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紡ぎ

声が聞こえる。

 だから向かった先には自分の知っているだから先に進んだときに人は選択肢という名においての決意において。

それは紛れもないユーリの声。

「君は間違っている。我々の命令を聞けなくなったのはどうしてだ。絶対服従であるロボットが人間に反抗するなんていうことは言語道断だ」

 白衣の一人の研究員。

近くまで詰め寄る。そして、ユーリを嘲笑うように、一人の白衣の男が対照するように見ていた。

「どうして、なんでいけないの? 私には心があるはずです」

「君には心なんていうものは作られモノだ。そして作ったのは我々だ。それすら忘れたのか」

 滑稽だと、まるでユーリなど端から見下していて。それは、奥底にある怒りさえ覚えた。

決まりごとを守れない子供を見ている目。

 それも親が勝手に決めた無理難題を押し付ける……そんな感覚だった。

冷静になんかなっていられない。即刻、痛い足を引き摺るようにその声の先まで動く。

 二人の姿を肉眼で確認できたとき、俺は大声を出していた。

「ユーリに、選ぶ権利があるはずだっ!! お前らの選べる権利なんかないっ」

 絶対的なものはない。それは例え産みの親であろうとなかろうと。

その声に、

「ハルさんっ」

 ユーリが気ついてくれたのだろう。咄嗟に後ずさりして周辺まで来たのだ。

「それは独断で決めた総理の方針だろう。我々の本来である現数なる稀代のスーパーコンピューターに決められる事が安心かつ合意的だろう。お前は単純に興味本位でこの子を選んだなら末代まで呪い殺す。それが我々に残った唯一つの結論だ」

 まるで、正論でも言っているように研究員が突っ立ちユーリをこれ以上行かせまいと際し止めた。

そう、男は退くことはなどでは済ませない。

 だから、無性にも怒りで俺の血管が膨れ上がった。

「ふざけるなっ!!!! お前らの身勝手で……・俺のことはいい、だけどユーリの気持ちもあるだろう?

心を持っているのだろう? ならスーパーコンピューターなんかに任せる必要あるのかよっ!!!」

 叫ぶ。自分に想う気持ちをただ一心に。

そんなことが許されてたまるか……と、自分に都合のいい言葉なんかじゃない。

 これは、誰かを助けたい正義感でもない。

唯一つ、ユーリを救いたいだけだ。

 例え、それが自分には悪い結果になろうが数日間のユーリとの出会いは無碍にはならない。

いや、既に良いことをしたと自信を持って言える。ユーリとこれで逢えなくなろうとも少なくとも自分では無駄な時間だと思わなかった。

 だから、

「もう一度考えてくれ。誰かに決められた事を変えることは難しいかもしれない。だけど、今ならまだ間に合う。スタートもまだ決まる前だ。だからっ!!」

「煩い、五月蠅い、ウルサイ。お前が来たから、我々はこんな事までしなかった。全て順調だった。なのに、なのにっ。総理も、それに関わる連中も――――そしてお前もっ!!!」

 見幕で俺を睨みつけた。

俺はそれでも、立ち止まることなんかできない。

「分からず屋がっ、そんな手段で誰を幸せにする気だっ!!!! もう気がつけ今直ぐにっ!!!!」

 研究員が不意に拳を突き上げる。咄嗟の判断さえもできないまま、頬に当て見を喰らわせた。

よろける俺に、痛んだ足が更に痛む。

だが倒れるわけにはいかない。こんなところで終わらせるわけにはいかないのだから。

ユーリが庇うように俺の前を遮って、守るように両手を広げ

「やめてくださいっ」

 そして、研究員に対してまるで既に気が付いていた。

ユーリが本当に選択できることを。選ぶ権利を。彼女自身で決めた選択肢を。

「何故止める。この男はお前の弱みに付け込んでいる。この男はお前を弄んでいるのだぞっ!!!」

 叫びあげた研究員。ユーリの権利を奪うかのように、彼は理解させようと達観を強要する。

もう、既に分かり切っているのにそれでも執着を断てず、己の行動には真理があると研究員は震えた拳で訴えた。

 殴られたところが、赤く腫れる。

だけど、そんなことで終着させるわけにはいかない。

 末路をたった一人のロボットであっても変わらない。心を持っている。

それに、造られていようと心があるならば考えられるだろう。

 人形でのピリオドを打つことに誰が幸せだと感じるか。

立ちあがるように、正面を向く俺に研究員が怒鳴り声をあげ、緊急用のシェルター防壁解除のための斧を叩き破りゆっくりと持ち上げた。

「この子に何をした? 大体お前は何も知らないのに、この子のことなんて全く考えていないだろう!!!」

「……起動させた。この子が自分で考えるキッカケを作った。俺はそれぐらいで十分だ」

 ケリをつけよう。俺には武器なんていう物はない。

振り落とされた斧を、交わし男の胸元へとタックルしてよろけさせるぐらいだ。

だから、素直にもユーリの肩を軽く後ろに押せた。

 無謀で、速効すぎるくらいの無茶だと自分でも思っている。

相手は研究員。運動神経がお世辞でもいいわけではない。

――――なんだ、簡単じゃないか。

 床を蹴り、瞬間を自身のスピードに変換する。

相手は振り落としまいと、斧を持っていた。バランス的に一回振れればいい。

真正面。だが、当たりでもしたら痛いでは済まない。

「ぬぉぉぉ!!!!」

 蹴りあげた足は、床を飛びそして右横側にある壁を叩く。

そのまま、重力を逆らうようにして研究員の前方脇へと。

研究員は、賺さず斧を自分の力をすべて使い俺の頭上へと振り下げようとしたのだか壁渡りをした俺に驚愕して数秒は時間を有した。

 そして、研究員という自らの職をこの時ばかり呪ったことはないだろう。

完璧なデータ。そして実績のないままでの行動は研究員にとってみれば絶対的に“失敗”を意味する。

 だが、そんなデータでさえ失陥していたら、自身の判断が委ねられない状況に陥ることなどなかったのだ。

 俺の空中からの回し蹴りが鈍い音と共に、研究員の首元から発した。

 研究員の視界が反転し、体は重力を加えられたまま空中を上下にしてぐるりと回転して床に叩き付けられた。

持っていた斧は本来の目的を失っていた。


おっと、主人公の運動性能が意外にここで高いというか壁蹴りは良くないだろう。

 というか、まて主人公よ。

ついでに言わせてもらおう、主人公ってつくづくry

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