第七章(8) 一ヶ月ぶりの屋敷の外
公爵様と一緒に食事を摂ってから、私はカミラに頼んで部屋に一人にしてもらった。
できるだけ音を立てないように、クローゼット開け、小さめのカバンを取り出し、その中にカフェの制服と髪の毛の色を変える粉など、私だとバレないためのものと、必要最低限の衣服を入れた。
そしてそれからカミラを呼んだ。
「お呼びでしょうか、アリーナ様」
「ええ」
「私でよかったらいつでも相談に乗りますから」
「ありがとう。けど、今日は大丈夫よ。疲れたから早く横になりたいのだけど、いいかしら?」
私がそうと言うと、カミラはとても心配そうな顔をした。
「・・・・わかりました、支度をします」
眠る支度をしている時も、カミラはずっと暗い表情をしていた。
「ゆっくり休んでくださいね?」
と言って部屋から出て行く時も、心配してくれているっていう表情をしていた。
ありがたいな〜。
カミラの為にここに残ってもいいんだけど・・・・、いや、私はもう決めた、ここを離れると。
けど、もうカミラと話すこともないと思うと、やっぱり少し悲しかった。
・・・・元々こうなるはずだったの。
そう自分に言い聞かせた。
深夜になり、私は机の上に、準備していたものを置いた。
・・・・この1年間、本当にありがとう
そうお部屋に心の中で挨拶をしてから、静かに部屋を出た。
約一ヶ月ぶりの、屋敷の外だった。