決意、意中に刻むなら
決意っていう事くらいですから、今回は主人公チックにタイトルを付けてみました。
まあ、好きですねえタイトルに色々伏線なんて無視に付けるの。
ということで、後書きで今後の予想とユーリの登場回想でも。
朦朧とした意識を何処に迎えればいいと疲労した俺は、言葉もなく研究所を出た俺を迎えたのは夏猛暑で初夏であるのに、向日葵どころか都会にはガーデニングショップにでも行かないと難しいだろう。
足早に、狼狽していた俺は目的地もなく途方に路肩に足を軽く捻ってしまい痛い気持ちを堪えつつ、後ろ足を引かずにひたすら先に進んでいた。
「暑い」
告知なしの猛暑は、まるで自分を責め立てているように喉が直訴する。
だからといって、目的地もない途方の旅はやがて自分が熱中症にでもなるではないかと思うと少し怖かった。怖くて、どうしようもないくらいに暑いために、背中が震え始めて近くの日陰へと避難。
グダグダした気持ちよりも先に、優先すべき事はとりあえず休憩と足を休め捻った足を暫く動かせないまま、頭上遙か上には飛行機雲が過ぎていた。
「時間的な変化よりも、あんな所でよく寝ていたよ」
室温だって、廊下において常備クーラーが効いているわけでもないだろうに疲労がために夢があまりにも遠く感じるで、そうして正午に当たりより強制された日光はみるみる気温を上昇させるために、日陰にいるはずなのに汗は止めどなく流れた。
急上昇する地熱の海に俺は、掌で仰いでみせたものの変化は蒸し暑い熱が差し迫るだけであって苦笑気味にしか妥協できなかった。
嘘つきな典型的に、まさしく雨でも降らないかと合掌してみるが通じる気配は全くないし、もちろん天候を左右できるほどの力が備わっていない。備わっていても無駄だと思う。
一瞬、ふらりと視界が霞んでそのまま地べたに手をついた。
「……っ、何している俺。こんなのに負けていたら何時まで経っても」
意識を集中させて、それでも脆い自分に言い聞かせて日陰から手を伸す。
紫外線、曇り空でもないのに太陽の日光がまるで拷問でもしているようだ。それでいて、異常気象というよりもヒートアイランド現象らしい。その天気がとても渋るような顔と額に流れる汗が滝のように溢れて体の水分を刻一刻と蒸発させまいとしている。
そこに釘を刺すように、コンクリートタイルはまるで蜃気楼のように朦朧としてまるで地獄の釜茹だと、それとも業火でもいい。
珍しくもない気温上昇に対して、涼しげな顔を浮かべる人間など誰一人居なかった。
「暑い」
支え合っていたものがなくなる。その喪失感と引換えに得たモノはあまりにも少ない。
直射日光に嫌味の一つでも俺の口から漏れるが、苦言とした物持ちで粗熱をとるように深呼吸。
都会とは、交通の便以外にも便利な面があるがこの場合は徒歩2分もしないうちにコンビニエンスストアがあることだろう。
「年に数回しか利用していないのに、最近はコンビニばかり通い詰めている」
大股開きでも構わない、この青空と今にも殺そうかと言わんばかりの猛暑に焼かれるよりは涼しげな場所に避難しようとつま先を踏んだ。
蝉の鳴き声、そしてとても嫌だと思うのはこの時ばかりの異常気象。
とにかく店の中へとはいった俺がまず手始めに深呼吸して新鮮な空気を肺に取り込むことによって、吐き出された二酸化炭素濃度を減らしてふらついていた気持ちを取り戻そうとする。
体に入っていた暑さが抜けるように、蛍光燈の光と、店内の清涼さが直接に夏だということを回避させてくれるように冷房と、適度な湿度がコンビニの具体的な便利さを挙げるに丁度いいのは、それだけ市民に愛されている証拠。
その涼しさを周りの視線なんていうものを気にしていられなかった。
店舗管理の顰蹙よりも、立ち寄った店内での雑誌に書かれていた国におけるバッシングと消えた行方不明の少女で週刊誌さえも一面を飾っていたのが切ない。
「そういえば、ユーリとコンビニ行った時に生理用品について聞かれて」
懐かしい訳ではないのに、懐かしいと感じてしまい。たった2ヶ月すら経っていないのにとついボロを漏らしてしまう。
吹き出した汗と格闘して手短に内ポケットからハンカチを取り、拭き取りながら飲料水コーナーへと向かった。
冷蔵室からスイングドアを明け、中にあった数々の品物からふといないはずのユーリの分まで飲料水を手に取ってそのまま、もとに戻そうと手に持っていた飲料水を置こうとするが指先が上手く入れられない。
気持ちが、そうさせているのだろうか?
