+irregular 第二話
国家の全容、それが序章であるならばこれから迎えることは一体どうすればいい?
それは、たった小さい日常。束の間の、休息だろう。
朝日は希望しなくても巡ってくる。
車の走る車道。
午前7時を回り、日光が照らすビル群手前。
坂道を登り、そこにのどかな住宅地が勾配良く並ぶ。
外観はコンクリート壁が真新しく光に照らされた建物の側面からの影。
地形から傾斜である山がそびえ、丘になった作りに俺の家がある。
井高マンションガレージ付き、2階の構造物。
その部屋の俺の部屋に万物における絶対的な条件であり、こうしてレム睡眠から目覚めた俺はベッドの上でまだ睡眠していたユーリの寝顔と、それには昨日の苦労がいくつかあったがこの際は水を流そう。
首から伸びた充電用の電極プラグが就寝中の駆動を補助している。
そうでなくても、どうすればいいのか本人が認識なくバッテリー起動での眼界間近であったことを伝えてくれなかったため、俺自身は観察力とりも自分からどうすればいいか聞いて行動することにようやく慣れてきた。
それでも、未だにロボットが人間と同じ食べ物を食べることについて.
同等における彼女が摂取したエネルギーを効率良く運用するために味覚機能も付いているらしい。
最新技術が生んだ結晶ともいえなくもない。
それは紛れもない人間ではない者。
人間ではいけないモノ。
だから故にモノと到底分別もできない自分にはその結論に頭を悩ませることになった。
「寝顔はどこにでもいそうな女の子だよな」
肌から伝わったふにふにとした感覚には、そこはとなく人間に近い素材が用いられているためだろう。触れた手先には、発熱した汗。
ユーリの10時間熟睡している姿にとても睡魔が襲ってくる。
環境も全く異なる、一面白色に澄み渡った俺の部屋。
それに苦悩にも近く悩んだ俺も眠れるはずもない。
「ん……」
寝相に寝返りをうつ。
このままじっといって彼女を起こすのも、どうかと。
「ご、ごめん」
これ以上起こすわけにもいかなくて、床に引いた布団を静かに畳んで部屋をでた。
俺の家は、マンションの一部屋を借りている。
といっても、母親が3千万だか一括で支払った分住んでいる心地はローンよりはすこしはマシだろうけど。生活費など当面考えていなかったわけで、当面の入院費も考えればすこし不足の事態なのだろうけど。
かといって、ユーリを追い出すわけ事は絶対したくない。それだけは避けないといけないわけだ。
階段を下りて、リビングに充電してあった携帯がタイミングよく鳴る。
「露骨にも、非通知の番号だし」
あまり携帯については持ち歩く主義ではないが、改めて着信に出ないといろいろと怒鳴り声が聞こえる可能性も歪めなくため息交じりにボタンを押した。
「八重乃春陽だな」
その声は、とても野太くそして朝から聞くには誰かを連想するには打ってつけの声色だった。
ああ、とても印象に残っているよ。BB弾とはいえ額に思いっきりぶつけられて案の定コンクリートに頭ぶつけた。
なんでまた、こんな朝早く電話を寄越す必要があるのだろう?
「ハルでいいです。フルネームだと呼びづらいと思いますし」
といっても、この人から名前で呼ぶ人物など精々クロアと呼ばれるユーリの姉くらいだろう。
「今からお前に重要な任務を与える。それは拒否権などありえない。いいか、お前には責任を果たす義務があるだユーリを起床させて家に到着するまでに準備を整えておけ」
朝からもっぱら軍隊にでも所属していたかのように、命令口調。
そこに反論の意味を持って、返答する。
「秋月、まだユーリは熟睡しているので、時間をおいて起きたら連絡します」
「――――いや、それなら叩き起こせ。もしくはそんなこともできない子供じゃないだろう、少年」
どうやら、強引にも連れて行かないといけないみたい。
「わかりました、折り返し連絡しますので」
それ以後会話もしていても結論は変わらないので、電話を17秒も掛からずに――切る。
それが、ささやかながら秋月に対する反抗でもありこうしてのどかな朝を奪ったことについての反逆でもあった。
階段を静かに登り、再び自分の部屋へと行きドアをそっと開ける。
まだ眠っているのだろう。静かな吐息。
果たして、秋月に呼ばれたのだが……。
その寝顔を見ていて……果たして本当に起こすべきなのだろうか?
一瞬当り前のように迷う。
だけど、安心しきった寝顔がどうしても起こすべきか戸惑うわけだ。
休日ですね、エキサイティングなものを想像していても今回はそんなものは有りません。
すこし、退屈な話になってしまう可能性大です。
ユーリのちょっとした小話的なものですから、余計に退屈なればあまり見ないことをおススメします。