僕が翼で、君が羽根で 第6話
今回で、一応のいないの最後話となります。
あえて書くなれば、最終回の結末とかとんでもが待っている可能性もあります。
結局ハルの選ぶなんていうものも楽しみにしていてください。
決断とは、必ず重要な問題を考える際に起こりえる一種の選択肢を選ぶこと。
そして、選択肢には結果がある。結果は決意をしたことによっての背面であり、その結果が実行でしかない。
選択肢を選ばざるおえない状況に至ったならば、人は迷いになる。覚悟、後悔しない選択肢など何処にも存在しない。人は言葉と大切なものを比較という天秤の糧に生きなければならない生物なのだと思う。
選択肢を迫られたとき、現実から逃避して矢先に起こった出来事は端的に答えるならば1週間からニュースの話題がユーリにその真実について逃避さえ許されなかった。
止まる時間だけが最底に揺らいでいたのは、まして誰もが真実という行為を耀様に社会といううねりに飲み込まれ、口先ばかりに国への不信感を抱くことすら当事者に傍観さえ邪険にされてしまう日々を繰り返す。
「ユーリ?」
「……」
返答がないまま、動くことがないユーリの姿が痛々しいと思うのは外傷が治療再開の目処も経っていないため俺を苦しめる以外なんでもなかった。
「今日は、天気がいいな」
「……」
カーテンレール越しに、レースカーテンを手に思いっきり引っ張りながらお日様を差し込ませ疑いように、天気の降水確率は雨も降りそうもない天気で1週間前の雨とは大違いに澄み渡る空は、綿衣のように広がっていた。
その色はクレパスで描いたような白と灰色の配合色は、新鮮にも覚えている。
美術家でもないので、詳しいことを問い詰められても答えることが出来ないが、それでも夏の色だということは間違いなく群青よりも、その蒼い色を敷き詰めて空を飛ぶことができるなら、そんな色と雲が最適なのだろうと視界に収めていた。
俺は見かねて窓から仰いだ光景を外す。
夏の代名詞ともいわれている蝉も八九寺フィールヒルズに設置された屋上の庭園から聞こえ夏を迎えたことを改めて訴えかけている。
蝉を耳にして、視界に収めるときには夏の風物詩だと体で感じた。
真夏の光景は、午前になっても暑さは変わることがない蒸し暑さに虫の囀りなんて、耳を澄ませて聞くことなんて僅かでしかなかったのにその音色が耳を過ぎるまでの間。
窓を開けて、風が部屋に入ってくるがとても生暖かい。
部屋の室温がそれ以下であることが実証よりも俺にとってみれば自然の風の方がクーラーよりも気持ちが良かった。
「ユーリ、空がすごく綺麗だよ」
「……」
当の本人には全くの反応さえ見受けられないのは、ずっとトラック横転の事故から一週間。ユーリはその間外的刺激を受け付けないまま、プリンストールした起動パッチが再起動を繰り返すように深い眠りに陥っていた。
どうすることもできない、それが苦しみでもあり俺にとって何よりも家族として認めた瞬間の矢先。事故はまるで自分の肩腕を失ってしまったような落胆と呆然とした気持ちが頭をこうしてぐるぐると廻って解決策なんてなくて、ただベストを尽くしてユーリが目覚めてくれればそれでいい。
