猫を見つけたら、おしえて
最近重要な事ほど、ついつい忘れがちになってしまうので手に書いておいたらそれが油性マジックだったなんてオチのような気分が立て続けに起こっています。
危険です、それは脳内の危険信号です。
残暑だった夏の天気も、今日に限っては湿気の孕んだ風が吹く。それは、秋に向かうはずだった景色の末端。本当はきちんとした事を伝えるべきなのに。 とても弱い自分が情けなくなって……。
「今日は天気予報当たりそうだな」
「そうですね。予報とはいえ、60パーセントならほぼ確実でしょう」
駅から出てきた瞬間、吉田が迎える。相変わらずなに考えているか分からない。そして、不思議そうに見ていたユーリにはどうやら面白い光景でも見てとれたのだろう。
「今日も同じ電車なんて偶然もいいところだ。そう思わないかハル」
「思わないよ。どうせ吉田のことだからまた善からぬ企みでも」
「にっしっし。俺はなあ、ハル。今現在の資金源を調達せねば」
「つまり俺のところから横取りする気でしょう?」
さすが、元運動部。いろいろとせこい。
「だ、ダメですよ。横取りなんて。泥棒さんです」
「そーだ。そーだ。吉田は在らぬことを企てるから」
そこには遅れてきたように柚樹。
「うるへー、俺はポリシーでいきているのだ。なんぴたりとも邪魔させん。ハルだろうと俺は俺なりの生き方っていうものがあるのだよ」
それが、横取りなのだろうか。せこい生き方にも程があるぞ、吉田。
資金源ということは何か集る気があるのだろうか。彼なりの表情を伺えば思い当たる節など幾つか。
「とりあえず、寄越せ」
「……はい」
小銭である百円玉を3枚と、十円玉が2枚を吉田に手渡す。
「ちっ、すくねぇな」
「お前は新手のチンピラか」
確認した吉田には、明らかめいてこちらを見ていた。それはチンピラよりも太刀が悪い。
「まあ、いいか。これでハンバーガーは食べられるな」
「いや、それに取られる理由が判らないし」
「それに、吉田。ハンバーガーは食べるのは構わないが、きちんと3人分と、ポテトとジュースも」
柚樹が当然のようにツッコミをいれる。それは320円で買えないというか、予算オーバーだ。それをわかっていたように彼女は吉田に要求したのだろう。
「まてまて、吉田。俺は400円しか持っていないぞ」
「うるさい。これはワタシの命令だ」
突っ掛かった柚樹は吉田に1000円札を無理やりポケットに無理やり入れて、背中を叩いた。
痛いなと、吉田が振り向いた時には延髄チョップ。その場でゴロゴロと転げている。
「だ、ダイジョウブですか?」
ユーリが心配そうにしているが、本人は何食わぬ顔でそのまま歩き始めていた。
「いてて、ハル。アイツは絶対清楚な女じゃないからな。こんなことする奴はきっと暴力女だからな」
「ウルサイっ、聞こえているぞ。馬鹿野郎!!!」
ごつんと、吉田の額に鈍い音が響く。手にした物を投げつけることはよくあるがそれを直に当たり運悪く頭をぶつけていた。
「ちょっと待て、辞書ならともかく電子辞書を文投げる奴がいるかっ!!!」
「当り前だろう!!」
なんだか二人で敬遠するように睨みあう、それをみて仲がいいのだろうか。またしても遠くから見つめていた俺はユーリに
「アレがあの二人の”親睦“ってやつだから気にしなくていいよ」
「はい、わかりました。ハルさん」
学校の校門を抜け、ようやく教室に辿りついたときには久野が新聞を片手にどうやら買ってきた缶ジュースを飲んでいた。
「おはよう、久野」
「おはよう、ヨッシー」
「だから、あれ程珍獣ではないというのに。とりあえず座るがいい。話はそれからだ」
言われた通りにするが、彼が神妙な顔をしている。
「どうした 久野?」
「迷い猫を探して欲しい」
ウチにも来て欲しいな、猫耳娘なんて妄想具現化できないだろうか。
できたところで差し詰め、あまり懐かないと意味が無いだろうけど。
改めまして、今回は第5話になりました。
お陰さまで、アクセス数が共に1000件を越え、なんだか評価の上り下りに一喜一憂中してます。
ええ、それが嬉しい時と厳しい評価を頂いたりと。
でもまあ、こうして一応書いているわけですので続きを見たくなるような小説がかければ良しとしましょうか。