無理やり押し戻して、閉ざされるドアに炭酸飲料を理由もなく手にとって。
「馬鹿か俺。ユーリは目覚めてくれさえもいないのに」
会計時に何故、炭酸飲料を買ってしまったのかと理由を己で問い詰められコンビニを出ることにした。
それも、きっと気持ちがそうさせているけど、それが淡い希望だということも知っている。
再び上昇気温に耐えかねて、伝言掲示板の表示画面を見たが39度という猛暑には変りないのは、青空を広げ週末である第1日目の昼下がり。
時間にして12時半だが、新都と呼ばれる都会には、若者と営業者で国際通りは賑わいファッションの流行地や劇場やライブハウスが立ち並び、大きく移り変わっていた街の一部、副都心とされた新都の公園通り交差点に足を留めて自然と横へと視線を移す。
クロアと呼ばれる少女と日中かにもかかわらずこんな場所に不自然にいるのも秋月が、そこで待ち伏せてとしかいいようがないのだが、まるで偶然と思えないほど隣に居合わせえていた。
「……」
「……」
お互い言葉に詰まるのは、たぶん答える義務を持ち合わせていないからだ。
それは、第一声にかける言葉よりも先にこの人にあまり良い事をされた印象が皆無のため、後ろめたい気持ちが後押しだろう。
「国というものは、少年の不届きや不始末を背負う場所じゃない。ましてそれが大問題になっていることくらい想像ついただろう。お陰様でとばっちり受ける羽目になったのだがどう落とし前つけろ」
詰まった言葉を次に繋げるには時間が随分掛かったし、それに気持ちだって不十分にできていない俺が早々に整理できるわけもなく、
「謝れば済むのか? ここで土下座すれば帳消しになるのだったらユーリに目覚めて欲しい。その為に今この時でさえ自分になんだってしてやる」
「お前の懲罰として、クロアが日中の監視。それにおいての束縛も一切拒否権なんていうものは存在しない。それは、ユーリの監督不届きの責任だということを頭に理解しておけ」
どうして認めたくないと喉から声がぐっと詰まり、終始無言のまま現状での自分の置かれた状況でさえまだ猛然としていた。
「その方がクロア、やり易い」
「いいか、こんな渦中に自ら飛び込んだお人好しだからそれに免じて伝えておいてやるから心して聞け。今ならユーリの記憶を消すことで白日の日に晒すことをしなければ普段と変わりない生活が約束される。ユーリだけじゃない、お前は周りに人にもいつか傷つけてしまうかもしれないならそれがベストだ。貫く責任なんて抜かすな、そいつは善意でもなんでもない単なる自己満足でしかない」
「………」
「俺への許しを得たいなら少年、缶ビールでも奢れ」
秋月、お前は缶ビール一本で許される問題じゃないだろう。第一成人はおろか、まだ高校生で卒業すら1年に控えた学生だ。
「俺は、未成年だ」
「年齢詐称してでも買えるだろう。それくらい男には度胸がないとな」
「缶ビール買うことが男の度胸を試されるのか? 内務行政補佐官」
うるせいと背中を叩かれ、どうやら奢りが決定したらしいがあまりにも強引な奴だ。
「建物裏手を周り曲がって、非常口から4階の階段を上がれ。手動ドアとその奥の角を曲がり突き当たって3番目ドアを叩けばコンビニだろう? 24時間営業している」
「自分で買えよ。ビールくらい近所に売っているだろう」
「まあ、その気なら度胸が試せるまたもない機会だぞ」
「意味がわからないぞ、秋月」
秋月は踵を返し、伝えた伝言はこれだけだぞと語る言葉もなく後ろ姿を晒して迎えた俺は疑問点にも浮かべていたのに、隣にいたクロアが恰も見通すように呟いている。
「あのヒトは不器用だけど、春陽さんも同じくらい不器用」
何か知っているのだろうかと、彼女に尋ねるが解答になる答えを得ることはない。不器用とはどういう意味で、結局ビールを何故あの時に奢れと言っていたのだろう?