母親も入院中の自分に、また独りになることがとても辛く苦むのだろう。
更に追い打ちを掛けるように、研究員は非難の声と異われもない罵声を何度も繰り返した。
ユーリは子供の玩具ではないと、国の最先端技術の集約だと周囲の声は酷く冷たく何よりも研究所に出入さえ、拒まれてしまうくらい。
「ニュースもお前の話題で持ち切り」
「……」
「すごいな、昼夜も問わずバッシングから無責任な悪意の発言ばかりだよ」
テレビの電源ボタンから勇気を振り絞り、昼時のニュースには一連の報道は朝刊において代替的に報じられたメディアが騒ぎ始め、国が大きく揺らだのは先日に起きたトラックが横転する大事故だが死傷者1名、そのうちユーリという国家機密の精密ヒューマノイドロボットが自らの片腕を引き千切ることによって犠牲者を未然に防ぐことができた。
本人は腕を切断するという事故であり、マスメディアが情報共有から一連の騒動を巻き起こすまで時間が掛からなかった。
マスメディアと呼ばれる歪曲した情報電波による媒体。ニュースとして報じられ報道という精神は中立性や正当性なんていうものを初めから失っている。報道として特定の一部を批難中傷する報道は飛び交い、偽善的な社会構造と密接的にも癒着し国民への扇情的な報道は戦争までも引き起こす。
「ユーリ、助けた女の子から折り鶴貰ったよ」
お見舞いだと作ってくれた折り鶴をベッドの横にある花瓶へと直ぐ隣に置いた。
不器用で、周りから下手くそなのかもしれないけどそれでも一生懸命に作った鶴だとヨレヨレになっていたのにその雰囲気だけでも浸透。
それと感謝の手紙を寄越している。まだ子供らしい文字だが、ユーリ宛なので開封はまだしていないけど。たぶん感謝の言葉を並べているには違いないと思いたい。
「もう、一人で背負い込むな。家族だから当たり前だろう?」
「……」
彼女は手に取ることも、まして声を上げることも無言のまま、ただひたすらにユーリに接続された半導ケーブルが幾多に伸びて無機質な収縮する心雑音のように、静かな電子音。安静時とはいえその音があまりにも気質なく、響いていた。
「花瓶取り替えるね」
触れることが許されないが、せめてと身の回りだけでもなんでもできる事はしようと花瓶の水を取り替えてニュースと本を読み聞かせ反応はしてくれない。だけど、耳には聞き入れてくれているようだ。
本当に触れられるならばどんなことでもユーリの手に触れて刺激をして、胸が苦しい気持ちを抑えて抱きしめてあげたい。
あんなに一緒だったのに、どうして傍に居る自分がぽっかりと空いた空洞を埋められずに片時も離れなれなかった。もしもという甘い期待が、自分において捨て去りたい感情をうずめく。
結局一人になると、弱く脆くなる。誰もが経験するが、俺の場合その期間が長いことで折れてしまいそうに挫折という行為が恐怖と不安になっていた。
10畳もない室内と、広さを犠牲にしてまでも機械が彼女の周りを覆うように取り囲んだ。
彼女は量産型のプロトタイプであるが故に、もしも今後に量産型が同じ症状が起こりる場合があるならば研究員が隈なく彼女を調べ上げる。彼女は、深い眠りから目覚めることがない。一体沈黙と引換ることによって、彼女は何を得ることができただろう?
