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月の滴  作者: あれっきーの
炭鉱奴隷への転落
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014 魔法具構想中 その1



 父の書庫に通うようになって1年が過ぎた。


 やっと、過去使われていた文字の習得ができたところだ。父上に鍵をもらった日「これだけ読めるようにならないと次の部屋の鍵は渡せない。」といわれてたが、そろそろ新しい鍵をもらえるだろう。


 父にそのことを言うと、あっさり鍵をくれた。


 今まで立ち入れなかった場所には、いわゆる専門書が多かった。本当にあれだけの文字を解読できなければまったく意味が無いものだった。それでもすぐに理解ができず、頭を悩ませる日々が続いた。



さらに月日は流れた。


 今では読めない本を探すほうが大変な位何でも読めるようになった。よく読む本は、いわゆる魔法書。曰く、正しい魔力の認識方法、曰く、魔素と有機物の合成方法。

 厚さ20cmは有ろうかという本を、子供ながらに読み、租借し、己の糧としていった。

 ―木工や鍛冶で作る加工品と魔法を合成し、自分の土地の特産品にならないか―と迷走する日々が続いていた。


「ん~。魔素の配合バランスがっていまいちわっかんないなぁ。」


 現在取りかかってるのが、空飛ぶホウキの原理を利用して作る大型搬送具。以前、父が土産話にその存在を教えてくれた魔法具だ。

 あれから3年ちょっと経っている。もうじき10歳の誕生日を迎えてしまうが、一向に能力向上の目途が立たず、開発費の所為で家の台所事情が厳しくなってきている。


「当たれば大きいけど、当たるまでは外れと大差ないなぁ。」


 魔術理論を理解し実践できるということで、工房から白羽の矢が立ったのが僕だった。魔法力学を感覚でこなし、工房の徒弟からも嫌われてなく、何があっても領地を裏切らない人材。


 魔術理論と魔法力学は別の学問になる。


 魔術理論は、解析された魔法を効率よく使う理論であり、これを理解すると魔法具作成に必要な魔素が大幅に減少する。


 対して魔法力学は、魔力の流れによる発生する呪力抵抗や魔素抵抗をいかに最小に抑えて魔法具の性能を引き出すかを考える学問である。


 領主の一人息子ということもあり、将来は自分が発展させる領地の為、作成中の機密を漏えいすることがない。普段なら必要な高い給料も払わなくていいのだ。

 腕のいい魔法技師には高い給金を払わなくてはならない。

 一般の人足代が一月銀貨30枚前後の所を、魔法技師には、金貨3枚も支払う必要がある。

 その点僕なら自分の家の為の開発の為にまさかの無料。まさにコストパフォーマンスの塊だった。


 ―魔素に触れるのも理論を覚えるのも小さい頃が良い―


 世界の常識である。しかしその英才教育を受けれるのは、ごく一部の物に限られている。

 魔素に触れるのが遅ければ遅いほど、魔法を発動させる可能性減っていく。魔法が発動できなければ、それを効率化させる魔術を学んでも実践することができない。机上の空論は誰も信じてくれない。


 幸い、父の影響で子供のころから魔道具が家に転がっていた。一般家庭なら、明りか着火の魔道具があればいいところだろう。ところがこの家には、開発途中の魔道具がごろごろしている。

 明りや着火は勿論、湧水・旋風といった、家庭で使う物から、業務用、防衛用と幅広いものが父の書斎に資料として転がっている。

 魔道具には魔素があり、謀らずともダーシャは魔素まみれの生活をしていたのだった。


 そんな中、ダーシャが着手しているのが「大型搬送具」の開発である。構想自体はかなり昔からあり、多くの先駆者が知恵を出し、周りの開発を出しぬき、今の姿まで納まっている。

 しかし、運用面で考えるとほんの100kmの移動に金貨10枚分の費用がかかる。一般家庭で5年は暮らしていける金額だ。当然現状で運用可能なのは、軍隊が戦争での輜重に使うだけだ。


「この状況を変えたい。もっと輸送費が安くなれば、それだけ領民が潤う。」


 そんな思いを胸にして、今日も模型と戦うダーシャ少年は領主の顔をしていた。


 浮遊魔法・重量感知魔法・バランス制御魔法と問題はだいぶ浮き彫りになってきた。これさえ対応できれば後は何とかなる。


 多くの先駆者は浮遊魔法だけでこの魔法具を設計していた。少し先を進んだ開発陣は重量感知魔法も組み込み、搬送具自体が荷物の重みで沈み込まないように進化させた。


 そして今、ダーシャが目をつけたのがバランス制御である。


 通常の空飛ぶホウキでは乗り手が自転車に乗るようにバランスを取っているので正直術式が存在していない。

 しかし、搬送具では大量に載せた荷物が偏った状態になると、ひっくり返るという現実が待っている。


 これまでの開発陣の発想は、荷物を真ん中に乗せ、外の山から崩すように荷物を下ろしてから真ん中の山を下ろすといった運用側の努力を強いてきた。

 これが馬車なら、重量関係なく下ろす順番やかさばる物、出入りの激しい物など、行商で使う者の経験を生かした並び方になっている。


 従来の馬車と同じように使える。すなわち、ターゲットは商人である。



理論とか入ってくると、自分の設定の穴に気づきます。

矛盾の出ないように書いてるつもりですが、矛盾点お気づきの方はお知らせください。

なお、ご指摘いただいても、わざと矛盾させてるところはその旨ご返信させていただきますのでご了承ください。


最後に下にある「なろう 勝手にランキング」をぽちってくれると私の更新スピードが維持できます。

他にも評価や感想もあるとストックが溜まるかもしれません。

皆さまの飴で書かれている小説「月の滴」をこれからもお願いします。

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