表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月の滴  作者: あれっきーの
炭鉱奴隷への転落
21/136

021 夢のつづき

寝坊したので、今日は短めです・・・。

夏の日差しの所為にする私を許してください。




「坊主・・・ おい! 坊主 起きろ!!」


「うぅーん・・・。 髭もじゃ。 もうちょっと静かにして。」


「誰が髭もじゃだ!」


 耳元で喚かれ、仕方がなく目を開ける。


「あれ、ここは・・・。」


「おいおい、しっかりしろよ。お前は炭鉱から救い出されて、医務室に運ばれたんだよ。」


 白衣を着た男 ―名前は知らないが、たしか医者― がこっちを覗きこんでいる。


「ほら、これが何本に見える?」


 指を差し出し、それに答える。そうこうしている内に入口の向こうから地響きがこっちに向かってきた。


「坊主!! 目が覚めたった本当か!!?」


 暑苦しくて、声のでかい、同室のおっさんが飛び込んできた。


「髭もじゃ・・・。」


 その声は髭もじゃで間違いなかった。しかしその頬はこけていて、まるで人が変わったかの様に憔悴していた。


「ごめん・・・髭もじゃ。心配かけた。そんなやつれるほど、俺、寝込んでた?」


 髭もじゃの目には涙が浮かんでいた。


「いや、君が生き埋めになってからは5時間。ここに運び込まれてからは1時間だ。さらに言うと、監督は痩せてなんていないよ。」


「誰が髭もじゃだ。懐かしい呼び方しやがって。お前がもじゃもじゃ言うから切ったのはもう何年も前の話だ。」


 そう言うと、元髭もじゃ(ユーリー)は俺にスープを注いでくれた。空っぽの胃袋に流れ込む熱い液体が、俺の意識を覚醒させていく。

 さっき見ていた夢の中での顔と比較して痩せて見えたのは、髭が無くなっていたからだ。

 冷静になった俺は、現状を確認した。


「えっと。今はどんな状況になっているか、教えてもらってもいいかな?」


「あぁ、任せろ。まずは崩落が起きた所から話そうかな。」


 自分用に注いだスープを飲みながら元髭もじゃ(ユーリー)はじっくりと説明を始めた。


「だが、その前の一つ言わせてくれ。」


 いきなり脱線か。だがいい。心配かけたのは俺なので文句を言えない。


「おめでとう、ダーリヤ・ダニイル・グリエフ卿。あなたの借金はすべて返済された。」


 悪戯が成功させた顔でにっこり笑う元髭もじゃ(ユーリー)は、相変わらず獲物を見つけた山賊の顔に見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