痛み、苦しみから逃れることができなくて、こうして今も眠る彼女を俺はそれでもいつか目覚めると期待した。
それも期待が裏切られることが悪いと言う訳でもないが、必要以上の罪の意識と部屋の最大にまで設定された冷房に体温を奪われる。
部屋全体にステンレス製のアルミサッシと木目調の床と、一面にも白い部屋はまるで対比するように、ただ冷たくて彼女を目覚めから阻害しているように対照的な空との景色と病室との光景は2面性をもつ対極で、反する対概念。
無機質といえば嘘になる。個室にしては十分な広さと共有するスペースとしては申し分ないくらいに傍にあった椅子は高級大手ブランドが特注に用意したものと思われる。
だが、座ってみれば案の定長く座りたくなるような材質ではない。
触れて爪が自然に痛くなるのは、冬の寒さのように冷たく冷え切っていた冷房と研究員の冷淡さだろうか。
光り溢れる病室というよりも、彼女がその場所で寝ているだけのように見えてしまうほど穏やかに、時計の秒針だけが動く。
せめて、ご自慢の寝相の悪さを披露してくれるならこんなに心配することもないのに。
モニター表示されていた心拍計と、脳脊髄液指数には一般人と変りなく眠っている理由については専門家でさえ首を傾げている。
そのまま、机に広がっていた機材を薙ぎ倒してでも、彼女の傍に近寄りたかった。
周りの白色は、清潔さでもいうべきで清涼感というよりも、相反して寒く感じてあまり落ち着ける色ではない。
壁が反射して、眩しいので目を閉じる。色対比の現象から青緑の染みが浮ぶのは清浄無垢という意味と、忌み色の2つの意味だろう。
「俺は正直病院が苦手かも、母親が入院してその間いつも一人だから」
「……」
「ユーリ、外の景色も随分に夏になってきた。そう言えば、まだプールも入っていないよ」
「……」
「水着だって、まだきちんと選べてないな。起きたら、何でも買ってあげるから」
「……」
「そうだ、吉田や、柚樹だって久野だってお前のこと待っている。皆待っているからな」
「……」
研究員は、無言のまま出入口付近を彷徨いながら面会終了時間までを時計と眉をひそめるように見比べて、口にした。
「面会終了時間だ、八重乃春陽」
「待ってくれ、もう5分だけでもいい」
「駄目だ、我々にだって残された手を尽くした。それに君の気持ちなんて玩具のように与えられ壊れたら同じものが手に入るというわけではないのだ。ユーリアが失うということは存亡の危機だということさえ解らないのか?」
「だけど」
だが、現実という行為は背徳感と自分の責任が一体何処に向かえばいい。
研究員は俺を突き放してユーリの頬を触れて、俺は無抵抗に隣に設置していたソファーに叩きつけられこれ以上何をやっても時間の無駄だと、研究員。子供は世話が焼けるものだと、冷やかな目で見られた。
こんな所で諦めたくなかった自分は、それでも立ち上がって振り絞った力を込めて震えた足を抑えて懸命に説得しようと腕を掴もうとするが、突き放されたように振り払われてしまう。
「御願いします、どうかもう少しだけ」
頭を下げてユーリの手を握ってでも目覚めて欲しいと願ったのに、あざ笑う眼で研究員は振り上げた握り拳を片手に、俺の頬へと捻るようにパンチへと食い込む。
そのまま床に倒れた俺に対して睨みつけて、足蹴り。
「邪魔だ、下がれと言っただろう!!」
それでも、俺は痛い頬を押さえながらでもユーリの手に僅かながら触れたけど、その手の感触はまるで死人のように冷たく冷え切りあんなに、ユーリの手は冷たかっただろうか?
冷えた心に追悼するように、
「八重乃春陽、今後一切施設の出入りを禁止するから覚悟しておけ」
そのまま、研究員に引き剥がされて已む無しにと部屋を出された。
何もしてあげられなかったと俺が、あの子を助けると言った言葉追求が自分を縛り付けるようにただ心苦しくて辛い真実を吐き出してしまいそうになる。
近くの壁へと余垂れ疲れきった体に無理させてでも天井を見上げ崩れる意識を保ち続けようとするのだが、急に睡魔が襲ってどうでも良くなる気持ちに負けてか視界が淀み、俺はゆっくりと瞼を閉じた。
そうすれば、変わるわけじゃないのに。俺は俺自身が疲れた体にムチ打ってまで得たモノは疲労感と換えられない落胆せざる終えない状況。
「ごめん、俺、ユーリになにもできなかった」
そうして、俺は世界に目を背けていることが正しいことなのか。
だけど、睡魔によって瞼が重たくて起き上がろうとしても無駄らしいのでこのまま寝てしまっていいのだろう。
最終回というわけでもないですが、この話からあと何回かの話数で一応を終えることになりました。
残念というか、自分のばいい話とか。ながらもっとこうすればよかったなとか思ってしまう話もかあるわけで……。
ながらでも、見ていただいたことには本当にしてます。
ということで最終回までの間かもしれませんが、それでもたいと思います。