第七章(7) スタンへの嫉妬と彼女を守る決意 By ハロルド・レイルズ
「それで、結局何も聞けませんでしたね」
俺の思ってることをスタンは俺より先に言った。
「・・・・俺はお前を許せそうにないんだが」
「え、なんのこと?」
「俺が、その、寂しいと思ってる、とか、勝手に・・・・」
スタンに俺の気持ちを勝手に言われたとが気に食わなかった。そういうことは、俺が自分で言いたかった。
「でも奥様、喜んでいらっしゃいましたよ?お顔が少し、赤くなっていらっしゃるように見えた」
そう、なのか・・・・?それなら・・・・いや、許せない。さっきよりも許せない。
自分が恥ずかしすぎてうつむいていたせいで見れなかった彼女の赤らめた?顔をスタンが見ているなんて。
「スタンが話したことは許してやるが、俺が見えなかった彼女の顔を見ていたことは永遠に許すことはないだろう」
「いいよ、勝手にして」
スタンとはいつも、こういう感じだ。幼馴染だからこそ、本気では取らない。今回の場合、俺は本気だが・・・・。
「そんなこと言ってる前にどうするのか、とか考えたら?痩せてるのは事実なんだよね?」
「ああ」
彼女の手首は、彼女が殺されそうになった時よりも細くなっていたような気がする。
「放っておくわけにはいかないな」
「元々奥さん、線の細い人だから、これ以上細くなられると健康上、心配になってくるもんね」
「・・・・そうだな。明日も家に行って、一緒に食事を撮らないか、と誘ってみようと思う」
「あ〜、長かった・・・・」
スタンが誰もが心配になる『公爵家の妻としての役割を果たす為に大切な身体の心配』をしていることはわかっていても、俺は嫉妬してしまう。
そんな感情の俺の一言に対して、スタンはよくわからない返事をした。
「いや〜、やっと自ら家に帰る、って言ってくれたな〜と思ってね」
・・・・そういえば言われてみればそうかもしれない。最近家に帰るようになったとはいえ、その場の気分で家に帰っていたから。
こんな早い時間に家に帰ろうと計画することは、今までなかった。
「明日、僕は一緒に行かないからニ人で解決しなよ?」
「ああ。元々、お前には全く頼ってない」
明日こそ、彼女の体調不良が良くなるように自分にできる事を探してみる。何が原因で食事が摂れないのか、僕に教えてもらうようにしたい。その為に、彼女の話をたくさん聞きたい。
今度こそ、守ってみせる。
そう胸に誓った俺だった