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お母さん

おっとそこでアクセル全開、インド人を右に。

しても、交通事故になりかねないですので注意しましょう。

今回は少しばかり横道です。

横道と言っても、姉妹の過去みたいなものですので原因追求とそれにおける悲劇というよりも悲しいお話ですかね。

 不条理な世界を受け止めるには時間が必要なのだ。

受け止める勇気、そして受け入れた時に心が壊れてしまうのではないかと不安。

俺が、理想上の幻想を抱くことが如何にして打ち砕かれたのかと彼女たちを見た瞬間ぞっと背筋が寒くなった。

「もしかして……、二人とも、人間だったのか?」

 そう、確かに生きていた。その証拠に姉妹が深く頷いた。

深く、なによりもそれが重たく感じるのは機械である彼女たちにおいて状況を受け止める勇気でさえ持ち合わせていないのではないだろうか。

「お姉ちゃんは、当時の記憶が存在していないみたいだけど。たぶん、梓ちゃんの名前がなによりも結果だと思う」

「アニスは事故の記憶がない、だけど誰か知らないけど私はその時の事故に記憶を1分たりとも忘れたりしてないわ」

 姉妹の言葉と、あの日に見た記憶を口ずさむ。

それが、たった1度の母親に甘える姉妹の最後の姿だったことも。



 本音なんて、多忙過ぎるお母さんの姿を私たちは本棚から覗いた本が最上にある棚から取り出したい本があるのに身長が低い故に届かない。

小学生で周りには大人びていると言われるが、私にとってみれば大人の真似ごとをしているだけ。

母親がお仕事で忙しい。

同時に一緒に遊んだことも、甘えた事もなかった。

 それは、自分の妹が甘えたいのだと思う気持ちが裏切られたようにいつも傍にいてやることしかできない。

忠実な私は、置いてきぼりにされた気分を晴らすように妹以外の感情を面に出すこともないのだと思う。

「お姉ちゃん」

 混同するように周りの人からの視線は、私を期待の目で見る。

母親の仕事があまりにも偉い仕事だから。だから、私はその母親の仕事に迷惑にならないように自分で努力した。

色褪せる記憶の一部、これが事故直前の記憶の一部に過ぎないことも。

「お姉ちゃんってば」

「なによ、いま勉強中なの。分かっているよね」

「むぅ~、勉強むずかしいよぉ。お姉ちゃん」

 煩いと妹に叱りの意味で、集中しようとしたのに妹に邪魔されたのだ。

「しょうがないなぁ、勉強教えてあげるから教科書貸して」

「うんっ!!」

 だけど、妹の言う事を逆らうこともしなかった。

まるで自分が母親にでもなったような錯覚と、それに踏まえるように改めてお姉さんであるということの自覚があまりにも責務のよう。

しかし、妹はそんなことは関係なしなのだと教科書と解けない問題との格闘を私に押し付けてきたのだ。

「世話の焼ける子」

「だって、お姉ちゃんにしか頼めないから」

 純粋だから、余計に母親に心配させたくない想いはどうやら妹にもあるらしい。

仕方ないねと私は教科書を見開いて、算数の計算の公式を徹底的に教えようとするのだが、

「……できるじゃないの」

「ゴメンなさい、うそつきました」

「もう、嘘は泥棒の始まりだっていうのだから」

 でも、と妹は躊躇っている。

ダメだと諭す私だけど、それなりの理由があるのだと少し距離を置いて考える。

「どうして、そんな嘘ついたの?」

「だって、お姉ちゃんと一緒に勉強したい」

 そんなの、いつもしているじゃないのと私だが、妹は首を振っていた。

「お姉ちゃんも、お母さんと一緒に何処か行きたいよね?」

「……」

 行きたくないなんて偽りだ。

甘えたい。抱きしめられてもらいたい、寄り添われて頭を撫でられたい。

だけど、お母さんにしてもらいたいことが増えれば増えるほど、素直になれない自分。

「行きたくない、だってお母さん仕事忙しいじゃないの」

「だって、お母さんと一緒に出掛けたことも一度もないよ。お姉ちゃんだって」

「ダメだよ、ガマンしないといけないの分かっているよね?」

 しかし、妹は否定的な声。

我慢強いわけでもない、ましてまだ1年にも満たない妹にとってそれがどういう意味なのかでさえ理解もできるはずもなかった。

それでも特別だからとガマン。

妹の気持ちも痛いほど理解できてしまう。だって、参観日はいつも自分だけお母さんが居ない。

だから、押し切られるように安々と折れた。

 携帯電話の受話器の先、慣れない手つきで電話をしてみる。

「もしもし、梓?」

 電話の主はお母さんの声。

だけど、何のために電話したかも淀むように声が小さくなっていく。

「あ、あのね。お母さん、縁が熱出したの」

 それに誤魔化しと、私が初めてお母さんに嘘をついてしまった。

仕事が忙しい、常に国という偉いことをしているのだと自慢げに話す母親と寂しいことをほのめかすことも我慢していたのに、

「どうしよう、じゃあ仕事取りやめて家に帰るから梓お願いね」

「………う、うん」

 電話先のぷつんと切れる音。

その後、妹の姿を見て私は溜息混じりに自分のしてしまったことを恥ずかしくも後悔した。

到着した時のお母さんに、飛び込むように縁が抱きつき。私に質問されたので、お母さんに正直にいって初めて怒られた。

 私も、あの時になんで素直に甘えられなかったのはきっと嘘をついた自分に葛藤。

お母さんがその後、何故か頭を撫でてくれたときにはスゴク嬉しくてずっとそのままいて欲しい気持ち。

「ごめんなさい」

「梓、嘘はいけませんと言わなかったかな?」

「ごめんなさい」

 だから咎めを受けたときに、謝る以外頭が真っ白になってしまいしょぼくれる。

許しを得るために、お母さんにどうすればいいと聞いて、

「じゃあ、おつかいで許してあげる」

 と、あまりにも優しいお母さんの言葉だった。

次回はちょっとBlackな話ですね。

グロいわけでもないですが、あまりにショックな文章になりかねないので悪しからず、とりあえず姉妹のロボット(ヒューマノイドロボット)ということで、改めて人がロボットの体に移植されるなんて作品はよくあると思います。

だけど、それについて大体の理由はそうせざる終えない状況で特にロボコップという映画もそれにあたり悲惨であることには違いないのです。


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