5、委員会の日(前)
次の日。
このクラスでは委員会などを決める日であった。
去年僕は生徒会に所属していた。
当然と言うのだろうか、去年とも変わらず生徒会とか言う変な団体に入るのは御免だ。面倒だし知るべき事は無いと思ったからだ。
いろんな行事の事に確実に携わる事が出来、学校の事もよく分かるが、一年やれば後の仕事内容は変わらないし、教師や生徒の使いっパシリも飽きている。
そうだな……美化委員会も似たようなものだろうか、図書委員と言っても静かな場所で本の整理をするだけだろうし……。
勝手な妄想をかきたてた。
黒板に書かれた文字を見て考えていた何をしようかと。ふと目に飛び込んだのは風紀委員会と言う文字の横に上手な字で書かれた“相戸夕”という文字だった。
説明し忘れていたが、担任の丞明は黒板に、これもまた黒板に書いた字とは思えないほどの達筆で、委員会名を書き、生徒達にやりたい者に名前を書くように言った。
やりたいもの、と言っても実際はどれかには所属しなければならないから。皆は可能な限り面倒事が無い物を選ぶか、または意中の異性と同じ委員会に所属し、接点を増やそうといった目的で選ぶ者がいる。
風紀委員会か、何をやるんだろうか正直今までノータッチだった。そもそもこの学校の治安は良いのでその取締り用も無いように思う。
暇そうな委員会も良いか、と思い何気なく彼女の文字の隣に“滋野新剛”と僕の文字を書いて、自分の席に着いた。
ぼんやりとあたりを見回していると相戸夕は自分の席で何かを書いていた。
「ねえ。生徒会はやらないの?」
明かすく弾んだ声がした。美人と言うよりかわいい系の加藤菜月である。
「面倒だし、学校の勝手が分かったからね。今回はやらないよ」
ふーん、と言う仕草をして、彼女は「じゃあ、私も別のにしようかな」と言う。
「え? 加藤さんって生徒……いや。何でも無い」
ふと目を黒板にやると生徒会の右下には彼女の名前が書かれていた。
「あ~私じゃ不安だって言いたいんでしょ、もう」
そう言って彼女は黒板の方に駆け寄って、そのまま生徒会の近くから、風紀委員会の所に名前を書き移した。
「頼りにしているんだからね」
と加藤は僕に言って席に着く。
委員会は男女一人ずつがルールであり、結果としては、クラスで目を引く女性二人が名を連ねる風紀委員会の隣には、彼女たちと一緒になろうと目論んだ男子生徒達と僕とでじゃんけんをし、加藤菜月と相戸夕とでじゃんけんをすることとなった。
結果、最初と変わらず僕と相戸夕が風紀委員会に所属する事が決まった。そして、僕を頼ればまあ良いと言う考えが見え見えだったであろう、おっとり加藤さんはなんと生徒会に所属する事になってしまった。
何気なく、こう言うことが青春というやつなのかもしれないな。と、僕はおっさん臭い感想を持ってしまった。
その日、その時に僕は一度だけ相戸夕と目があった、「よろしく」と言おうと思ったが直ぐに彼女は近くの女子と話し始め、結局話せずじまいだった。