千里が赤いカプセルを飲んで“1日ADHD”になった日
《Scene 1:赤いカプセル服用、そして混沌へ》
チサト(千里)
「ねぇレナぁ~、これってやばいカプセルじゃないよね?でもさ?でもさでもさでもさ!服用後に“集中力の制限解除”とか書いてあるんだけど?それってどういうこと!?ちょっと飲んでみるね!」
レナ(たきな)
「…やめた方がいいと思いますけど」
チサト
「のーんだっ!ぷはっ!うん、なんかこう、世界がカラフル!ねぇレナ、なんか話して!話して!なんでもいいから話してぇぇえ!」
レナ
「やっぱり、これは“投与実験”だったのでは?」
《Scene 2:部室内にて – ひとりのギター練習中》
ひとり(ぼっち)
「え、あの…今日は…なぜか千里さんがずっとドアノブ回してる…10分くらいずっと…」
チサト(別室から猛ダッシュで登場)
「ひとりちゃ〜ん!ねえねえねえ!!このギターの弦って何本あるの!?6本!?でも6ってさ、2の3乗だよね!?3と2ってどうして仲悪そうなのにここで一緒にいるの!?」
ひとり
「えぇ…(泣)そういう…そういう数学的関係はちょっと…っ!」
リョウ(ギターをかまえながら)
「千里さん、さっきからコード押さえてないのにギター鳴ってるけど…念能力?」
チサト
「えっマジ?やばっ!あ、リョウちゃんの髪の毛って、もしラーメンだったら何味?」
リョウ
「知らんけど、たぶんとんこつかな」
《Scene 3:サークル活動中 – 夏美&圭介が登場》
夏美
「ちょっとー!誰かが編集用PCの画面に謎のタイピングしてて、動画全部スローになってたんだけど!?ってチサトちゃんやん!!」
チサト(全力で笑顔)
「え、でもなんか!さっきの映像にモザイクかけたらカメラが照れてるように見えたの!カメラの人格を救いたかったの!!」
圭介(ため息)
「……今日のおまえ、何飲んだ?」
チサト(ふにゃっと笑う)
「赤いカプセル!1日だけADHD体験できるって書いてあった〜!すごくない!?世界がノイズだらけで、でもそのノイズが音楽に聴こえてきて、でも一秒後には忘れてて、でも忘れてることをまた思い出して、それがたのしくて!圭介さん圭介さん、ねえこれって“生きてるってこと”だよね!?」
圭介
「……夏美、おまえも1錠飲んだだろ」
夏美(爆笑)
「バレたか!私も朝からフルスロットルでタスク7個同時進行してて、気づいたら冷蔵庫にパンツしまってた!」
圭介
「うん、今日はもう全員帰れ」
《Scene 4:夜の反省会》
レナ(ため息)
「千里。今日、君が止まらずに喋り続けた結果、部室のホワイトボードには“シュレディンガーのパンツ”って書かれてます」
チサト(放心気味)
「うぅ…あたし、何してたんだっけ……」
ひとり(メモを読み上げる)
「『机の角には人類の歴史が詰まってる』って…30回くらい言ってました」
リョウ
「でも、まあ。いつもが“狙って集中”って感じのチサトさんだから、今日は“世界の断片と遊んでた”んだね」
チサト
「…うん、なんかね。全部が目の前にありすぎて、全部手を伸ばしちゃって、でも全部掴めなくて…そんで、ちょっと楽しかった」
《エピローグ:翌朝》
圭介(独白)
「赤いカプセルのラベルには、こう書いてあった。
“この体験はあなたの理解力を試すものです。ADHDとは、気まぐれで、奔放で、美しい爆発です。しかし、それはいつも“選べるもの”ではない。”
……ま、うちの学生たちには、ちょうどいい薬だったのかもな」