背中越しの気持ちと裏腹に、清々しいほどクロアさんに頭を撫でて去っていく。
そう、責任という意味合いでも俺はまだ子供なのだと彼は俺への挨拶としてクロアに頭を撫でたように俺に頭に手を載せて、
「脳みそが小さいのだよ。上手く活用しろよ、少年」
「煩い、第一秋月に言われると余計に腹が立つ」
「ハハハッ、さらばだ」
まったく、目的も不明で蟠りのままクロアさんを押し付けて姿を忽然と消す。
残された俺とクロアさんだけが、その場所に留まりまるで初めておつかいで路に迷っている子供のような心境だった。
視線が、冷たいと感じるのは言うまでもないクロアさんと話す機会もなく、かといって護衛される立場よりも自分にはユーリを傷つけた張本人のようなものでもある。
「ごめんなさい、ユーリのこと俺は謝罪しないと」
「必要ない。ユーリは自ら行動した、だから春陽さんに非はない」
当の本人は、任務だからとまるで生真面目そうに俺への護衛をすることになるのだが、
「クロアさんだって十分寂しいって気持ちになるときになるのでしょう?」
「心ない。だからその気持ち答えかねる」
「ごめん、クロアさん」
「謝る必要ない。慣れている」
冷静にその答えをまるで知ったかぶり彼女は解りきった答えを求めるよりも、監視という任務に応じるが、常務であるならば半径2メートル以内の必要があるのだろうか。
それに遣り易いということが、疑惑の一部に憑依するように釈然ともしない。
「じゃあ、監視なら別に遠くの距離にいればいいだろう? それじゃあ擁護されているようだけど」
「答える義務はない」
彼女が珍しく視線を逸らし、会話であった話題を強引にも誤魔化して当然、会話が途切れるのでもっともらしい会話で噛み合っているが、慌てるクロアさんを他所に他にもしてみたかった質問をぶつける。
クロアさんも、先の話題が回避されたことに安堵してか細かい追求もなく普段と変りない素振り。
「クロアさんは、ユーリと同じヒューマノイドロボットですよね?」
「違う。べつの意図で作られ、国政指定基準品でない。Mrl-RDXシリーズの規格品」
ならばどうしてと浮かぶ疑問点と同時に、
「春陽さんは変なヒト、ユーリも変な子。春陽さんのこといつも楽しそうに話す。観察日記いつも報告している」
観察日記?
まて、ユーリは俺を面白がって日記付けていたのか。しかも植物じゃないし、俺は全然知らなかったぞ。
それが、余計に起きたら叱る12ヶ条の一つでもあるのだが今はそんな事ではなくて。
なんだか、あの子が日記に記す事の余程の事をしたつもりもなかったが、あえて言わせてもらうとしたら観察日記の明目というのは不審点がごろごろとしている。
「観察ですか?」
「報告怠らなかった」
これは、起きたら拳骨くらいしてやらないと。人に許可なしに勝手に観察日記付けてただでさえその日記についての内容が気になる。
まさか、起床から就寝までの暮らしを見つめるライオンじゃないのだから洗剤会社のキャッチフレーズの素の日記なんていうものが現れてしまえば、プライバシーのヘッタクソもない。
だからこそ、頭には片時も離れないユーリの顔がどうしても浮かび上がる。
笑顔だったこと、必死に守ろうとしてくれたこと。泣いていた顔もなにもかもが、隣にいてくれたから自分が励まされていたことも。
「あ、あのクロアさん。一つ御願いがあるのですが」
クロアさんの察しがついていると苦渋にも似た顔に、一つの願い事について聞き入れる気になってくれない。
「自殺行為、無茶無謀」
第一声から否定されるが、唯一つの方法においてこれを逃してしまったら手段に応じる術もなくなってしまう。それでも、素直に耳を傾けて貰うにはどうしても頭を下げてでも頼む。
だが変わることでもない、クロアさんが予想していた範疇とはべつだったために繰り下げらない顔と渋った表情。
「でも、俺はクロアさんでしか頼める人がいません」
「ワタシ、ロボット」
外見上が人だからと一言足して、クロアさんに一押し。
だけど、肝心のクロアさんはその無謀さが危ういのだと申し立てて、握っていた裾に力が込められる。
「自殺行為だって分かっているのですが、どうしてもお願いします」
「合意できない、危険なこと態々飛び込む。それでもいいの?」
思い悩む、だけどそれ以上に俺自身が無謀だろうと知っていても叶えてあげたい願いでもあったのだから、
「平気です、危険なのは元々知っていますから」
これ以上も後悔も背負い込む責任の重さとも失敗したならば罪になることも待ち侘びた俺は辛く突き刺さる現実に、それ以上の痛みは緩和されることがないと知っている。立ち直れない心に、嘘を付くように平常心を装ってみる。
人は最後まで突き通さないといけない責任があるのだから、支えられて義務を果たすならば。俺自身が看取ることが辛かった現実は、例えちっぽけなことでもよかった。
「私、ロボット。状況下の判断において狂いがあるわけじゃない。確率的にアクションと言って成功率は7%未満」
「解っています。俺だって失敗するかもって、びくびくしているのですから」
なら尚更春陽さんの身を危険にするだけだと彼女の瞳は訴えていた。
93%失敗するのだろうか?
解らないし、そんな結果は誰もが望んでいない。望んでいる結果は成功唯一つ。
口に出せなかった感情の一部が、表に出てきたように暫くその場所から動けない。
夏は暑い、痛くて苦しいくらいなのに、吹いた風はどうしてそこまで冷たかったのだろう。Tシャツに湿った汗が流れるように、一気に冷やされたシャツに、まるで相応するかのように少し寒気。
「これだけは理解して。ワタシハ春陽さんの考えているよりずっと酷いロボット。本意の意図人を傷つけるために生まれたロボット」
やってまいりました。
まあ、背負わさざるおえない主人公とお眠り寝ぼけなヒロインです。
でも、クロアさんの以外な話なんていうものも期待できそうなのですがあえて言わせてもらいましょう。
このあとの主人公が何をするか期待してください。