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Falling angel

だ、大分派手に更新期間を開けてしまいました。

書き進めるというか、仕事もあったお陰もあるし友人との大事なこともありました。

まだ覚えている方、そして憶えていない方もお願いします。

「構うな、広範囲照射で目標物は経った一台だぞ」

 一台大型トレーラーから1機の巨大なモノが狭まれ、有人型のアームスーツが格納から巨大すぎる荷台に、脚部から見えた重金属から言葉を圧感され制止せざるを得ないバイクが進めずに遮断されてしまう。

大掛かりにまだ実験段階のそれに対極図を描くが、遥か頭上にそびえる機械人形は膨大な力を持って俺たちに立ち上がっていた。

まるで、これでは勝ち目がないのだと伏せ目に応えるように、

「クロアさん、アレに対しての対処法は?」

 俺の答え等無いまま、空虚な時間が経っていく。

「ない。不知火は陸自が持つ戦略兵器」

「手立て無しだと、速やかに武装解除という選択肢もありますよね?」

「否定。すでにロケット弾を撃った時点で武装組織断定して攻撃してくる。あと3分後」

 最悪だと俺は頭を抱えるが、その様子を否応なしにクロアさんも認めたようだ。

有人型のアームスーツなんていうものはお披露目さえして欲しくなかったが、実験中隊の後ろで控えていると考えるだけでも、ある意味怖くて足が竦んでしまいそうになる。

大掛かりな仕掛けにしては、また随分と悠長さえも寄越さない処から見て相手も余裕が無いのだろうとしか思えない。

前体的な尖ったボディだが、操縦者の配慮としてダクトから配線が脱却できず、有線型短距離使用と言ったところだろうとクロアさんが渋った顔つきで喋る。

どちらにしろ、手立て無しお手上げ状態なのは確かで、その身長を見ても大きさのために目を覆いたくなる。

 まるで漆黒にも艶めかしい色合いと睨み付けるように目で殺して、まるで轟音を轟かせるようにゆっくりと絶望を付随するように唸りを上げて拡大する。

視野から急に狭まるような気分に浸るように、クロアさんは睨みつけていた。

「アレは、ボディフレームが従来のナノファイバーじゃない」

「……つまりどういう事なのですか? クロアさん」

 暫く考えていたクロアさんが、急に自らの腕を指さして差し出した腕の事を示していたのだろう。

「私たちと同じ技術。兵器に使われているなんて、快く思いたくない」

 それは、自身が人を傷つけるだけのために生まれた存在であると憎むべき対象の一部なのだと彼女はそんな意味合いで短い言葉に含めていた。

だからこそ、ユーリには無縁でいなければならないのだとこんな無益な争いなんてただ彼女が目覚めてくれればいいのだと。

その矢先。

「伏せてっ!!」

 一瞬、身をかがめる。

その瞬間に、重低とした音が耳に響き微かに弾速が孕む。

 薬莢がこぼれ落ち、放たれたほんの幾許も無いコンクリートは無残にも砕けまるで蜂の巣状態に晒される。

断続的な射程から、崩れ落ちた破片が被っていたヘルメットに直撃して頭を低くしていなかったらと思うと余計に怖くなった。

 体をそらし、止むまでの時間がクロアさんでさえ動作に移ることが出来ない。

着弾した一部のバイクの装甲は剥げ落ち、それでもまだ動けることだけが救い難いなのかもしれない。

衝動から、30秒も経たない。

だが、震え上がった体を押さえつけることでやっとだった俺が狼狽えた姿を見せまいと必死に屈んでいた。

「弾道予測から考えて、相手は威嚇のつもり。次は本気で狙ってくる」

 冷静で謙虚とした判断から、見上げた液晶バイザーから浮かび上がった文字は型式であるY2Kの破損率。

此処から見ても、その強化外骨格の猛威がどれだけの威力を発揮しているのか目の当たりにしているのだと、爆煙から吐き出たソレを悪罵してしまいそうだ。

「クロアさん対応策はないのですかっ!!」

「………ない」

 素っ気無い返答に、俺自身どうする事もできない気持ちに苛立つ。

何かに殴りたい気分と、絶望を抱けばいいのだろうかとバイザーから表示していた画面が何度も点滅を繰り返していただけだ。

 クロアさんが必死に思考を手繰り、暇を与えてくれない時間を1秒たりとも無駄を省き、予備動作を作らずに目の前の相手を視野にして集中している。

自分の扱える武器なんてものはない。あったとしてもハンドガンが精々。

どうして、苛立っているのだろうか。自分に何か出来ないのだろうかとそれ以外の方法を必死に探しているのにと。

「クソッ!!」

 だからこそこんな現実に翻弄されていなきゃいけないのだと、握り拳を強く締める。

「失いたくないんだ。もうこれ以上」

 まるで、優しさの一部を垣間見たように、

「そうね。私もそう思う」

 クロアさんはハッキリと呟き、微かにだが微笑んでいたように見えた。

まったく、こんな時に表す表情じゃないでしょうと我ながらそのお陰で緩和されたような気がしてしまう。

「それ、機械にしては随分人間相応だと思います。やっぱり」

「私、こういう時になんて顔をしたらいいか分からない。だけど、ありがとう」

「可笑しいですよ、クロアさん。感謝しなきゃいけないのは俺の方なのですから」

 そうなのと、疑問視してこちらを覗いていた。


天使なんて洒落ていると思いますよ。

特に、誰かの一部でもいいけどほんの少しでもいい出来事がありますように。

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