車輪
案外、青春というものの本質は、背徳感だったりする。
二人乗りは、一応交通違反だ。けれど、心地好く感じる。
この高鳴る音も、青春だと錯覚している。都合よく解釈している浮かれ野郎のなかに、僕もまた居るらしい。
減速どころか加速していく。傾斜がきついこの坂も、女子陸上部エースの風葉にはただの平地と同等みたいだ。
「あのさ、」
「なに?」
「もう下ろしてくれよ。家まですぐ近くだしさ」
「だめだって。私が気の済むまで、付き合って貰う予定なんだから」
いつ、そんなスケジュールを立てられたのか。全く、とことんまで付き合ってやらないと気が済まないらしい。ほんと我が儘な友人を持ったものだ。
おまけに。このように、ただただ自転車を漕ぎまくる趣味(?)がある不思議ちゃんだ。
「後、30分な。それ以降は付き合いきれん」
「あ~い」
一体どこへ向かっているのか?
聞いてみても、多分無意味だからしない。さながら乗客気分で、この暴走列車に身を預けておくことにしよう。
さて、後どれ程、こんな馬鹿をしていられる時間が残っているのやら。
暇潰しに少し考えてみるか。