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月の滴  作者: あれっきーの
これからの事
117/136

117 メイドさんの朝のお仕事




「――――。!」


 声にならない奇声を上げて目を覚ました。


 やばい! 寝過ごした。


 顔に差し込んだ陽光で目をさました。やばい。これは絶対に警備主任にいびられる! ああー、何で今日に限って相棒(バディ)は起こしてくれなかったんだろう。慌ててベットから飛び降りた降りた。


 「あれ・・・?」




 現状を再認識した。


 そうだ。もう炭鉱じゃなかったんだ。奴隷から開放されてしばらく経つと言うのに、この焦燥感は嫌なものだ。


 辺りを見回すと、相棒(バディ)はソファの上で腹を上にして、涎をたらしながら気持ちよさそうに寝ていた。今の姿では、その昔『皇帝竜アフトクラトル・ドラコーン」を倒したと言う話を素直に信じれないな。


 現実逃避で机に目をやると、昨晩完成させた母の課題(設計図)がある。早速親方のところに持っていって形にしてもらおう。


 いびきを掻いてる相棒(バディ)を横目に服を着替えると、設計図を丸め早速部屋から飛び出た。


「っと、おはよう。」


 吃驚した。部屋を出たら目の前にマーシャが居た。料理を乗せたワゴンを押して丁度部屋の前に到着したのだろう。この時間まで寝ていた俺とは違い、朝から屋敷の仕事をしてい料理を運んでくれたのか。なんと言うか、メイドの鑑だね。


「おはよう、ダーシャ。そんなに慌ててどうしたの?」


 俺とは対照的に、ゆっくりとした挨拶を返された。


「親方のところにこれを作ってもらいに行こうと思ってね。」


 さっき丸めた設計図を広げて見せ用途する。


「よくわからないから見せてくれなくていいわ。バディちゃんとお話できる魔道具よね。楽しみにしてるわ。」


 いや、何故魔道具と決め付ける……。まぁいいか。


「じゃぁ、いって……。」


「待ちなさい。」


 横を通り抜けようとしたら、いきなり襟首を掴まれた。


「次期領主が廊下を走らない。それと、外出する前に食堂に行って朝食を食べてしまって頂戴。ダーシャの分が残ってて片付かないのよ。」


「ああ、ごめんなさい。」


 うん、やっぱりマーシャには叶わない。っていうか、そのワゴンに乗っているご飯は俺のじゃないのか?


 俺の視線に気づかず、部屋に入っていく。


「はい、バディちゃん、朝ですよー。美味しい美味しいご飯のお届けですよー。」


 なんだろう、俺は食堂なのに、相棒(バディ)は配達なのか。俺と相棒(バディ)で扱いが違うのは気のせいだろうか? あれ、おかしいなぁ。目から液体がこぼれてくる。


 そんな俺に哀れみの目を向けながら、マーシャに起こされた相棒(バディ)は、同じくマーシャが差し出す肉の塊を美味しそうにほうばっていた。

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