表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掃除の呪文は使えない

作者: 天川ひつじ

“在るべきところに還るが良い!”

という掃除の呪文を手に入れた。

いや、教えてもらった。


なんだか物々しくも大層な言い回しの呪文だが、使用用途は、本当に単純に掃除である。

世界規模とか伝説規模とか全く関係が無い。

個人レベルの話だ。

ごめん、小規模で。

ごめん。掃除機使ったり雑巾使ったりする、整理整頓の話で。


それはさておき、喜んだ私は、

出先から自分の散らかった部屋に戻ると、早速、期待を込めて使ってみた。

「ふっ・・・“在るべきところに還れ~”」


ピローン♪

頭の中に注釈が閃いた。

“使用方法のご連絡”


「・・・ん」


頭の中に、可愛い妖精が現れた。

ステッキの代わりにポインターを持って、図解している。

“使用前に準備が必要になります。

 まず、使いたいものを『在るべき』場所に収め、次の呪文で『在るべき』場所を記憶させます。”


「・・・ん?」


“呪文:『在るべき、在るべき』 注意:満足げに言うこと ”


あれ、なんか爺さんくさいな、こっちの呪文。


“このように『在るべき』場所を記憶させた後にご使用ください”


「・・・」


ピローン♪

と、再び可愛い音を残して頭の中の妖精と図解は消えていった。


「・・・・・・」


つまり、まず自力で片付けてから、それを記憶させる呪文を唱えろと。

その後に『在るべきところに還れ』と唱えると、散らかっていても、元に戻ると。


つ、使えねぇ!!!


自力で片付かないから散らかっているのに!!

いや、一度頑張って片付ければ良いのか?

『在るべき、在るべき』(※満足げに) を使っちゃえば後は良いのか!?

だがしかし!

部屋の中のものは、それなりに変化するのである。

捨てるものもあれば、入るものもあるわけで。


「・・・・・・・」


というかすでに一番初めの『まず自力で』がクリアできそうにない。


私はちょっと遠い目をした。

あぁ、この呪文、覚えておいても絶対使わないなぁ・・・。


使わないものは、捨てましょう。


私はさっくり、呪文を忘れる事にした。


― おしまい ―

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