023 天使の休息
二日連続8時間睡眠できました。
お蔭さまで今朝は余裕をもって投稿できます。
「ダーシャ。ダーシャ。」
遠くの方で僕を呼ぶ声が聞こえる。せっかく気持ちよく寝たのに誰だろ。
しかし、知ってる声な記憶がある。
目を開くとそこは森の中、湖の畔で父が僕を呼んでいる。
夢か・・・。と直感的に理解した。
今日の落盤事故で家族の事を思い出したから、また出てきたに違いない。
夢の中でも寂しがり屋な父だなとクスリと笑った。
湖の上を滑るように飛んできた父は僕の頭を撫でてこう告げた。
「いいかい、ダーシャ。君はこれから大変な旅に出ることになる。しかし、君は多くの人からの愛に包まれ、助けられていくだろう。僕の予見では『君という存在に対し複数の光が君を包み、襲いかかるどんよりとした靄』までしかわからない。きっと碌なことではないだろう。しかし、包んでくれる光の幕が全てを払ってくれるから、その人たちに恥ずかしくない生き方をしなさい。」
久しぶりに夢に出てきた父は、最後に見たときよりも少し白髪が増えた気がした。
こんなところでも冷静に父に加齢を重ねさせる自分を、冷静に情報分析ができていると感じながら、もうすぐ会える他の家族に思いを馳せた。
そうこうしている内に僕の意識は覚醒した。
―チチチ…
鳥の声で目を覚ました。外は微妙に薄暗いが、長年の習慣で朝だということを理解していた。ウーンと伸びをすると、体中が悲鳴を上げた。
「そうだった、魔素にやられて1週間はまともに動けなかったんだ。」
全身の筋肉という筋肉が悲鳴を上げている。昨日より痛みがひどくなってる気がするのは気のせいか。
「わふ!」
起きた僕に気がついたのか、横で寝ていた相棒が飛びついてきた。
「わ、ま、まった、まったバディ。」
普段通りに飛び乗ってくる相棒だが、対応する僕の体はさっきの伸び以上に悲鳴を上げ続けてる。体の中を、小さな小人が叫びながら棍棒で殴りつけてる感覚だ。 僕の様子に気がついたのか、申し訳なさそうに「くぅーん」と鳴いて僕の側に座りなおす。
「ごめんよ、バディ。僕が呼んだのに、一晩放置してしまったね。」
相棒が横に居る理由を思い出すと、耳の後ろを掻いてあげながら謝罪した。 『そんなの気にしないよ』とばかりに、目を細め、頭を僕にするつける。いや、バディさん痛いんですけど・・・。
「ありがとな、バディ。お前が助けてくれたんだな。」
夢の中での父の言葉を思い出し、バディに感謝の言葉を伝える。バディは感謝の言葉に返すように、また顔を擦り付けてくる。これが母なら喜んで撫でまわし『もふもふは正義』というのであろう。どうも昨日から家族の事を思い出して仕方がない。
夢の中の言葉は、旅立ち前に父が僕にくれた『予知』だ。
僕はまだ魔術を習っていないが、うちの血統は『予知』を使えるらしい。内容は術者の力に依存するようで、父の能力では抽象的なイメージしか出ないらし。
いずれ僕にも顕現するはずなので、どこまで視えるようになるのか今から楽しみだ。
「バディには随分とお世話になっちゃったね。家に帰ったら、母上にお願いしておいしい物をたくさん用意してもらおうね。」
母の事だから、言わずとも最高級の一品を用意して待ってくれそうだ。それとも、少しは落ち着いて年相応の対応をしてくれるだろうか・・・? とりとめの無い事に意識を飛ばしながら体が動く日を待つしかなかった。
昨日までで3000Pv 1000Pvを超えました。
たくさんの方に私の拙い小説を読んでいただきありがとうございます。
物語はまだ始まったばかりで、まだまだ続きますが、これからもよろしくお付き合いくださいませ。
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