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もし出来ることならあの日に戻って

009


 ――屋根。

今日は雨にもかかわらず、虚ろな目に空を映している。名前も知らない天使。

 雨が容赦なく降り注いでいる。決して泣いているのでは無いだろうが、泣いたようにしか僕には見えない。

 天使。

 窓から僕が声をかけても反応をしなくなった。天使。

 ずっと一人。

 何も無い。

 それでも……

 母親。

「母さん……」

――そして天使は。緑の天使は、今も、何も言わない。


                 END







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