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月の滴  作者: あれっきーの
炭鉱奴隷への転落
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002 炭鉱夫(マイナー)な生活

 ウゥーーーーーー!!


「ヤバイ!」と本能に直接訴える音が音が坑道中に響き渡る。


「早く逃げろ!!猫耳馬鹿が発破使い損ねて崩落し始めた!!」


 同室のおっさんの声がここまで届いた。


「おっさんの担当は4本先だから、早く逃げなきゃヤバイな。」


 冷静に自分達への被害範囲を考えていた。


ードゴゴゴゴゴゴー


「誰だ!?。こんなときに発破を仕掛けたバカは!?」


 別の坑道から怒鳴り散らすような悲鳴が聞こえてきた。

 崩落し坑道の強度が落ちてる今、下手な爆発は命取りになる。それは俺みたいな子供でも分かる理屈だ。しかし、サイレンの前にしかけていた発破を急に止めることはできない。それもまた事実だ。


「やばいぞ!!おい!坊主!おまえも早く逃げろ!!」


 おっさんの乱暴だがこっちを気遣う言葉が飛んでくる。しかし無理だ。なぜなら、俺の目の前にも導火線を走っている火花があるからだ。


「おっさん、無理だ!! こっちも発破を仕掛けた後だ!! おっさんだけでも早く逃げてくれ!!」


 爆発まで後20秒。


 導火線の火を消すか逃げるかの判断は今この瞬間に行わなくてはならない。そして、俺は逃げることはしない。「民を守る」事が実の父親に習った唯一の事だからだ。


 迷わず発破の根元から導火線を抜き取り、逆方向に投げ飛ばす。この導火線が消えたら急いで出口まで逃げればいい。自分の判断ミスで坑道の仲間が死ぬことは避けられた。


 そう思った瞬間、導火線がいきなり爆ぜた。


「おい、嘘だろ・・・?。」


 何もなかった空間がいきなり爆発し、唯一の退路が土砂で塞がってしまった。


 深い暗闇の中、崩落の音が続いている。失敗したかと今更ながら自分の行動を後悔している。しかし、腕の中で丸まってる相棒を見るとそんな後悔も吹き飛んでしまう。


 呼吸は正常。特に痛めている箇所も・・・ない。相棒と自分の簡単な状態チェックをすると、後は助けが来るのを待つだけだ。


「お互い怪我がなくてよかったな。」


 相棒はこちらを見上げ「わふ」と鳴いた。


 しかし、状況は最悪だ。愛用のツルハシはさっきの崩落に巻き込まれ自力での脱出は不可能に近い。

 最初の崩落が4本先の坑道なら直線距離なら20mも離れていない。下手したらこっちの坑道は入り口まですべて塞がっている可能性がある。


「クゥーン?」


 相棒の弱気な声が聞こえる。


「大丈夫だよ。幸い今日は夜までこもる予定だったから、水と食料は1日分ある。オッサン達の手を助けを待つだけなのは心持たないけど、あの人たちならすぐに助け出してくれるさ。」


 相棒を慰めながら、自分達が助かる可能性が低いことも理解している。1週間前から新しい坑道を掘り始め、現在最深部のここまでは直線距離で100m。 入口まで埋まった場合は、最悪同じだけの時間が必要になるのだ。それも正確に同じルートを辿ってこれたらの話だ。分岐3か所を同じように進んで来なければいけない。


 水と食料も心配だが、それ以上に酸素が無くなったら話にならない。ランプの灯を消し助けが待つ賭けをしなくてはいけない。賭けているのは自分と相棒の命だ。

 自分の命だけなら気にしなくてもいい。しかし、相棒の命はかけることはできない。なんとしてでも此処から脱出しなくてはいけない。


 冷たい坑道の中だが、相棒と抱き合うことで寒さはしのげる。幸い空気穴はあるらしくどこからともなく冷たい風が吹き込んでくる。


「なぁ、この風穴を広げていったら外に出れるかな?。」


 何の気なしに聞くと「わふ!」と元気な返事が返ってきた。

とりあえず主人公が出てきました。名前はまだない・・・。

前回よりも文字数が増えました(ドヤ

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