~プロローグ~ ~春~ ~入学~ ~海里?海里?~
~プロローグ~
あなたの目に私はまだ映ってますか?
あなたの目に私はまだ生きていますか?
私は今もあなたが好きです。ずっとそばで見守っています。
~春~
春がきた。桜ふぶきが舞うなか私、竜宮真麻は愛空高校に入学するぴちぴちの高校一年生。
新しい高校生ライフに期待の胸をはずませている今日このごろ。
新しい勉強に新しい友達、新しい出会いの予感がする。
にこにこしながらかばんから写真とひとつのこびんを出した。
「海ちゃん。今、なにしてるのかな・・・。
会いたいよ・・・。約束・・・、覚えてるよね??」
一人写真に話し掛ける自分。写真に写るのは私の幼なじみ、村田海里。
ちっちゃいころからずっと一緒で兄弟みたいとも言われたほどだった。
でも、海ちゃんとの別れは突然にしてやってきた。
「遠くに行くの。だからまあちゃんとはお別れしなきゃ。」
親の都合で遠くの県に移動することになった海ちゃん。
そのときはずっと一緒にいられると思っていた幼い私はショックがとても大きかった。
分かれる寸前海ちゃんが渡してくれたのがこのブルーのこびんだった。
「まあちゃん、いつか必ず会おう。そのときまでにこれを大切に持っていてね。僕のお守りだよ。
お母さんがきれいなブルーの色をしてて海みたいなこのこびんを買ってくれたんだ。
これを僕だと思って待ってて。さみしくないでしょ?」
すきとおった瞳で海ちゃんは笑顔で言ってきた。
その笑顔は今でも忘れられない。
ブルーのこびんを太陽に照らしていたら向こうに知っている顔が映った。
上山楓子。わたしの親友。楓子も小学校からの長い付き合い。
「まーあーさー。何見てるのー?」
長い茶髪のロングの髪の毛を桜ふぶきになびかせながらくりっとした目で聞いてきた。
「海ちゃんのこびん見てたの。」
楓子はにやりと笑った。
「真麻はほんとに海里君が好きだね~。」
ニヤニヤ笑いながらあたしをちゃかす楓子。
「からかわないでよ。」
精一杯の対応をする私。
「ほんとのことでしょ?」
楓子が釘を打つ。
「うっ・・・。ほんとです・・・。」
やっぱ楓子にはかなわないな~。
「てかさ・・・。」
楓子がなにやら重そうに口を開けた。
「真麻。心臓大丈夫?」
ドキッ 楓子・・・。
そう。私は心臓病を抱えている。医者からは20歳にはなれないと診断された。
それほど悪化してきているのである。
毎朝と毎晩。薬をたくさん飲まなきゃいけない。とても苦しい毎日。
でも楓子がいたから乗り越えられてきた。いっつもはげましてくれていた。
それから海ちゃんにも・・・。
「だいじょぶ、だいじょぶ。
このごろ軽く動いても発作が少なくなってきたし。」
笑顔で言う。もう誰にも心配はかけたくない。
「そっか・・・。よかった。」
複雑そうな顔。うすうす嘘に気づいているのかな。
お互い黙り込んでしまった。
キーンコーン カーンコーン
「やっば。鐘なっちゃったあ。今日は入学式だよ!!遅れられないい。走るよ、真麻!!」
いきなりなにかがきれたように声をだした楓子。
「了解。」
っていっても心臓次第。発作が起こらないことを祈りつつ軽く小走りに走る私と私の荷物を持って学校までダッシュする寸前の楓子。
初日早々、大量の体力を使った私にはこれからなにが起こるかなど予想もつかなかった。
~入学~
やっとのことで学校についた私と楓子。幸いにも発作は起こらなかった。急いで朝の準備をし入学式会場へ・・・。っと思ったときに入学式会場の体育館と反対方向に行く男の人2人組み。
「初日早々ボイコットすんのかな?」
楓子が興味ありげに聞いてくる。
「よくやるね~。って、早く行こっ。遅れるよ。」
焦っているあたしと反対ににんまりしている楓子。もしかして・・・・・・。
「ねっ。うちらもボイコットしよーよ。」
言うと思った。楓子はたぶんあの男の人たちと話をしたいんだな。
「えー。でも、初日ボイコットは・・・。まずいんじゃない?」
心配性な性格の私。と反面にやる気まんまんの楓子。
「いいじゃん。いいじゃん。あの男の子たちちょーかっこよかったよね?!」
「そうかなー。」
あんまり顔は見えなかった。私はその前に入学式がきがかりだった。
「行こっ。決定ー!!」
無理やり私をひっぱって連れて行こうとする楓子。待ってえええええええっ。
楓子が走って追いかける。くっ・・・、ぐるじい・・・。
楓子が勢いよく屋上のドアを開ける。
「あっ。いた!」
「へっ?!」
あやふやな答えしかできない私。まずすごく苦しい。
「あのー??」
男の人たちに楓子が話しかける。
「すごいですね。初日からボイコットって。」
男2人は不思議そうな顔で見ている。
「あんたら誰?」
茶髪でピアスをしている男が言う。なんか、かかわらないほうがいいような・・・。
「えっと・・・。あたし上山楓子で、この子が竜宮真麻ちゃんです。一年だよ。よろしくね。
あなたたちの名前は??何年生ですか??」
楓子が自己紹介をしている。立つのがつらい。
「俺が日比野 翼。で、こっちの寝てんのが椎名海里。一年生だよ。」
えっ??海里??
