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月の滴  作者: あれっきーの
炭鉱奴隷への転落
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015 魔法具構想中 その2




 商人も開発当初から搬送魔法具に興味を示していた。しかし、現実に運用できるのが軍隊規模の商隊が関の山である。

 コストパフォーマンスと馬車とすぐに入れ替える手軽さ。これがダーシャの最大の壁である。


 必要魔素の軽減は従来の1/100まで理論上可能になっている。魔法具の裏に刻んだ刻印で、魔素の流動速度を飛躍的に向上させた。もっとも、一般人が同じように刻んでも同じ効果が出てしまう。


 この技術を秘匿するために、魔法具全体に防水加工と称した漆を塗り、5度塗りを実施している。最初の塗りの時に魔法陣を刻み、乾いた後に別の魔法陣を刻む。最後の塗りですべてを闇に隠すかのようにし、丁寧に塗りこまれた漆を塗りあげている。それぞれの刻印が誤動作しないように、濃度や種類を微妙に変えている。


 重量反発も、あらかじめ決められた高度 ―地面から1m― を維持するように、乗せた重量に対応する斥力を発生させる。反重力を制御できるようになったことで、総重量の向上という副産物にも恵まれた。




 最後の難関がバランス制御である。




 重量反発制御ができたことの寄り、大量の荷物を好きなだけ載せれるようになった。すなわち積み込みに偏りが発生してしまうのだ。

 これが荷馬車なら、地面に車輪が付いているので、ある程度は気をつけて進んだら良いという話だったが、搬送魔法具ではそうはいかない。


 偏ったらそのまま横滑りを始める。

 多くの開発陣を泣かせ続けている現象である。


 これほど困る現象は無い。平たい草原などをまっすぐ行くだけなら良いが、森の中や細い崖を通ることもあるだろう。

 そんな場所で横滑りをすると、荷物が森の中や崖下に吸い込まれていく。

 売りつけた魔法具が不良品だったうえに、命の次に大事にしてる行商品(めしのたね)の補償を訴えられた多くの開発陣は、裁判所の命令により散財してきたのだ。


 「これが完成したら、グリエフ家の魔法具評価はうなぎ登りだ。」


 おおよそ10才の少年と思えない発想だが、これまで積み重ねてきた領主の英才教育の賜物だろう。

 自分は天才ではない。過去いろいろな技術を子供の柔軟な発想でつなげているだけだと自覚をしている。

 ならば、それを武器に過去さまざまん文献を読みあさって1冊に1行でも自分の求めている情報があればよいと、今日もまた父親の書斎を訪ねるのであった。





 探し始めて3時間弱。


「これだ!やっと見つけたぞ。」


 父の書斎にこもり続けて1週間。何気なく目を落とした図鑑「はたらく乗り物」に目的の物を発見した。


「やはり、昔の超科学ではこれがあったんだな。」


 自分が想像していた形状とだいぶ違っていた。


 精巧な肖像にはかなりの人がは乗っている「飛行機(サマリオート)」と呼ばれる旅客機が載っていた。

 説明文にはこう書いてある。


「ひこうきは、たくさんのひとをのせてそらをとびます。くにからくにへ、うみをわたって、たくさんのひとや、おおくのにもつをはこぶのです。」


 明らかに子供向けの本だ。逆を言えば、子供でも知っている乗り物だったことにうすら寒い物を感じた。


 丸太の様な外見に翼という平べったい板が横断している。丸太の後ろの方にも縦横に少し短めの翼が取り付けられている。

 どうやら、この翼が飛行機のバランス制御をする重大な働きをしているみたいだ。


 他にこの飛行機を詳しく載せている本が無いかを、宝探しでもするかのように本探しの旅に戻るのであった。




 昔の建造物でこれはすごいってあります。

 ペルーはクスコの剃刀1枚入る隙間のない石垣やローマの水道建築。

 これから先の未来で文明が衰退することがあれば、飛行機も立派なロストテクノロジーになれるのですね。


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