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月の滴  作者: あれっきーの
これからの事
133/136

133 言葉と意味

 昼食もそこそこに食堂から逃走する俺を問題児(フォリシア)は追いかけてきたが、問題児の暴走(ソレ)伯父(セイゲル)が許すわけも無く捕まえて説教を始めた。


 安心して自室に戻るが、そこには相棒(バディ)の姿が見当たらない。もしやと思い外を見ると、昨日と同様母上に櫛で梳かれ、マーシャに肉球を弄ばれてながらお肉を頬張っている相棒(バディ)の姿があった。


 溜息を一つ吐いて母上の憩いの場(もふもふ天国)に訪れた。


「ただいま戻りました。」


「あら、ダーシャちゃんお帰りなさい。」


 バディの毛皮に顔を埋めたまま俺のほうに視線を投げる。母上(本人)はいたって真面目なのだろうが(第三者)から見ると色々考えさせられる(痛い)光景だ。しかしソレも慣れるしかないと自分に言い聞かせた。


 「バディ(相棒)はいつの間にこっちに来てたんだ? おかげで少し探しちゃったよ。」


 実際居ないと気がついて5秒で見つかったのだが、|母上達の牽制になれば《母上達の更正につながれば》と思って苦言を呈した。


「すまんすまん、ついついお嬢ちゃんに『お肉ですよ~♪』って言われて付いて来てしまった。」


 炭鉱時代にまともなもの食べさせれなかったから俺にも負い目がある。あの頃は食堂係のおっさん達からクズ肉やクズ野菜を貰って相棒(バディ)のご飯を作ってたからな。……ん?


「ちょっとまった。今何ていった?」


 相棒(バディ)の言葉に引っかかる。


「本当に悪かった。お嬢ちゃんに『お肉ですよ~♪』って誘われたんだ。勝手に居なくなったのは悪いがそんなに怒らないでくれ。」


 俺が怒った為執拗に聞いてると勘違いした相棒(バディ)は俯いて「きゅーん」と鳴いている。そんな相棒(バディ)置いて、今の言葉を頭の中で反芻する。「マーシャに『お肉ですよ』と誘われた?」思考の淵に足を突っ込んだ俺を現実に引き戻したのは、袖を引く母上だった。


「ダーシャちゃん、バディちゃんを怒らないであげて。私がここで1人寂しく座ってたら、マーシャちゃんがバディちゃんを連れてきただけなのよ。決してバディちゃんが悪いわけじゃないのよ。」


 相棒(バディ)を問い詰めて考え事をしている姿が相棒(バディ)を怒って威圧している様に見えたらしく、母上から相棒(バディ)への助け舟が出された。


「いや、違うんです母上。決して相棒(バディ)を責めているわけじゃないんですよ。今相棒(バディ)が『お嬢ちゃんに『お肉ですよ~♪』って誘われた』と言ったのでソレに対して考えていたのです。」


「あら、マーシャちゃん良いわね。バディちゃんに『お嬢ちゃん』って言われてるわよ。」


「奥様、恥ずかしいのでそんなこと言わないでくださいよ。」


 俺と捉えた場所が違うらしく、2人でキャイキャイ身悶えている。大事なのはそこじゃない。「お肉ですよ~♪」と誘われた(くだり)だ。つまり相棒(バディ)は俺たちの言葉を理解できている。しかし以前は『魔力の篭っていない言葉は理解できない』と言っていた。この発言は矛盾しているのではないか?


「なぁ相棒(バディ)。お前はこの前『魔力の篭っていない言葉は理解できない』って言ってたよな? でも今『お肉ですよ~♪』とマーシャに誘われたと言った。これは母上達と会話したくない意図でもあるのか?」


 今作ってる魔道具の根底に係わる問題だ。内容が内容なだけに、こっそり相棒(バディ)に耳打ちする。しかし相棒(バディ)の回答は俺の予想を覆した。


「いや、魔力の篭っていない言葉は理解できない』は事実だ。実際彼女達が何を話して身悶えているかは正直判らない。しかし、『お肉』とか『ご飯』という単語は生きているうちに何度も耳にしてきたから、経験として食べ物がもらえる事を理解している。さらに言うなら彼女達が私に悪意をもって接することは無いと理解しているから、食事に毒を盛られることもないだろう。なので安心してご相伴に預かってるだけだ。」


 結構残念な事を堂々と告白されてしまった。確かに俺も母国語(ロシア語)以外はさっぱりわからないが、『こんにちは』だけなら、スペイン語、フランス語、イタリア語、英語、日本語等様々な国の単語を知っている。つまり相棒(バディ)も耳に入る音を覚えてソレが『自分に対してご飯を用意している』事と紐付けているだけなのだ。


 このことを母上達に言うかは悩むところだ。実際何が問題だったかを本人達は気がついてない。それならば知らせない方が幸せなのかもしれない。もし知れば、相棒(バディ)ロシア語(自分達が話せる言葉)を覚えさせようと躍起になるだろう。そしてそれが出来るのは俺と父上だ。必然的に俺に仕事が増えるだろう。これが魔道具作成なら技術向上になるからまだいいのだが、ただでさえ旅立つのにフォリシア(残念系家庭教師)の授業で時間を取られるというのに、これ以上時間の束縛は正直辛い。よし、絶対内緒にしよう。


 そう心に誓い母上達の様子を見ると、まだ『お嬢ちゃん』とか『奥様』とか2人で呼び合って別世界を作っている。2人の方向性にフォリシア(残念系家庭教師)と近いものを感じ眉間に皺を寄せて溜息をつく事しか出来なかった。


そろそろ結合版に追いつかれてきました。

ここで読者の皆様に質問です。

1話の投稿文字数に満足されていますか?


というのも『月の滴』の文字数ですが、現在1000~2500文字位で投稿しています(今回は2122文字)

私の文章はルビを振ることが多いので内容で言うと100文字位減る感じです。

対しまして『結合版』は5~6000文字で1話としています。


もともとは日刊ペースで投稿するという事で1000~2000文字でしたが、私の都合で日刊ペースが守れて居ません。もし読者の皆様から「毎話の文字数が多いほうがいい」という意見が多ければ、今後は結合版で話を進めたほうが良いのかと悩んでいます。


よろしければご意見お待ちしています。

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