い、残り2食で1週間生き延びれるだろうか。

 自分で逃げようとせずに最初から待っていた方が良かった可能性も否定はできない。しかし、閉鎖空間に閉じ込められっぱなしというのも精神衛生上よろしくない。


 ―だめならその時はその時―


 せめて相棒だけは無事に脱出させようと改めて心に誓った。


「よし!続きを掘るか!」


 威勢よく相棒に告げ、先程の採掘地点まで向かった。するといきなり足元の地面が揺れ、そして勢いよく土の中に吸い込まれていった。



「あぁぁぁぁーー」


 相棒を抱きしめて落下する、自分の声だけが虚しく響いていた。

予約掲載に挑戦!!

ルビにも挑戦したけどうまく表示できてるかな?

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