「えっ、海里?!」
楓子もびっくりしたのだろう。
「う・・・んん・・・。」
ドキッ 起きた?
「ねみ~。ん?誰、あんたら。」
海里っていう人が聞く。
きれいな瞳。ふわふわした髪。でも黒い髪。
「あたしは上山楓子て言います。この子が竜宮真麻ちゃん。一年です。」
「ふーん」
興味がなさそう。
「海里さんってゆうんですね。あたしたちの友達にもいるんですよ。ねっ。真麻。・・・って。
真麻顔色悪くない??」
「えっ・・・。」
やばい発作がかってる。息ができな・・・い。
視界が狭くなっていく。
フラッ
「ちょっ。真麻ー!!」
トン・・・ 何かによっかかってる??
「大丈夫か??」
黒い髪。きれいな目。海里さん?
でもこの手のかんじは違う。海ちゃんじゃない。
「海ちゃ・・・じゃな・・・い。離れ・・・て・・・。」
精一杯の声。ふりしぼって出す声。
「あんた何言ってんの?」
ぼやけてくる。あっ、こりゃ倒れるな・・・。
バタンっっ
「真麻ーーーーー!?」
「おい!!」
~海里?海里?~
「まあちゃん。虫取りに行こ。」
海ちゃん・・・。待って・・・。
「まあちゃん。ほらっ、早く~。」
海ちゃん。海ちゃん。待って。
「待って!!」
「はっ?!」
あれ・・・?白い部屋。
「ここは・・・。」
「保健室だよお。ごめんね真麻。あたしが無理やり屋上にひっぱったからあー。」
「大ジョブ大ジョブ。」
楓子が隣に泣きながら座っている。その隣に・・・翼さんだっけか?そしてあたしの反対の隣に海里さん。
「海ちゃんは?」
「海ちゃん?!」
不思議そうな顔をする男二人。
「海ちゃんってゆうのは田村海里ってゆううちらの友達で・・・。」
楓子が途中まで説明して口を閉じる。
「あたしの幼なじみだよ。」
あたしが付け加えて言う。
「へー。」
そして沈黙。誰も話さない。
するとずっと我慢していたように海里さんが口を開いた。
「お前・・・。なんか病気もってんの?」
ギクッ どうしよう。言うべきか?でもひかれたらどうしよう・・・。
「えっと、その。」
一生懸命言葉を探す私に海里さんが口を開いた。
「無理して言わなくていいから。」
「うん。」
気を使ってくれたのかな?あんがい優しい人なのかも。
「あのっ。海里さん。」
「ん?何?ってか”さん”やめてくんね。”海里”でいいから。」
海里?!なんかいきなり恥ずかしくなったな・・・。
「じゃあ、海里。ありがとね。優しい人なんだね。」
気を使ってくれてほんとに助かった。
「あっ、うん。」
あれ?照れてる?
「あっれれ~。海里君照れてんじゃない?」
楓子がいたずらに言う。
「うっせ。」
顔をすぼめる海里。かわいいな。
いずれ海里にしっかり気持ちを持って言える日が来たら言おう。この病気を・・・。
初めて書いた小説です。
まだ完成ではありませんが読んでいただけたら幸いです。
真麻と楓子と翼と海里のよんかく関係を書いていくつもりです。
そこに幼なじみのもう一人の海里が関連してくるような感じです。