気になるアイツはヒューマノイドロボット
ロボ子もとい、これだと安直すぎてつまらないのでドジっ子がやってまいります。
皆さん、身の回りに如何にマイペースかつドジっ子がいたとしても決してユーリだと思わないでください。ロボットのクセに凹むと思いますので。
物語の序章である部分が完遂していなければ、物語としての成り立つわけがない。
そう、これは序章に呼べるにはほんの些細な物語。
そこには、白い屋根と、白い窓。そして空蝉の声が響く。
この世界には、まるで、白意外の言葉などなく。またそれ以外の色など精々金属程度でしか見当たらなかった。
私はどうして、横たわっている。
私は、どうして目覚めてしまった。
気がつけば、あの光景しか思い出せない。
自分の名前も思い出せない。不備でもあるのだろうか。
そこにはきちんとした意識はある。それに、どうしてここにいるのだろう?
カトレアと、自分の名前すら小さく折り畳んだ紙にはそう書かれていた。
だけど、映像がテープ繰り返される。それは、自分たちの死ぬ間際のできごと。それも、鮮明で。残酷な事故。最後に近くにいた女の人の名前が思い出せない。
事故の瞬間は覚えているのに。なぜだろう?
「くっ」
隣の自分と同じ姿だけど、違った名称。
「……アニリス……お花の名前だね」
それが、自分の妹という感覚には程遠くて、始めから見ていた姿は自分の鏡のよう。
鏡を見る。本当に自分は人間なのか?いやそもそも答えなんて、決まっていた。
私は、死んでいるのだから。
探さなきゃいけないんだよね。あの人を。きっと、そうしないといけないのはわかっている。
だから今の私に向き合える唯一つの手がかりだから。
例えば、寝ている妹を起こすくらいだったら。
『メインエネルギー接続、コネクトダイレクトに。正常位からアーキテクチャ稼働開始。サブコンデンサーともに活動可能範囲まで。バッテリー駆動には任意許可が要ります』
「許可。ついでに管理者登録は破棄。今後活動域において任意者を登録して頂戴」
『メイン動力接続完了。サブコンデンサー排除。アニリス、システムパッチ更新』
どうして、こんな事をしているのだろう?
私には予測も、それにおける工程も、きっと不備があるのだろうか?
驚けるはずもなかった。
これは悪いことをしている自覚もない。
故に、
「アニス……起き上がって、あの人―――捜そう」
「――――? うん、お姉ちゃんっ」
二人の旅が始まった。
それは、教諭である先生の囀りから物事が始まる。H・Rだというのに、こうして長くもそして疎ましく感じた。
長くもなく、そして短くもない。
時間が許すが義理の話はとても……詰まりそうだ。
話は、30分前へと飛んでいく。
ユーリの転校手続きとして、校長先生との面談することになっていた。
当然、先生たちにはユーリのことを明かす必要がある。
それにおいて、学校という一部の有機ネットワークにおいてマスコミの入る余地などないわけで。
存在しゆる対策をもって外部からの漏洩を防ぐとのことだが。
結局は新型のテストには十分すぎるほどの膨大な予算がかかっているのは理解していたが。
「いいのか? ここで」
「はい、なにからすみません。でも私はすこしでも自分で出来ることはやりたいから」
校長室までの道のり。
そして、彼女が自分で決めた事に俺は反対など出来るはずもなかった。精々背中を押す程度。
「ああ、また教室で」
「はい。ハルさん。本当、私役立たずです。管理者でもなく、一人の人への感謝もできていません」
「……何もしてないわけじゃない。ユーリがここにいるから感謝しているんだ」
「えっ」
「何かしようとかまだいいんだ。今ここにいる。それだけで俺は十分だから」
何か、ユーリに一言でも声かけられたらよかったのに。
俺自身は、結局人嫌いというところで決着。そうして、現状を垣間見るわけだけど。
教諭が漸く本題へと移る。
クラスのざわめきが、瞬く間に広がり期待の眼差しが降り注ぐわけだけど。
「ハル、あのさぁ……突然のことですごく大変だと思うけど。ワタシが力になれる事があったら言ってくれ」
「……柚樹。有難いけど、どうしてそこまでしてくれるの? 俺は」
「友達」
「えっ」
隣にいた彼女がまるで当り前なことを聞くのだなと。
「水くさいな。ヨッシーだっているわけだし」
「お前ら。だから何度も言っているだろう。俺はいつそんな珍獣のネーミングを受け貰うほど奇怪な行動は慎んでいるが。それとも貶めようとしているのか貴様らは」
「こらこら、そこのグループ煩いぞ。ということで、今日は転入生二人と、副任の先生が急遽他のクラスを担当することになった。新しく新任の先生が担当することになったのでよろしく……とりあえず紹介しよう。秋月考九朗先生と、泉クロエアさん。そして、前園ユーリアさんだ」
まてまて、国家諜報員。
わざわざ教師になってまで監視する必要ってあるのか?ああん?
ない、絶対にないだろうよ。普通に考えてもそれが当たり前にするってことは国家の力ってすごく恐ろしいなあ。
ざっ、諜報員って格好良いかもしれないけど。